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1 京都府行財政運営方針について
(1)財政規律、持続可能な財政構造の確立について
(2)次世代型の行政手法への転換について
2 現場の担い手となる若い世代への教育について
(1)高校生へのキャリア教育について
(2)専門学校等への本府の支援について
(3)大学卒業後の府内定着率について
3 警察官の人材採用・育成について
4 賃上げ施策と効果検証について
5 その他
議事録全文
◯楠岡誠広君
◯楠岡誠広君 国民民主党・日本維新の会京都府議会議員団の楠岡誠広でございます。このたびは会派を代表して質問をさせていただきますこと、心より感謝を申し上げるとともに、その責任を果たせるよう努めてまいります。
まず、京都府令和7年度6月補正予算に関してですが、アメリカとの関税交渉の影響を見越して米国関税措置等緊急対策事業費による中小企業支援を機動的に編成いただき、さらに医療機関等経営改善支援事業費、公共事業に関わる国費の内示増などにも適切に対応し本補正予算をまとめていただきまして、ありがとうございました。その具体的な施策・取組に関しましては、本議会各委員会にてしっかりと議論してまいります。
また、中小企業支援の補助金や人材確保、雇用に関わる施策については、本代表質問の大きなテーマとしても質問させていただきますので、積極的な御答弁を何とぞよろしくお願いいたします。
私どもの会派はこれまで、行財政問題に関して積極的に継続して質問してきた経緯がございまして、私もそれにならいお伺いいたします。
まず、令和5年9月定例会では畑本久仁枝議員が代表質問におきまして、府税収入に対する本府の評価・分析を聞いた上で、増収の今こそ財政調整基金の積み増しの好機と問うております。これは、去る令和4年12月定例会で畑本義允議員が一般質問において財政調整基金について問い、総務部長が「財政調整基金への積み増しを行うか、住民サービスの確保に充当するかは引き続き、その時々の社会・経済情勢を踏まえて判断する」との御答弁を踏まえての問いでありました。その畑本久仁枝議員の質問に対する知事からの御答弁は、「一定額を積み立てておくことができれば望ましいと考えております」との回答はありながらも、「実際に積み増すかどうかは、その時々の税収などの動向や社会・経済情勢を踏まえて判断してまいりたい」という従来同様の御回答でありました。
そういった流れの中におきまして、令和5年度末に財政調整基金5億円が積み立てられました。その後の令和6年度決算特別委員会の総括質疑においては、西條議員から、標準財政規模の5%を目安として中長期的な計画的積立てを期待する質問がございましたが、令和6年度末、つまりせんだっての2月議会の精算補正におきまして、さらに10億円が積み増され、現在は約14億8,700万円となっております。
これら財政調整基金の積み増しは、府税収入増加や社会情勢を鑑みた本府の総合的な判断の結果と理解した上で、実現に当たって御尽力をいただいた関係者の皆様に感謝を申し上げると同時に、私どもの会派の議員からも常々財政調整基金に関して強く訴えてまいりましたことを、時節にかなった主張であったと府民の皆様にも感じていただけましたらと強く願っております。
その上で、財政指標の一つである実質公債費比率に関しても私どもの会派は問うてまいりましたので、改めて聞かせていただきます。
畑本義允議員が令和5年9月定例会の決算特別委員会総括質疑及び令和6年6月定例会での代表質問にて、また筆保議員は令和6月12月議会の代表質問において、実質公債費比率について取り上げており、最新の数字となる令和6年9月発表の令和5年度決算に関わる健全化判断比率及び資金不足比率についての資料によれば、現在の実質公債費比率は16.8%となり、地方債の発行に総務大臣の許可が必要となる18%に迫りつつあります。
知事からの御回答はいずれも、「当面の財政運営に支障が生じる状況ではない」との回答が続いてまいりましたが、京都府のホームページで公開されている平成19年度決算以降からの数字を集計しますと、単純に令和5年度決算までの16年間分の平均は、毎年0.36%程度の悪化となり、このままでは令和9年度決算に関わる健全化判断比率の発表時には、18%に達してしまいます。
また、もう少し近年の数字の上がり下がりの傾向を見ますと、平成27年度決算ベース16.2%を当時のピークにその後3年間は改善をしまして、平成30年度決算で14.1%まで一旦下がりましたが、その年を底としてコロナ禍を挟む令和5年度決算までの5年間では、平均0.54%ずつ悪化しておりますので、この傾向でいけばさらに1年早い令和8年度決算で18%に届く見込みです。
令和6年度から5年間を対象とする京都府行財政運営方針にあります「財政規律~持続可能な財政構造の確立~」の項目内においては、本指標については触れられておらず、増えてきた経過も今後押さえる数値目標も見当たりません。既に令和6年度は過ぎましたが、本年度を含む残る令和7・8・9・10年度という4年間におきまして、本付の財政規律の課題認識を数値目標に落とし込んで掲載をする必要があるかと思いますが、いかがでしょうか。
次に、同じ京都府行財政運営方針における次世代型の行政手法への転換について伺います。
「時代に即した事務事業手法の導入・生産性の高い業務推進体制の確立」には、「定型的業務の外部委託化や業務プロセスの見直しに加え、AIやIoT等を活用するなど、時代に即した事務事業手法を導入」とあります。
とりわけ、「業務プロセスの見直し」と言われる部分は、いわゆるBPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)と言われる業務改革の取組が大切になってくると思いますが、私どもの会派は、令和7年1月に会派視察において、茨城県東海村を訪問しBPRについて学んでまいりました。
東海村では、窓口DXとオンラインサービスの充実を図る「スマートサービスの推進」、働き方・業務改革による組織変革を目指す「スマートワークの推進」、デジタルデバイド対策とスマートフォンを学ぶ環境の充実による「デジタル対応社会の実現」の3本柱から成る「とうかい“まるごと”デジタル化構想」を令和2年度に策定されました。この構想に基づき、株式会社日立システムズと共同でロボティック・プロセス・オートメーション、略してRPAと呼ばれるパソコン操作を自動実行し業務効率化を図るソフトウエアの導入事業が開始されました。
これをきっかけに令和3年度には同社とBPRの共同研究を開始し、令和4年度には、全29課4,339件の業務分析を実施して改善案を創出、順次実行され、令和6年11月時点で82業務、年間4,543時間の業務時間の削減成果を上げておられました。
私自身、個人的な経験においても、20代の頃に民間企業でBPRソフトウエアを学び、またその後の家業の事業承継においても業務システムを開発しながら新たな業務体制を構築してまいりまして、経営と現場、そして開発システムが一緒に最適解を見つけていく大切さを感じてまいりました。
そういった意味で、東海村におけるBPRの実行には、様々なIT・DXツールなどが用いられていますが、必ずしもデジタル面に頼った改革だけではなく、業務分析によって現状を把握する中で、改めて役所の習慣やルールなどに一つ一つ向き合って改善を検討し、また窓口や執務スペースのレイアウト変更など、職場全体の創意工夫によって仕事のやり方を常に改善、変革していく文化の形成こそが大切であることを改めて学びました。特に、現在も、改善された業務プロセスを含め、洗い出した各業務プロセスをエクセルなども活用して管理更新を地道に取り組み続けているという姿に、深い尊敬の念を抱いております。
