議会活動

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1 原子力防災について
2 大阪・関西万博に関連した施策について
3 宿泊税について
4 医療機関へ誘導する標識について
5 その他


議事録全文

◯上倉淑敬君

◯議長(石田宗久君) 次に、上倉淑敬議員に発言を許可します。上倉淑敬議員。
   〔上倉淑敬君登壇〕(拍手)

◯上倉淑敬君 国民民主党・日本維新の会議員団の上倉淑敬です。
 まず、質問に入ります前に、本定例会に提案されました令和7年度当初予算案及び令和6年度2月補正予算案についてですが、防災・減災に向けたインフラの整備や、4月13日に開幕いたします大阪・関西万博を契機に京都の魅力を発信する事業、何よりも子育て環境日本一を実現するための多くの施策など、府民生活に必要不可欠な予算であるものと会派として高く評価いたしておりますが、今後、本定例会でさらに詳細に予算の中身の議論をし、知事はじめ理事者の皆様方とともに府民に御理解をいただくことに努めてまいりたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、府政に関する諸課題について、さきに通告いたしましたとおり会派を代表して質問をさせていただきますので、御答弁よろしくお願いいたします。
 まずは、原子力防災についてです。
 我が国のエネルギー政策は、現在、国によって策定されています第6次のエネルギー基本計画に基づき様々な施策が推進されていますが、次の基本政策であります第7次エネルギー基本計画は昨年12月17日に原案が公表され、1月26日までパブリックコメントを募集していましたが、本日閣議決定がなされました。この基本計画の中では冒頭に、抜粋いたしますが「我が国は、すぐに使える資源に乏しく、国土を山と深い海に囲まれるなどの地理的特性を抱えており、過去に幾度もエネルギー安定供給の危機に見舞われ、その都度、英知を結集してエネルギー安定供給の確保に取り組んできた」と述べられています。まさにそのとおりであり、エネルギーの安定供給は経済の発展はもとより、国民生活全般にわたって必要不可欠な要素であります。
 しかしながら、同計画でも「2011年の東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故以降、原子力発電所の多くが停止した結果、化石燃料に対する依存が高まり、その大宗を海外からの輸入に頼るという、エネルギー需給構造上の脆弱性が再び顕在化することとなった」と言及しています。
 さらに、「ロシアによるウクライナ侵略が発生し、我が国を取り巻くエネルギー情勢が一変した。エネルギー分野におけるインフレーションが世界的に顕著となり、我が国においても電力需給ひっ迫やエネルギー価格の高騰が生じるなど、石油危機以来のエネルギー危機が危惧される事態となった。翌年には、我が国が原油の9割以上を依存する中東地域における軍事的緊張が高まり、化石燃料の調達に関する不確実性が上昇するなど、我が国が抱えるエネルギー需要構造上の課題が改めて浮き彫りとなった」とも言及しています。事実、このとおりだと思います。
 このような我が国を取り巻く環境の中、エネルギー需要を十分に満たすために福島第一原子力発電所の事故以来停止していた原発も、原子力規制委員会により新規制基準に適合すると認められた原発が8発電所で14基稼働しており、関西電力管内では、美浜発電所3号機、大飯発電所3・4号機、高浜発電所1・2・3・4号機が稼働しています。エネルギー需要を満たすために原発を稼働させることが必要不可欠であるとまでは申し上げませんが、第7次のエネルギー基本計画でも述べられていますとおり、我が国を取り巻く現在の世界情勢の中で、脱炭素に向け化石燃料依存からの脱却を図りつつエネルギー需要を満たすためには、再生可能エネルギーの比率を高め技術の革新を進めることと併せて、原子力規制委員会の定めた新規制基準に適合すると認められ、安全性の確認された原発を地元の理解を得つつ稼働させることは、エネルギー価格の高騰を防ぐためにも必要な方針であると一定理解をしています。