京都府におきましても、これまでの新技術の活用をテーマとした特別委員会などで紹介されていますが、RPAなどのデジタル技術を活用した業務プロセスの改善に取り組まれてきました。事例としては、国への各種調査報告業務や補助金の実績確認などに関わる業務について、1,200回にも及ぶ単純作業が自動実行されたことなどにより、所要時間の減少や人手の工数が削減されたといった定量効果に加え、作業ミスの減少や事務改善にもつながり、府民サービスの向上に向けた検討時間も確保されたなど定性効果もあったとされています。
また、同時に、RPAを導入する場合の注意点として、BPRとセットでの実施が重要と認識をされております。また、令和6年度からは、この京都府行財政運営方針や京都府スマート社会推進計画などに基づく取組を着実に実施していくため、府庁内における業務改善などを推進し、効果的効率的な府政運営と府民サービスの向上を目指す府庁スマート化推進事業にも取り組まれています。
そこでお伺いします。
東海村においてRPAの導入をきっかけとし、地道なBPRに取り組まれ成果を出されております。本府においては、組織の規模や業務も異なるためRPAに加え、様々なデジタル技術の活用によりBPRに取り組まれてこられたと思いますが、これまでの取組状況や課題、それを踏まえて今後どのように取組を進めていかれるおつもりなのか、お聞かせください。
まずはここまで御答弁をお願いいたします。
◯知事(西脇隆俊君)
◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 楠岡議員の御質問にお答えいたします。
行財政運営方針における実質公債費比率の数値目標についてでございます。
京都府では、京都縦貫自動車道の延伸や奈良線の複線化などの生活に不可欠なインフラの整備、防災・減災に向けた河川改修や砂防事業、危機管理センターの整備といった府民の生命と財産を守るための施設整備など、府域の均衡ある発展に向けて積極的に取り組んできたところでございます。
このような府民の利便性向上や安心・安全の確保に必要となる建設事業につきましては、国庫支出金を最大限活用することに併せまして、交付税措置率の高い有利な起債を活用して取り組んでまいりました。
実質公債費比率につきましては、令和5年度決算では16.8%となりましたが、これは財政健全化法に定める早期健全化基準である25%、そして財政再生基準である35%を大幅に下回るだけではなく、地方財政法に基づく起債許可団体となる基準の18%を下回っており、当面の財政運営に支障が生じる状況ではないと考えております。
行財政運営方針につきましては、収支不足の改善や複雑多様化する行政課題への対応を進めていくため、令和6年度から令和10年度までを計画期間とし、歳出面において不断の事業見直しを行いますとともに、歳入面において、地域経済の活性化などを通じた税源涵養に取り組むほか、ふるさと納税のさらなる活用や府有資産の戦略的・効果的な利活用、使用料手数料の見直しなど、あらゆる対策を講じることとしております。
その中で、投資的経費につきましては、財源となる地方債発行に係る金利上昇リスクを抱えていることから、いわゆる公共事業関係費に加え、府単独での施設整備や長寿命化対策も含めてトータルで平準化を行うこととし、将来の地方債償還に大きな影響を与えないよう、毎年度予算調整を行うこととしております。
また、本方針におきましては、実質公債費比率の数値目標は設定しておりませんが、計画期間の最終年度である令和10年度における財政効果目標額を収支不足額の解消のための約200億円、京都府総合計画を踏まえた京都の未来づくりのための約100億円の計300億円と設定しており、公債費負担を含む収支全体の改善に取り組むことで持続可能な財政運営を図ることとしております。
今後とも、実質公債費比率などの財政健全化指標につきましては、国の示す基準を超過しないよう目を配りつつ、防災・減災対策をはじめ、府域の均衡ある発展に向けたインフラ整備を着実に進めながら、「あたたかい京都づくり」を支える強固な行財政基盤の構築を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
次に、デジタル技術の活用等によるビジネスプロセス・リエンジニアリング、いわゆるBPRの取組についてでございます。
人材確保が課題となる中、ますます複雑化・多様化する行政課題に迅速に対応するためには、業務プロセスそのものを再構築するBPRの取組が重要だと考えており、京都府スマート社会推進計画にデジタル技術を活用したBPRの推進を掲げ、職員の業務効率化と府民サービスの向上に取り組んでいるところでございます。
これまでの業務効率化に向けた取組といたしましては、例えば令和4年度から6年度にかけて、宝くじ収益金情報の集計作業などRPAを活用した定型的な作業の自動化によりまして、約2,500時間の作業時間を削減したほか、AI自動音声認識システムを活用した議事録の自動作成により約8,200時間の作業時間を削減したところでございます。
また、府民サービスの向上の取組といたしましては、令和6年度から新たに行政手続のオンライン化をテーマにワークショップ形式の職員研修を開催いたしました。この研修では、業務プロセスを可視化し、申請する側と受ける側の両方の目線で記入項目や添付書類の必要性を点検し、手続見直しの検討を行ったところです。この結果、民間企業に委託することなく職員のみの力で、薬局などから提出される麻薬年間受払数量届をはじめ九つの手続のオンライン化を実現し、年間約2,900件の申請データ等の受付管理や集計作業などの効率化を達成することができました。
しかしながら、これまでの取組は大半が既存の業務プロセスをそのままデジタル化したものであり、申請手続自体を廃止した上でプッシュ型の給付に改めるなど、業務プロセスを抜本的に見直した事例は限られております。BPRの取組を府庁全体に広げていくためには、業務に向き合う職員の意識改革が必要であり、前例にとらわれずに積極的に業務を見直す姿勢へと職員の意識を変えていくことが課題だと考えております。
このため、本年4月に改定いたしました京都府人材確保・育成指針では、目指すべき職員像の一つとして、「前例にとらわれず新たな発想で果敢にチャレンジする職員」を改めて明記するなど、意識改革に向けた取組を進めているところでございます。
さらに、デジタル技術の一層の活用を図るため、高度専門人材の登用や専門研修などを通じたDX推進のリーダーとなる人材の育成、全職員のデジタルスキルの底上げなどに取り組むこととしており、既に今年度から全職員を対象に生成AIの研修も始めているところでございます。
今後とも、職員の意識改革と先端デジタル技術の活用を同時に進めることでBPRの取組を推進し、限りある人的資源を最大限に生かし、付加価値の高い業務にシフトするなど生産性の高い執行体制を確立し、「あたたかい京都づくり」を進めてまいりたいと考えております。
◯楠岡誠広君
◯議長(荒巻隆三君) 楠岡誠広議員。
〔楠岡誠広君登壇〕
◯楠岡誠広君 御答弁、ありがとうございました。
財政規律に関してですが、実質公債費比率に関しては今までの御回答どおりなのかなというふうには思います。もちろんおっしゃるように、私自身も奈良線の複線化など京都府がこれまで取り組んできた恩恵というものも体でしっかりと感じているところでもございますし、それがまちの発展につながっているところもよく存じております。
その一方で、行財政運営方針に関しましては、これはちょっと言葉遊びかも分かりませんけれども、行財政改革プランというのが令和元年から令和5年度、それまでも全て「プラン」というような位置づけでありました。その計画というところが、今回の5年間というのは行財政運営方針というふうになっておりまして、英語にすれば両方プランなのかもしれないですが、民間でいうと経営方針と経営計画は別でありますし、できるだけ具体的に数字を入れた計画にさらに落とし込んで行財政運営をしていただくことを希望したいと思います。
次に、次世代型の行政手法の転換についてです。生成AIのお話がございまして、私も最近は使ってみたりもしているんですが、なかなかうまいこと使いこなすことができません。ただ、昨年から取り組んでいらっしゃるということで、この京都府内で今まで培ってきた本府の業務文書とかそういうものをしっかりと生成AIを活用して読み込んでいって、ブラッシュアップされたシステムが造られるんじゃないかなというふうにも期待しております。
また、地道なBPRに関しても、オンラインワークショップで、いわゆる民間に委託するということではなく、職員自身が取り組むということをされたというのは非常に本質の部分をされているのかなという部分で、今、聞いていてとても心強く思いました。ですので、今後、年齢層がどんどん若くなっていく上で人材のバランスも変わってこようかと思いますが、IT、AIなど最新の技術もうまく活用しながら、ベテランと一緒に府庁が働きやすい組織になっていくことを期待したいと思っております。
それでは、次の質問にまいります。次は、若い担い手を社会人となるまで育てる教育段階であります高校、専門学校、大学での就職関連の取組についてお聞きいたします。
まず高校についてですが、就職に強いという評判も高い京都府立京都すばる高校では、「就職環境京都ナンバーワン」をうたい、高い求人倍率や100%の就職内定率などの実績があり、また在学時より専門性を高める教育にも力を入れており、結果的には大学への進学率も増やしながら、常に働くことを見据えた特色ある教育に取り組んでおられます。起業や企画、IT教育にも積極的に取り組まれ、毎年開催される「京都すばるデパート」では、決済手段にキャッシュレス決済を用いており、導入当時は私も含め訪れた議員が少し戸惑うといった姿も見られるなどありましたが、特色ある新しい価値観を率先して進めていくことに学校も生徒も自信を持って取り組まれている様子が伝わってまいりました。
実際、行政区こそ違えども、私自身、地元から近いため、卒業生や在学生、またその親世代の知人も身近におりまして、この変化の時代に勇気を持って社会を切り開いていく教育風土を肌で感じております。
一方で、教育業界の大きな流れを見ますと、大学進学を選ぶ方々が増える潮流にあります。それが担い手不足の現場や、その現場を支える企業が1日でも職業観を強く持った人材を確保し、育成していきたいというニーズに対してミスマッチが進んでいるようにも感じております。
令和7年3月府立高等学校卒業者の進路状況の資料を見ますと、令和6年度の全日制課程卒業生の四年制大学への進学率は過去最高の65.9%となりました。一方で、就職内定率は微減し、また就職した生徒は全日制・定時制合わせて794人、これは卒業者9,060人に対して8.8%で、暦年で見ても平成13年度の11.3%と比較しても少し減少をしております。
加えて、就職と同じく職業観を高く持って進学する、いわゆる専門学校についても見てみます。本質問では、高校卒業後の進路について述べます関係で、高等専門学校を除き専修学校専門課程と呼ばれる専門学校、また各種学校の両者を合わせて「専門学校など」と表現させていただきます。この専門学校などに関しても、全日制・定時制合わせて1,480人、卒業者9,060人に対して16.8%で、平成13年度の21.0%から減少しております。
この就職と専門学校などへ進む両者は、高校卒業時点では就職と進学と状況は違いますが、在学中に自身がどのような仕事に就きたいか、その職業観を高く意識して進路を考え高校生活を過ごしていくか、その部分で共通する立場にあると私は考えています。特に日本社会の現在の担い手不足の現状を鑑みるに、近い将来に手に職をつけて現場に出たいと思う学生は、昔でいう金の卵でもあり、企業としても頼もしい存在と言えます。
また、少子高齢化が進む日本社会におきまして、とりわけエッセンシャルワーカーと呼ばれる現場の仕事は、担い手不足の深刻さが増しております。厚生労働省の労働経済動向調査におきましては、令和6年5月1日現在の正社員など「労働者過不足判断D.I.」を見ると、調査産業計でプラス45ポイントの不足超過。また、産業別に見ると、特に「建設業」「学術研究、専門・技術サービス業」「運輸業、郵便業」で人手不足感が高くなっており、そこに「医療、福祉」や「宿泊業、飲食サービス業」が続いております。
このように、IT専門職種などハイスキル職種といわゆるエッセンシャルワーカーと言われるような現場の仕事に従事する職種で人手不足が深刻化する一方で、事務職など中間的な仕事で人余りが発生している労働市場の二極化が進んでいるという見方があります。
こうした二極化を解消するには、企業側、労働者側双方に様々な努力が必要であり、すぐに解消できるものではないと理解していますが、一方で、地元企業の労働力の供給源ともなっている高校において実施されるキャリア教育は、職業観などを養うものであり、担い手不足が深刻化するこの時代において、労働市場の二極化の解消にもつながる非常に重要な取組であると考えます。
そこでお伺いいたします。
技術革新や少子高齢化の到来により産業構造や就業構造が大きく変化するこの時代において、高校における今後のキャリア教育はどうあるべきとお考えでしょうか。また、現在の府内高等学校における、とりわけ就職を意識した生徒への進路教育や支援の状況について教えてください。
さらに、就職後に短期間で離職をして再就職先などを探すケースにおいて、卒業生にとって在学中に親身になって支援してきていただいた学校関係者によるフォローも心強いと思いますが、京都ジョブパークとの連携も含め、どのように支援を行っているかについても併せて教えてください。
次に、専門学校などについての本府の支援についてお伺いいたします。
進学率が高まっている大学間におきまして、少子化による影響を受け生徒の獲得競争が激化し、大学も特色ある学部を設立する流れの中で専門学校などの特徴を包括するような学部も増えていることから、専門学校などにとっては厳しい競争環境にあると言えます。
そういった現状において、大学などにおける修学の支援に関する法律により、令和2年より始まった高等教育の修学支援新制度では、大学や短期大学とともに高等専門学校や専門学校の生徒なども支援の対象となり、世帯年収に応じて全額支援も含め授業料などの減免が行われております。また、令和7年度からは加速化プランにより、世帯年収を問わず多子世帯への全額支給が拡充され、国から専門学校への生徒に対する支援は着実に進んでいると理解をしております。