 しかしながら、再稼働をした原発の安全性は新規制基準に適合すると認められたとはいえ想定外は起こり得ます。特に原発の立地から近い地域の住民は、万が一事故が起こった場合には速やかに避難する必要があり、地震などの災害対応にも特別の準備が必要であることは申し上げるまでもありません。本府は、福井県で稼働中の大飯原発と高浜原発が立地している地域から隣接していることは御承知のとおりであり、特にこの原発と隣接地域での原子力災害への対応に対する取組について、改めて本府の御認識をお伺いさせていただきます。
 まずは、原子力災害に備えた防護措置を講じる重点区域についてです。2011年の福島第一原子力発電所の事故が発生する前までは、おおむね原子力発電所から約半径8キロメートルから10キロメートルが重点区域でしたが、福島第一原子力発電所の事故の際には、この範囲を超えて避難などが必要になったこともあり、IAEA(国際原子力機関)の国際基準も参考にして、原子力規制委員会が策定した新たな指針では、原子力発電所から、おおむね半径30キロメートルに重点区域が拡大されました。
 この指針により、本府内でも防護措置を講じる重点区域が広がることとなり、本府内の該当する区域では、原子力災害対策に係る地域防災計画や避難計画を策定いただいています。また、IAEAの国際基準に従い、原子力発電所で事故があった際のPAZ(放射性物質が放出される前の段階から予防的に避難を開始する区域)とUPZ(屋内退避などの防護措置を行う区域)を設けることになっています。これらは原子力災害対策指針では、PAZは原子力発電所からおおむね半径5キロメートル、UPZはおおむね半径30キロメートルを目安として、地方公共団体が地域の状況を勘案して設定することとしています。
 これらの基準に照らし合わせると御承知のことではありますが、本府では北部地域でUPZの自治体が複数あり、また舞鶴市の一部は日本で唯一原子力発電所立地自治体から都道府県域をまたいでPAZを有しています。そして、高浜原発からのPAZ、UPZには約10万人、大飯原発からのUPZには約7万人の府民が暮らしておられます。これらの地域に含まれる各基礎自治体が懸念される万が一の際のリスクについて、本府とは共有しておられるところと考えますが、改めまして原発立地地域以外の都道府県で唯一PAZを有し、UPZも多く含まれている本府として、原子力災害時におけるリスクや、各自治体でさらなる備えを整えるための国からの支援について、どのようにお考えか御認識をお聞かせください。
 また、当然ながらPAZ、UPZに含まれる地域では、原子力事故時の避難計画も策定いただいており、昨年12月には令和6年度の原子力総合防災訓練も実施されておられます。この訓練では、海路・空路での避難訓練や、陽圧化装置の稼働訓練、住民避難訓練などが行われました。訓練は万が一に備え、地元の住民の皆様や自治体などが行っていただいておりますが、原発立地地域から隣接しているがためのもので、当然御負担でもあります。また、避難計画の実効性を上げるために日頃の訓練は大変重要でありますが、災害がやってくるのは突然です。どれだけ備えても想定外は起こり得ますが、特に避難道路は避難計画の実効性を上げるためにも、大変重要な要素であると考えます。多くの住民が避難することを考えれば、対策はまだまだ必要です。
 私も先月、PAZに含まれている地域を車で走らせていただきましたが、避難道路としては不安に感じる道も多くありました。住民の皆様に速やかに避難いただくためには、府道や市道などの避難道路の整備について、舞鶴若狭自動車道の4車線化も含めて、さらに推進が必要なことは御認識をいただいていることと存じます。避難計画の実効性や、避難道路の整備にかかる財源、国への要望についてのお考えをお聞かせください。
 また、原子力災害時の避難に関連して、来年度予算には災害時孤立対策強化事業費として府北部の舞鶴市と綾部市にそれぞれヘリポートを整備されることも計画されておられます。昨年の能登半島沖地震で道路の寸断により孤立集落が発生したことを踏まえ、過去に孤立事例のある地区へ整備されることは、災害時の救助などに大いに役立つものであります。設置地域ヘヘリポートを整備することの必要性と災害時の避難路整備との関係など、整備に向けての御所見をお伺いいたします。