ただ、大学には、その教育活動に要する経常的経費について補助する私立大学等経常費補助金がありますが、同補助金の対象とならない専門学校などでは、国からの振興事業の規模が小さく、財政運営上のハンディがあるとも感じております。
例えば日本私立学校振興・共済事業団公表の「令和6年度私立大学等経常費補助金交付状況の概要」によれば、私立大学全体への交付額が2,859億円余となりますが、専門学校などにおいては、文部科学省の専修学校関係予算案の資料を同令和6年度予算で見ると、専修学校教育の振興に資する取組で22億円、専修学校の教育体制及び施設整備などに関する取組で3億円と計25億円の予算規模となり、その違いは大きいと言えます。
また、専門士や高度専門士に比べ、四年制大学卒業で得られる学士のほうに学歴としての魅力を感じる学生が多く、また従来、そう評価してきた企業も多いという日本の社会通念上の認識も、専門学校などにとっては厳しい現実だとは思います。
しかし、専門学校などでは、例えば国家資格の合格を目標とし、卒業後の職業観を定め、その道に進む覚悟を持って勉学や実習に打ち込む姿勢があり、また生徒だけでなく支える教職員も含め、その業界で生きていく思いが強い傾向にあると思います。これは、卒業生を受け入れる業界、企業にとっても頼もしい存在です。
私自身は大学も専門学校も共に経験をさせていただきましたが、そのカルチャーの違いを強く感じ、この専門学校などが持つ業界人として厳しく育てていただける環境は、社会の担い手確保にとって大切な教育現場だと思っております。それらが大学との競争で苦境に立たされ、今後失われていくこととなっては、社会的な損失であり、特に専門学校などの卒業生を府内各地域の職業現場の担い手として確保するためにも、本府として支援を行っていくことが重要だと考えております。
そこでお伺いします。
専門学校教育の意義や専門学校に対する支援への考え方、またこれまでどのような支援を行ってきたのか、お聞かせください。
次に、進学率が高まる大学について、卒業時の就職における府内定着率という点に着目して伺います。
京都府は、多様な大学が集積する日本有数の「学びのまち」であります。43の大学・短期大学があり、令和6年度学校基本調査における大学卒業者数は3万2,349人と人口当たりの学生数も日本一であります。また、府内高校の生徒は約半分が府内の大学へ進みますが、府外からの入学者も多いため、結果的に入学者の割合としては約25%が府内から、約75%が府外から入学をしております。
一方で、卒業時の府内就職率を見ると、令和6年3月卒業生で17.8%と約18%にとどまっております。また、その内訳に関して、もともと府内高校出身者がどのぐらいいるのか、その割合はどのぐらいかといった統計はまだないとのことですが、いずれにせよ在学中に京都企業との御縁を育み、卒業時に京都に残っていただけるような取組が必要だと考えます。
このような現状を踏まえ質問を進めてまいりますが、昨年の令和6年11月、政策環境建設常任委員会の京都文教大学への視察におきまして、私も地元議員として参加させていただきました。御紹介いただいた総合社会学部における地域連携の取組では、正課カリキュラムに地域企業との連携プロジェクトがあり、例えば宇治市、久御山市、城陽市などと取り組む京都府南部地域課題解決クラスなど、社会に飛び込み現場実践力を磨く現場主義の新しい学びを実践されておられました。
また、本府の令和6年度「大学・学生とともにのばす京都プロジェクト」において、事業名「地域で学び、ともに歩む、持続可能な『ともいきコミュニティ』の創造」におきまして、西小倉地域小学校跡地活用に関するフィールドワークなど、地元をはじめ3つの地域連携の取組を紹介されていました。
文教大学では、社会連携部フィールドリサーチオフィスの設置や近隣行政、経済団体との包括協定を結ぶなど、大学全体で地域連携に取り組む体制を構築されております。例えば子育て支援室、小・中学生の大学訪問受入れ、宇治市高齢者アカデミー受講、そして毎年開催の「ともいきフェスティバル」など多岐にわたる活動が展開され、地域連携学生プロジェクトでは、いわゆるクラブやサークルのような課外活動として商店街振興やまちづくりプロジェクトに取り組んでおられます。
地元企業や地域住民にとって、文教大学の学生さんがとても身近な存在になっているのは、私自身も地元の人間として肌で感じてきたところではありますが、京都文教大学では令和6年3月に卒業した生徒の地元産業界への就職状況は、京都府内本社所在企業への就職が38.4%と非常に高い成果を出されていることに驚きました。もともと文教大学では、府内高校出身者の生徒の割合が6割近くと高いのですが、これも在学中の大学生への取組だけでなく、大学入学前の段階で地元の小・中・高校生の積極的な地域連携のアプローチがあって、総合的な取組のもと、府内定着率の向上を実現していると言えます。
そこでお伺いいたします。
本府では、さきにも取り上げました令和6年度「大学・学生とともにのばす京都プロジェクト」にて、様々な大学において多くの事業を展開し、支援されておりますが、その成果をどのように評価されていますでしょうか。
また、府内定着率は暦年で見ると、平成29年度の19.4%から微減をしながら令和5年度の卒業生で現在17.8%。今後、府内定着率を目標の26%に上げていくために同プロジェクトも含め、どのような対策を講じようとしているのか、御所見を伺います。
また、若い人材の離職率は厚生労働省による最新の資料でも、就職から3年以内の離職率は新規高卒就職者で38.4%、新規大卒者で34.9%と現在も高い状況にあります。たとえ卒業時の新卒採用では一旦京都を離れても、その後、離職されたり、また人生の転機において京都を選んで帰ってくるまで長い期間の取組ではありますが、紡いだ縁をつなぎ続ける努力も必要なのかなと感じます。
第二新卒や早期離職の再就職先にも焦点を当てて府内定着に取り組むことも大切だと思いますが、そのために取り組んでいることは何か。新卒時だけではなく卒業後も含めた長期スパンで考えた施策があれば教えてください。
以上、ここまで御答弁をお願いいたします。
◯教育長(前川明範君)
◯議長(荒巻隆三君) 前川教育長。
〔教育長前川明範君登壇〕
◯教育長(前川明範君) 楠岡議員の御質問にお答えいたします。
若い世代の就職に向けた取組についてでございます。
技術革新や少子高齢化などにより、社会の就業構造や働き方が大きく変化する中、高校のキャリア教育は、進学や就職といった進路を決めることを目的とするのではなく、望ましい職業観や職業に関する知識・技能を身につけさせるとともに、自ら主体的に進路を選択する能力や態度を育成することが大切であると考えております。
そのため、府立高校におきましては生徒に対し、学科や卒業後の進路を問わず産業や職業に関する知識の習得を通じて多様な職業について学び、進路や将来の職業選択に関する理解を深めることでどのように社会に参画していくかを自ら考えさせる教育を進めてまいりました。
一方で、大学等への進学の割合が全国でもトップクラスの京都府におきましては、進学を前提とした指導が中心となる傾向があるため、将来の職業や社会との関わりを現実的にイメージして、学校での学びと自らのキャリア形成とのつながりを実感できるような取組を進める必要があると考えております。