 次に、財政面でのPAZ、UPZが含まれる自治体への支援についてお伺いいたします。
 原子力発電所が立地している地域や隣接の地域には、国から交付金などの支援もあります。そのうちの電源立地地域対策交付金は、電源施設が立地・隣接する地域に対し、生活環境の向上や地域経済の活性化を行うことを目的として交付され、活用の幅も広く、交付自治体ごとに様々な事業が展開されています。しかしながら、電源施設・原発が立地している自治体と隣接の自治体では対象となる交付金のメニューが大きく異なり、交付金の額には大きな差があります。立地自治体と隣接自治体で違いがあることは、立地自治体には様々な御負担があることから理解もできますが、さきに述べましたように福島第一原子力発電所の事故以来、PAZ、UPZの考え方を基準として災害時の対応が求められていることを考えれば、電源立地自治体を含まない府県で、日本で唯一PAZが含まれる本府としては、電源立地地域対策交付金に係る考え方について、電源立地自治体並みの扱いへと柔軟な対応を検討いただくことを国へ求めるべきと考えますが、御認識をお伺いいたします。
 例えば、令和4年度実績ではありますが、PAZが含まれる舞鶴市と電源立地自治体である高浜町では、この交付金は約2億円と約22億円で11倍の差があります。少しでも、このような差を縮める要望を国へ求めていくべきと考えます。
 ほかにもエネルギー構造高度化・転換理解促進事業費でも、原子力発電所立地都道府県及び市町村とUPZ都道府県及び市町村では差があるように、国からの交付金等として多くの差が立地地域と隣接地域で存在します。原子力防災に係る考え方を、PAZ、UPZを基準とするように改めてから10年以上が経過する中で、原発立地自治体から都道府県をまたぐだけで、あまりにも国からの支援に差がつくことは、実際に原子力災害が起こった際の住民の避難を含めて、都道府県の違いで多くの問題が生じる遠因となりかねないと考えますが、本府の御所見をお伺いいたします。
 そして、原子力防災に関連する質問の最後に、隣接自治体の事前了解権、いわゆる同意権などの法的整備についてのお考えをお伺いいたします。
 本府が結んでおられます高浜原子力発電所の安全確保並びに通報連絡などに関する協定書では、関西電力は「発電所の増設に係る建設計画及び原子炉施設に重要な変更を行おうとするときは、京都府へ事前に説明しなければならない」との規定や、京都府は増設や施設の変更に危険のあるときは「意見を述べることができる」とあり、関西電力は「措置状況を誠意をもって回答する」などとありますが、原発立地隣接自治体としての問題点を指摘しても、説明や回答すること以外の義務は関西電力にはありません。何度も申し上げますが、本府は日本で唯一府県をまたいでPAZを有している特殊な地域であります。現在は法的な枠組みがなく、関西電力と事前了解権を含むような協定を結ぶことが難しいことは承知をいたしておりますが、国に対してPAZ、UPZの考え方から事前了解権についての法的枠組みの整備を求めることも重要かと考えますが、御認識をお聞かせください。
 日本原子力発電の東海第二原子力発電所では、再稼働について、立地自治体である茨城県東海村のみならず、隣接する4市を含む周辺5市の事前了解が必要とされる協定が結ばれています。この協定は解釈も含めて様々な議論が起こりましたが、立地自治体以外のPAZの自治体とも重要な協定を結んでおられることは、福島第一原子力発電所の事故の教訓を踏まえれば当然の措置と考えられます。国へは、原子力発電所の安全対策を十分に求める観点からも、発電所からPAZの周辺自治体との協定についての法的な整備と、関西電力にはさらなる協定について求めていくべきと考えますが、本府のお考えをお聞かせください。
 まずは、ここまでの御答弁をお願いいたします。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 上倉議員の御質問にお答えいたします。
 上倉議員におかれましては、ただいまは会派を代表されまして今回の予算案に対する高い評価をいただき、ありがとうございます。
 原子力防災についてでございます。
 福井県高浜町に立地しています関西電力高浜原子力発電所につきまして、京都府は全国でも唯一、立地県以外に5キロメートル圏内でありますPAZを有しており、また30キロメートル圏内でありますUPZには、立地県である福井県を上回る約10万7,000人が福知山市、舞鶴市、綾部市、宮津市、南丹市、京丹波町、伊根町に居住されているところでございます。このため原子力災害による万一の緊急事態に備えて、府民の生命と財産を守るためには、国や関係市町、自衛隊などの防災関係機関と連携して避難体制に万全を期すことが重要だと考えております。
 京都府では、これまでから国に対しまして、原子力発電所の安全性を確保するために、国及び地方自治体の権限や責任などの安全対策の手続に係る法的枠組みの構築を求め、また事故発生時の府県域を越えた広域避難の手段を確保するために必要な財源などの支援を求めてきたところでございます。
 また、原子力発電所の安全性を確保するために、京都府とUPZ市町が一体となって地域協議会を立ち上げ、国に対しまして最新の知見と技術評価に基づく審査により、安全性が高まる仕組みの構築を求めますとともに、関西電力に対しましても安全性を最優先として、施設の安全対策に万全を期すことを求めてきたところでございます。
 避難手段の確保につきましては、UPZ市町と連携して原子力災害時の広域避難に備えた避難道路の整備や、避難用車両、放射線防護資機材などの配備に必要な財源の確保について、国に対して要望を重ねますとともに、住民避難の際のバスなどの運転員や、避難退域時検査場所での運営要員の確保などについても要望してきたところでございます。
 京都府といたしましては、地震などの自然災害と原子力事故による複合災害を想定した広域避難計画を策定し、計画の実効性を高めるために国や関係機関と連携して避難道路や放射線防護施設を整備し、消防や自衛隊、海上保安庁と連携して実働訓練に取り組んでいるところでございます。
 次に、避難道路の整備についてでございます。
 京都府が全国でも唯一立地県以外にPAZを有しており、UPZに立地県を上回る約10万7,000人の府民が居住されていることから、緊急時に備えた避難道路の整備が重要だと考えております。
 このため、道路整備の財源確保を国に強く要望してまいりました結果、平成29年度から経済産業省の電源立地地域対策交付金の対象が避難道路の整備にも拡大されますとともに、単年度当たり約2億円が増額されたところでございます。
 また、平成30年度に内閣府のモデル事業として創設されました緊急時避難円滑化事業につきましても令和3年度から恒久化されたところであり、これら2つの交付金を活用いたしまして避難道路の2車線化や狭隘部分の拡幅、のり面保護などの整備を進めているところでございます。
 さらに、昨年1月の令和6年能登半島地震において、北陸電力志賀原子力発電所の周辺地域も含めて道路が寸断し、多数の孤立地域が発生したことを踏まえまして、国に対して代替道路の整備も見据えた財源の大幅な拡充を要望しているところでございます。
 災害時の緊急輸送道路として、避難や物資輸送の大動脈の機能を有する舞鶴若狭自動車道につきましては、原子力災害時においても円滑な広域避難に不可欠な道路でありますことから、舞鶴西インターチェンジから舞鶴東インターチェンジまでの区間を含む全線4車線化に向けまして、引き続き国に対して要望してまいりたいと考えております。
 次に、ヘリポート整備についてでございます。
 自然災害と原子力事故との複合災害への備えに万全を期すためには、陸路・海路・空路による複数の避難経路による避難や支援の体制強化が必要だと考えております。このため国に対しまして、ヘリポートの整備に必要な財源の確保に向けた要望を行ってきた結果、原子力発電施設等立地地域基盤整備支援事業交付金の対象にヘリポート整備が追加されたことから、令和6年能登半島地震で道路の寸断により孤立地域が発生したことを踏まえまして、空路による災害時の孤立対策の強化を図ることとし、ヘリポートの整備を進めることといたしました。