議員御紹介の京都すばる高校におきましては、企業や大学等との連携を通じて、より具体的な職業分野を専門的に学ぶことで専門知識や技能を習得し、先進技術が必要な職業分野にも対応できる人材を輩出しているところでございます。
今後は、各高校におきましても、例えば総合的な探求の時間などを活用し、地元企業や大学等と連携して地域の課題に取り組む中で、働くことの意義を実感し、将来の生き方や働き方について主体的に考える力を育む取組を進めてまいりたいと考えております。
次に、就職を意識した生徒への進路教育や支援の状況についてでございますが、府立高校では、入社後のミスマッチを防ぐため、生徒が職場環境や仕事内容を体験できる職場体験や、京都労働局等と連携して企業の担当者から直接お話を聞くことができる就職説明会を開催するなどの支援を行っております。
さらに、府南北に拠点校を設け、府立高校生の就職支援を行う「ジョブ・サポート・ティーチャー」を配置し、求職状況の情報収集や生徒の面接指導を行っており、今後も企業や職種を知る機会を増やし、生徒の希望や適性、能力に応じた職業選択ができるよう努めてまいります。
また、高校卒業後、短期間で離職をした生徒への支援についてでございますが、これまでから、卒業後も教員は生徒が採用された企業等を訪問することで、生徒を激励したり職場での勤務状況を確認するなど、離職防止に取り組んできたところでございます。しかしながら、就職後、様々な事情により短期間で離職等に至ってしまうケースも見受けられます。
制度上、卒業後3か月以内であれば、学校から職業紹介を行うことが可能でございますが、それを超える場合につきましては、本人から相談があった際に旧担任を中心に丁寧に対応し、京都ジョブパークの支援制度を案内するなど、早期の再就職につながるよう努めているところでございます。
府教育委員会といたしましては、大学や企業、関係機関と連携した取組を進めることにより、生徒一人一人が自己や社会について新たな気づきや発見をし、自らの将来について主体的に考え、社会に積極的に参画することができるようキャリア教育を進めてまいります。
◯知事(西脇隆俊君)
◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 専門学校に対する支援についてでございます。
専門学校は、社会に出てすぐに役立てることができる実践的な職業教育や専門的な技術教育を行う高等教育機関であり、医療、福祉、IT、理容・美容、調理など多岐にわたる業界に有意な人材を育成・輩出し、地域経済の発展に大きく貢献いただいているところでございます。
特に近年は技術革新が進み、それぞれの職業においてより高度な知識や技能が必要となってきていることから、社会のニーズに対応した柔軟かつ実用的な教育を提供できる専門学校の重要性は、これまで以上に高まっているものと考えております。
そのため、京都府といたしましては、所得などの要件に応じて専門学校に通う生徒の授業料などの減免を行っており、多子世帯の生徒に対しては、今年度から所得制限を撤廃し対象を拡大したところでございます。
また、学校の運営経費のうち、教育図書や教材・教具など直接生徒の教育に必要な経費についても支援を行ってきたところでございます。
さらに、より実践的かつ専門的な知識や技術を身につけ、即戦力となる人材の養成を図ることが必要なことから、企業等と連携して職業実践専門課程を設置する専門学校に対して、カリキュラムの編成や実習・実技の授業、教員への研修などに必要となる費用を新たに補助対象とするように今年度から制度を拡充したところでございます。
今後とも、専門学校が職業教育機関の中核としての役割を発揮されますとともに、そこに通う生徒の皆様が安心して学ぶことができるよう支援してまいりたいと考えております。
次に、大学生の府内定着等についてでございます。
「大学・学生とともにのばす京都プロジェクト」についてでありますが、京都は43の大学・短大が所在し約17万人の学生が学ぶ「大学・学生のまち」であり、京都府と大学が連携して、地域の活性化とともに学生の京都への愛着を高めるために、様々な分野で大学の知と学生の力を生かした取組を行ってきたところでございます。
昨年度は、過去最多の23大学、約1,400人の学生による52のプロジェクトを採択し、具体的には、「キャンパス内で地域の保育所などと連携して、保育学生と子育て世帯の親子との交流や親子で安心して遊べる場所の提供」「学生が地域の伝統食の生産方法などを学び、地域住民と協力して現代風にアレンジした伝統食の共同開発・販売」などに取り組んだところでございます。
その成果といたしましては、学生にとっては自らの研究課題の実践や異世代との交流の機会となったほか、プロジェクトに参加された方々にとっては学生の感性やアイデアに触れ刺激を受けるなど、双方に有意義な取組だったと考えております。
また、府内定着率を引き上げるためには、京都への愛着を高めるだけではなく、学生が魅力を感じる就職先の掘り起こしや育成に加え、新しい産業の創出、子育て支援策の充実など、京都が学生や若者に選ばれるための総合的な取組が必要だと考えております。
このため、新たに在学中に府内企業の魅力に触れる機会を創出する「京都未来人材育成プロジェクト」の実施、京都ジョブパークや京都企業人材確保センターにおける企業の魅力発信や働きやすい職場づくりへの支援、地域の特色を生かした産業創造リーディングゾーンの形成やスタートアップ・エコシステムの構築、「WEラブ赤ちゃんプロジェクト」や子育てにやさしい職場づくりなど、子育てしやすい風土づくりなど、総合的な対策を進めているところでございます。
今後とも、学生を引きつけることができる魅力ある京都づくりを進め、将来の京都を担う人材の定着につなげてまいりたいと考えております。
次に、第二新卒や早期離職者の府内定着についてでございます。
京都企業の人手不足解消に向けては、就職後に離職し求職活動をしている方に府内企業へ再就職いただくことも有効だと考えております。
京都ジョブパークでは、第二新卒や早期離職者に対し、専用窓口でキャリアカウンセリングや企業とのマッチングを行っており、離職者からは「知識や技術を身につけ、新たな業種で再就職したい」、企業からは「採用後も継続したスキルアップが必要だが、単独での訓練が困難」などの声がございました。そこで、昨年度から、府内企業で働きながら製造業や販売業の専門スキルの習得を目指す集合型訓練を提供する「就業・育成一貫支援プログラム」を開始し、第二新卒や早期離職者も含め114名が正社員として就職されたところでございます。
また、就職や進学を機に府外に転出された方に、再就職先や異動希望場所として京都を選んでいただけるよう、将来にわたり京都に関心を持っていただくためのつながりをつくることも重要でございます。
京都ジョブパークでは、東京にUIJ窓口を設置し、第二新卒や早期離職者からの移住・就職相談に対応いたしますとともに、東京や大阪で開催される民間の転職フェアにおきまして京都企業のPRを行っております。今後は、首都圏における高校や大学の同窓会組織や府内出身者によるネットワークなどにも働きかけ、京都や京都企業の魅力、移住等に係る支援制度の情報を発信してまいりたいと考えております。
京都での暮らしや働きたくなる情報を提供しながら、長期的なつながりをつくっていくことで、就職後の異動先や離職後の再就職先に京都を選んでいただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
◯楠岡誠広君