 整備の候補地につきましては、沿岸部や中山間部で集落へのアクセス道路が限られており、過去に台風や大雪などの自然災害で孤立が発生した状況も踏まえながら、UPZ市町との協議を進め、今回、舞鶴市田井地区と綾部市奥上林地区の2か所において整備を行う市を支援してまいりたいと考えており、今定例会に必要な予算案を提案させていただいたところでございます。
 次に、電源立地地域対策交付金の立地自治体並みの取扱いを国に求めることについてでございます。
 この交付金は、発電用施設周辺地域整備法等に基づき、地域の活性化や地場産業の振興などを目的として、原子力発電所の立地地域または隣接地域の区分により自治体単位に交付されますことから、立地と隣接の違いによって自治体間で交付金額に差が生じているところでございます。
 京都府では、これまでからUPZ市町が一体となって原子力防災対策を進めており、電源立地地域対策交付金につきましては、交付対象に隣接地域だけではなくUPZ内の全ての自治体を追加するとともに、大幅な増額を国に対して要望しているところでございます。
 次に、原子力発電所の安全対策に係る事前了解についてでございます。
 京都府は、全国でも唯一、立地県以外にPAZを有するほか、UPZの住民が立地県を上回るとともに、京都府とUPZ内の全市町が避難計画の策定義務を負っておりますが、原子力発電所の安全確保に必要な国や事業者との間で、手続におきましてそのような事情が考慮されていないところでございます。
 このため京都府では、これまでから国に対しまして、国と地方自治体の権限や責任、同意を求める地方自治体の範囲、広域避難計画の承認など、具体的な手続を定めた法的枠組みを構築することを繰り返し要望してきたところでございます。
 また、令和5年12月に国が取りまとめた「GX実現に向けた基本方針」以降は、原子力発電所の建て替えを含む新たな開発・建設に係る国と地方自治体の権限や責任、同意を求める自治体の範囲などについても国に対して法的枠組みの構築を要望しているところでございます。
 次に、関西電力との間で締結する安全協定についてでございます。
 京都府とUPZ内の全ての市町には、原子力災害対策特別措置法等に基づき避難計画の策定義務があることから、UPZ内市町で原子力発電所の立地自治体に隣接しているかしていないかで、安全協定の扱いが異なることは課題だと考えております。
 このため、自治体と事業者で締結する安全協定につきましては、これまでから対象となる自治体の範囲や協定項目、基準を法令上で明確に定めるよう国に対して繰り返し要望いたしますとともに、地域協議会を設置して関西電力との間でUPZ内の市町がそろってそれぞれ単独に協定を締結し、異常時に直接連絡を受けることができるよう安全協定の見直しを行ってきたところでございます。
 今後とも、UPZ市町と連携をし、国や関西電力に対して原子力防災対策に必要な対応を求めますとともに、避難道路の整備や、関係機関と連携した訓練に取り組むなど、原子力防災対策の強化を図ってまいりたいと考えております。

◯上倉淑敬君

◯議長(石田宗久君) 上倉淑敬議員。
   〔上倉淑敬君登壇〕

◯上倉淑敬君 御答弁ありがとうございました。
 本府が地元の自治体と一緒になって万が一の原子力災害に備えて様々なお取組、要望に御尽力いただいていることには改めて感謝を申し上げたいと思いますし、様々実現していただいていることにも感謝申し上げたいと思います。
 しかしながら、まだまだPAZ、UPZという考え方になっているにもかかわらず、設置自治体と隣接自治体の間で差があることは事実でもあろうかと思いますので、引き続き、国への要望も含めて、本府は日本で唯一の特殊なそういう地域であるということも含めて、さらなるお取組をお願いいたしたいと思っておりますので、地元自治体と連携したより一層の取組と国への働きかけをお願い申し上げまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、大阪・関西万博についてです。