◯議長(荒巻隆三君) 楠岡誠広議員。
〔楠岡誠広君登壇〕
◯楠岡誠広君 まずは教育長、御答弁ありがとうございました。
キャリア教育に関して、自主的に自ら考えて自分の働く職業観を得ていくというところ、ミスマッチのないように職場体験などをしていただいていることを力強く感じました。それぞれ、将来自身がどのように社会で活躍したいか、意識を高く持って充実した高校生活が送れるよう、今後もサポートをお願いいたしたいと思います。職業観が高まることによって、逆に進学の勉強のほうにしっかりとさらに具体的にそこに取り組んでいこうかというモチベーションもあると思いますので。
また、すばる高校のような取組はほかの高校でもあるかと思いますが、それぞれ共有をいただきまして、地域格差のない教育体制の充実を願いたいと思っております。
専門学校に関しましては、京都府独自の財源でずっと支援をし続けてきたというところも聞いておりますし、先ほどの企業との連携で増額されたということもありますので、引き続き現場のニーズに沿った支援をお願いしたいと思います。
とかく専門学校というのは、準一条校という立ち位置もありまして、教育行政からの距離感なども含めて専門学校などの現場課題に対して、みんながみんな理解をしているという状態ではないのかなというのも根底にあります。だからこそ、所管する地方行政のほうからの支援が大切だと思いますので、何とぞよろしくお願いいたします。
大学の府内定着率に関してですが、平成29年度から数字を追いかけ始めたということ自体が、非常にいい取組なんだというふうにまずは思っております。だからこそ、今、効果検証なりのお話ができているので、この具体的なプロジェクトの取組も含めて、一つ一つの積み重ねが数字に最終的にどのように出るんだろうというところを今後も取り組んでいただければと思うんですが、先ほどもお話ししましたが、18%の内訳が実際もともと京都の方がどのぐらいいるんだろうかというようなところがもう少し具体的に追いかけられましたら、目標の26%に向けてセグメント別に、元京都にいた方向けのメッセージであったり、府外から京都に来た方へもう一回戻ってきてもらう、残ってもらうという別々のアプローチも取れるのかなと思いますので、ぜひ、お取組をお願いしたいと思います。
最後に、高校、専門学校、大学いずれにしましても、就職後の離職や再就職の支援というのが非常に大事だろうというふうに思っております。有名企業も京都は多いですが、東京や名古屋、大阪といった大都市圏の魅力や、そこに本社を構える知名度が高い大きい企業群に対して獲得競争をして府内定着率を上げるのであれば、やっぱり中小企業が多い京都府の産業構造を踏まえまして、謙虚な戦術を持って第二新卒などのアプローチを今後も続けていただくことを期待したいと思います。
それでは、次にまいります。次は、警察官の採用活動について警察本部長にお伺いいたします。
現状の京都府警の課題認識として、社会全体の少子化、民間企業における採用の強化などにより、申込者数や受験者数が減少傾向にあり、また採用試験合格後の辞退も平均3割程度あるということで、その防止に向けた活動も必須であると伺っております。
実際に令和元年からの試験の実施状況を見ますと、直近の令和6年度採用における最終合格者数は350名程度と過去6年と比較しても必要な募集人数を確保した採用活動がされておりますが、競争倍率は、令和元年から3年度の3年平均では5倍程度あったものが、令和4年度で4.4、令和5・6年度ではともに3倍と下がってきております。
申込者数も、令和元年から3年度の3年平均は2,120人なのに対し、令和4年度では1,916人と微減にとどまりましたが、やはり令和5年度で1,467人、6年度で1,420人と過去2年間で大きく減少している様子は、課題認識のとおりコロナ明けの人手不足や民間の採用強化、賃金上昇などの影響を受けていると思われます。
この申込者の減少を取り戻すべく周知活動などを拡大強化することも大切ですが、多様化する社会問題に対して今までのイメージの警察官だけでなく、例えばデジタル人材、多言語対応の人材など多様な特色を持つスペシャリストを確実にそろえていく方針の基、採用募集の裾野を広げ、申込者増につなげることも大切かと思います。
実際、令和7年度第1回京都府警察官採用試験案内を拝見しますと、資格加点制度があり、武道や情報処理、語学には英語をはじめ中国語、韓国語、ポルトガル語など様々な多言語の資格の加点枠がございます。ただ、試験要項を見る限りでは、第一次試験の教養試験100点、口述試験100点、体力試験50点の計250点に対し、資格加点は10点にとどまりまして、私個人としてはもう少し配点割合を高めてもよいように感じました。
また、二次試験では、口述試験300点に一次試験の作文100点は合算するものの、ほかの一次試験項目は合算されず、資格加点の10点も最終点数に含まれません。一次試験が警察官としての最低限一定の能力をクリアするための最初の選抜と考える一方で、二次試験はそこから多様な人材を多様に評価し、必要な人材に応じて採用を決定していくものかとも思いますが、加点評価の導入目的や運用も含め、いわゆる各能力の特徴や伸びしろの部分をどのように最終評価して採用されてきたのか、教えてください。
また、二次試験には、人材の身体基準や適正検査の判定があり、例えば裸眼視力0.6または矯正視力1.0以上や色覚異常も含め、職務執行に支障のない身体的状況という項目があり、これらを満たしていない場合は残念ながら不合格となります。警察官として求められる一定の基準や能力を満たしつつも、多様な人材を評価し採用するのは大変な苦労があるかとは思いますが、この基準も多様化する警察官の活躍場所を考えた場合、今の基準が適切な程度なのか、それにより逃してしまう人材はいないかとも考えます。
多様化するスペシャリスト人材の確保や採用後の適材適所への配置など、必要な人材の確保・育成は想定どおり進んでいるとお考えでしょうか。
最後に、最終合格後の採用辞退者について、これは民間との競合部分もありますが、別の行政地域の警察への就職を理由に内定辞退をいただくケースも多いとお聞きしておりますが、京都で警察官になり、京都で警察キャリアを形成していくこと、その強みや特徴などをどのように考え、発信されておられるでしょうか。
次に、賃上げ施策について知事に伺います。
本年4月14日、日経新聞の一面には、「初任給30万円以上130社」の見出しがありました。人手不足を背景に新卒採用は2桁の伸びを示し、同社の2026年度採用計画調査では、初任給平均は24年度比4.9%で25万4,228円と過去最高とありました。
一方で、3月13日の毎日新聞では、「新卒初任給増、しわ寄せ年齢格差、中高年悲哀」との記事があり、約2万5,000人の賃金データを基に年齢別賃上げ率を算出した内閣府の経済財政報告によると、24年はいずれの年代も増えたものの、29歳以下で4.2%増、30代では3.6%増、40代は2.7%増、そして50代は1%増にとどまったと報じられております。
昨年、私も一般質問で取り上げました就職氷河期世代などの中高年の賃上げは、若手の給与増の動きからは遅れており、企業は今後、社内全体の賃金バランスを見ながら幅広く賃上げに取り組んでいく必要に迫られております。
本議会でも、賃上げに対しては様々議論があり、直接支援の必要性の訴えも一部上がる中、本府では企業の収益性を高めて賃上げの原資をつくり、持続的な賃上げが進むよう生産性向上などの補助金などの支援施策を進めておられると認識しております。
私自身の考えとしても、一過性の直接支援より、本質的に賃上げが続く企業努力をサポートすることが好ましいと思っておりますが、一方で、補助金などで企業投資をした支援の結果が最終的に確実に賃上げに回っているのか、その検証が難しいという課題も感じております。
昨年度は、金融・経営一体型支援体制強化事業費において「賃上げ枠」をつくり、持続的な収益確保に向けた補助金支給の一定条件として、時給単価の上昇など賃上げ要件も組み合わせた取組もされておりましたが、本年度に関して同様の取組がございません。
また、国の制度を見ますと、補助金ではありませんが厚生労働省の事業で、事業内最低賃金引上げ計画とともに設備投資などへの補助金的な側面も組み合わせた、最大600万円を支給する業務改善助成金の制度がございます。
そこでお伺いいたします。
賃上げを補助金などの採択要件に組み合わせる施策は、制度が複雑になることも理解をしておりますが、本府の取組として確実に賃上げにつなげるために今ひとつ工夫が必要かと考えますが、いかがでしょうか。
次に、賃上げの実態把握、効果検証についても検討が必要だと考えます。
先月の5月7日、京都新聞一面にて「日銀、賃上げ独自調査へ」との報道がありました。日銀が金融政策を検討する際に、従来は労働組合の中央組織である連合が加盟組合の状況を集計した賃上げ率などを参考にしてきましたが、労働組合のない企業も含め賃上げに苦慮する中小企業の実態を十分に把握するために、日銀が独自に賃上げの状況を把握し、四半期ごとに実施するいわゆる日銀短観の項目に、早ければ2027年にも追加するとのことです。
また、平成25年度から「所得拡大促進税制」として始まり、制度名を変えながら年々強化されてきた現在の「賃上げ促進税制」におきましては、例えば中小企業向けであれば、雇用者全体の給与総額が対前年度比2.5%以上増加した場合、最大45%の控除率で法人税が軽減されます。当期法人税額などの20%という控除上限額もありますので、必ずしも大きな恩恵になっているかどうかは各企業の状況にもよるかと思いますが、企業の賃上げの努力に対して一定の評価と配慮が毎年あることは企業にとって持続的に賃上げするモチベーションにつながると感じております。
さらに、財務省がEBPM(エビデンス・ベースド・ポリシー・メイキング)という観点から、この「賃上げ促進税制」における平成25年度から令和4年度見込みまでの税務データを分析し、その資料をまとめております。その要旨は、近年の「賃上げ促進税制」の適用実績は名目GDPと連動し、また足元の令和4年度は物価が上昇する中、「賃上げ促進税制」の適用件数・適用額は大きく増加とあり、令和4年度見込み時点では21万5,000件余のうち大法人が約4,070件の適用対象となりました。経済産業省の公表データを参照すると、日本の企業数は337.5万社のうち大企業は約1万社ですので、大法人に関しては40%近くが「賃上げ促進税制」の対象となっております。
その適用条件も、継続雇用者の賃上げ率が最低3%以上増加としておりますので、賃上げが確実に力強く行われている企業数を捉えているのかと思います。さらに、大企業群では外形標準課税の対象となる企業が多く、赤字・黒字関係なく税額控除の対象となるため、賃上げしている実態数を把握、反映しやすいのだと思われます。
一方で、中小企業及び小規模事業者で見ますと、336.5万社のうち21.1万社の約6.3%程度しか適用になっておりません。もちろん、中小企業、小規模事業者において税額控除の恩恵を受けるのは黒字を達成し、課税対象となる利益を確保できた事業者が対象となることから、欠損法人と呼ばれる赤字企業においては、賃上げの実態はこのデータからは残念ながら読み取れません。実際に賃上げは実現しているものの、防御的な対応のため赤字になっている事業者も多いと想像されますので、最近の欠損法人の微増や倒産件数の増加といった様々なデータも追いかける必要があろうかと思います。
そこでお伺いいたします。
本府では、賃上げを大事な施策テーマとされる中で、どのように賃上げの現状を把握しておられるのでしょうか。また、賃上げに対する支援の結果をどのように検証しておられるのか、教えてください。
次に、「賃上げ促進税制」については、本年度から中小企業は繰越控除が可能となり赤字の決算年でも制度の対象となるため、賃上げの実態を図る指標としての精度も上がろうかと思います。ただ、国が管轄する税務データを税務署から提供してもらい、統計的に府内で活用することは難しいとも聞いております。
そうであれば、例えば本府でも「賃上げ促進税制度」を横出しする形で条例を制定し、法人二税のいずれかを軽減の対象にしてはどうかと思います。
そこでお伺いいたします。
賃上げ達成企業に対する税負担の軽減は、本府として当該企業を評価し支援していることを示す上で大切な取組になると考えますが、いかがでしょうか。また、軽減を通じて賃上げの実態を把握してはいかがでしょうか、御答弁をお願いいたします。
◯警察本部長(吉越清人君)
◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯警察本部長(吉越清人君) 楠岡議員の御質問にお答えいたします。
府警察における警察官の採用活動等に関する取組についてでございます。
まず、警察官の採用試験では、第一次試験において警察官として必要な知識を見る筆記試験、文章力を見る作文試験、社会性や論理性を見る集団討論、体力を見る体力試験。続いて第二次試験において、警察官としてふさわしい人格や人間性を見る個別面接を実施し、受験者の能力や適正を評価しております。
この中で、資格加点制度につきましては、警察官としての職務執行に有益と考えられる一定の資格の保有者に対し、第一次試験の段階で一定の加点を行うものとして、平成19年度から導入しており、柔道、剣道のほか、語学及び情報処理の資格を順次追加しております。
受験者の潜在的な能力については、集団討論や個別面接における受け答えにおいて、受験者の得意分野や資格取得等に取り組んできた背景、努力や成果を説明させるなどによりその把握に努めております。
また、身体基準等につきましては、警ら、交通取締り等一般的な警察官としての職務執行に必要な基準を設けておりますが、平成28年度から、身長及び体重の体格基準を廃止するなど多様な人材の確保に向けて適宜見直しをしております。
次に、スペシャリストの確保に向けた取組でございますが、特に専門的な知見を要する業務などに対応するため、化学、薬学等の専門分野を専攻したことを条件とする科学捜査研究所の鑑定員、特定の国家資格の保有を条件とする航空機や車両の整備士などを一般職員として採用しております。また、サイバー空間における対処に向け、サイバー分野に秀でた警察官など必要な人材の確保に向けた検討・調整を進めているところです。
さらに、警察官として採用後は、語学、IT等特定の分野において能力と適性のある者について、本人の意向も踏まえつつ、その能力を発揮できる専門的な職場に配置した上で、より高度専門的な研修を受講させるなどして、スペシャリストの育成を図っております。
最後に、採用の辞退防止に向けた取組と府警察としての特徴・強みの発信についてでございます。
まず、警察の業務は、国民、社会、国家を守る崇高な使命を有する大変重要でやりがいのある仕事であると認識をしております。
その中でも府警察は、歴史、文化、伝統のある京都の安全・安心を守るため、サイバー対策、犯罪情報分析など、その時代の治安情勢に応じた体制を全国警察に先駆け積極的に構築する進取の気風があり、個々の実力を生かせる職場であると認識をしております。また、年齢や性別に関係なく一人一人の職員が尊重され、安心して長く働くことができる職場環境の整備を推進しております。
こうした魅力につきまして、業務説明会、SNS、ホームページ等で発信し、採用の辞退防止を含めて、引き続き優秀な人材の確保に向けた取組を強力に進めてまいります。
◯知事(西脇隆俊君)
◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 賃上げ施策の効果検証と賃上げにつなげるための工夫についてでございます。
賃金の引上げは、労働者の生活の安定と向上が図られることにより経済の好循環をもたらし、さらには地域経済の活性化にもつながることから重要だと考えております。
京都商工会議所が令和6年6月に、京都府内に本社・本店等を有する企業506社を対象に実施した経営経済動向調査によりますと、「賃上げを実施する企業」は大企業89.5%、中小企業76.6%、「同水準を維持する企業」は大企業9.5%、中小企業18.0%、「未定」は大企業1.1%、中小企業5.4%となっております。賃上げを実施しない、または未定とする理由は、「自社の業績が改善しない」が最も多く、「景気の先行きが不透明」「前回の賃上げから間もない」などが挙げられております。
また、現在の賃金水準につきましては、「非常に負担」「多少負担」の回答を合わせた割合は、大企業でおよそ4割程度であるのに対しまして、中小企業ではおよそ6割に上っております。
このような中、賃金の引上げが持続的に行われるためには、中小企業が原資となる収益を確保できるよう、経営基盤の強化など体力をつけていただくことが必要でございます。
このため、京都府ではこれまでから、中小企業応援隊の伴走支援を通じて中小企業の経営改善を支援してきたところでございますが、令和5年に最低賃金時間額が前年から40円引き上げられ、初めて1,000円を越えたことから、賃上げに取り組む中小企業への支援を強化したところでございます。
令和5年度2月補正予算におきましては、金融・経営一体型支援体制強化事業の枠組みの中に新たに「賃上げ枠」を設け、従業員の賃上げ計画の実現に向けた経営改善を支援するとともに、賃上げ計画の実現を検証する仕組みをつくりました。
「賃上げ枠」により支援した28事業者は、全て賃上げを実現されたところでございます。28組の取組内容を検証した結果、赤字経営から黒字経営に転じた事業者や、黒字経営を維持している事業者が半数を超えており、具体的には、生産設備を導入し製造工程の効率化により生み出された人材で自社製品の企画や販売を強化した事例や、大型商品向けフォークリフトの導入により作業効率が上がるとともに、導入前には対応できなかった新たな顧客を開拓できた事例など、単なる設備の導入にとどまらず省力化等を通じて生まれたマンパワーを活用し、新しい取組にチャレンジした結果、賃上げを実現した企業が数多く生まれました。
こうした中小企業の経営実態について検証した結果を踏まえ、今後は、付加価値額の成長率や賃上げ目標額などの設定と目標達成時におけるインセンティブの付与、事業計画への新しい取組に向けたチャレンジの記載と経営の専門家による交付前チェックの強化、複数年にわたる賃上げを後押しする伴走型の支援など、賃上げにつなげるための工夫を幅広く検討してまいりたいと考えております。
また、先般閣議決定された「骨太方針2025」におきましても、「賃上げこそが成長戦略の要である」として、適切な価格転嫁と生産性向上支援により中小企業の賃上げを後押しする方針が示されたところでございます。
賃上げが大きな潮流となる中、物価上昇を上回る賃上げを普及・定着させ、賃上げを起点とした成長型経済につなげられるよう中小企業施策を推進してまいりたいと考えております。今後とも、国の各種施策と連携し、府内企業が持続的な賃上げに取り組んでいただけるよう、全力で支援してまいりたいと考えております。
次に、中小企業に対する法人二税の軽減を通じた賃上げの実態把握についてでございます。
法人二税につきましては、法人事業税は法人が様々な行政サービスを受けるために必要な経費を分担いただくもの、法人住民税は地域社会の費用を幅広く負担していただくものでございます。
法人二税の課税趣旨や税の公平性の観点を踏まえますと、中小企業への賃上げへの支援を法人二税の軽減を通じて一時的に行うことは慎重であるべきではないかと考えており、京都府といたしましては、持続的な賃上げにつなげられるよう、業界、企業の実情に応じた生産性向上の取組などにより支援してまいりたいと考えております。
今後とも、最低賃金の動向や春闘による賃上げ率などを踏まえつつ、京都府が実施する施策の成果検証を継続して行い、生産性向上による中小企業の賃上げを後押しできるよう工夫をしてまいりたいと考えております。
◯楠岡誠広君
◯議長(荒巻隆三君) 楠岡誠広議員。
〔楠岡誠広君登壇〕
◯楠岡誠広君 警察本部長からの御答弁、ありがとうございました。
採用に関しまして、身長・体重の条件を平成28年に撤廃する、もっと言うと平成19年から資格加点制度を導入しているということなど、社会情勢に応じて少しずつ変化・対応されてきたということで、今後の急激な多言語化やDXに関しても柔軟に取り組んでいかれることを期待しておりますし、キャリア形成も各人の特徴を生かしながらキャリアパスをつくっておられるということで、今後も期待をしております。繰り返しになりますが、京都で警察官になり京都で警察キャリアを形成していく、そのことにまさに今、誇りを持っていただけるようなお取組を京都府警として今後もより一層お願いしたいと思います。
また、賃上げの施策に関して知事の御答弁、ありがとうございました。
まず、税軽減については、財政規律の側面からもなかなか現実、難しいということは私も承知をしておりますが、そこは補助金という支出のバランスも大切なのかなと思っております。とかくコロナを挟んで個人も事業者も、いわゆる補助金などを活用する、いただくというようなことも一般的になってまいりましたし、税を集める・配るというところに関して肥大化していく傾向というのは否めないのかなというふうに思っておりますので、自立的に頑張って結果を出している企業に対して、インセンティブで報いるというところは大事なのかなと思います。
税の軽減に限ったことではなく、先ほども補助金に関しての評価などで付加価値額をインセンティブで追加的に付与するのか、具体的な内容はまたこれからかとは思いますが、評価というところをしていただければと思います。
企業は、決算情報とか年末調整時には全従業員の賃金データ、社会保険にしても労働保険にしてもそのデータを常に報告をしておりますので、そういった実績データを活用してできるだけ企業に手間をかけないという形で、精度の高い情報をもって現状把握、効果検証をお願いしたいと思っております。
こういった思想に関しては、事務事業評価なり新陳代謝促進プログラムなり、本府の施策のPDCAサイクルを回す上でも必要な視点かと思いますので、何とぞ前向きなお取組をお願いして、私の代表質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)