 いよいよ4月13日より大阪・関西万博が始まります。改めて申し上げれば、大阪府の夢洲を会場として期間は10月13日までの184日間、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」です。158の国と地域、9の国際機関が参加予定です。開催費用などが膨らみ多くの御批判も浴びておりましたが、ようやく開催が見える時期となり、御期待いただく声を伺うことも多くなりました。
 各パビリオンでも最新の技術を使おうとの意気込みも多くあり、なかなか中身が見えない部分もありますが、開催され、少しずつでも詳細が明らかになれば、さらに会場を訪れようと思う方も増えていただけるのではないかと思いますし、私も会場に行くことを楽しみにいたしております。
 そして、大阪・関西万博は、過去に我が国で開催された万博と比べて見てみても参加国が非常に多くなっています。1970年の大阪万博は77か国、1975年から76年開催の沖縄海洋博は36か国、1985年開催のつくば万博は48か国、1990年開催の花博は83か国、2005年開催の愛・地球博で121か国となっており、158か国が参加する大阪・関西万博は過去最多であり、多くの国々が関西で開催される万博に参加していただけます。
 世界各国からの英知が結集し、情報化社会が一層進展する中で、パビリオンなどを通じて実際に実物に触れることができる貴重な機会がもたらされますことに、地元住民の一人としても感謝いたしておりますし、期待も膨らみます。
 このような多くの国々が参加する大きなイベントが半年の長期間にわたり開催されますことを、本府をはじめ地元となる関西地域の発展や魅力を発信することに活用していくことは大変重要であり、本定例会に提案されています来年度予算案にも多くの関連施策が含まれています。
 大阪・関西万博を訪れた多くの方々が万博の前後に本府へ訪れていただくことは想像に難くありませんが、さらに関連したイベントを本府内で多く開催することによって、本府を訪れていただく方を増やし、本府の魅力を世界中に発信する機会としていただきたいと期待いたします。
 西脇知事は、一昨年、2期目の登庁式でも「大阪・関西万博は京都の発展の機会」と話しておられますが、どのように府民の皆様とともに万博開催を京都の発展につなげるお考えか、意気込みなども含めてお聞かせください。
 また、淀川舟運の復活も大きな楽しみです。大阪・関西万博の開催半年前となる昨年10月13日には、淀川クルーズFESTIVALも開催され、1日だけですが舟運が復活をいたしました。また、本年2月3日には、第5回淀川舟運活性化協議会が開催され、万博開催期間には私の地元伏見から万博会場の夢洲まで船で行くことが可能と発表されています。
 淀川大堰で上流と下流が分断され船の行き来ができませんでしたが、来月16日には淀川大堰閘門(おおぜきこうもん)が完成し、行き来が可能となります。万博会場への行き来の詳細はまだ不明ですが、伏見港まで万博会場から向かっていただくことも可能かと思いますので、伏見港で降りていただいた方々には、酒蔵や大手筋などを通り日本酒や食を楽しみ、伏見の街を楽しんでいただけることに期待をいたしております。
 しかしながら、一部京都市内で発生しているようなオーバーツーリズムの問題が新たなイベントによりさらに発生しないよう、京都市と連携しながら本府全域に万博関連で訪れる方々を誘導していくことが重要と考えます。京都市と連携している施策や取組があれば、お聞かせください。
 昨年来、何度か京都駅からバスに乗車を予定した機会がありましたが、観光地へ向かうバス乗り場の長蛇の列は乗車する気力を失うものでした。しかし、生活にバスが必要な方々は乗車せざるを得ず、長く待って乗車することとなります。京都市でも観光地直通の特急バスを走らせるなど様々な工夫をしていただいておりますが、万博からの誘客によってさらなる問題が起こらないように、イベント開催による混雑が想定されるような地域があれば、その対応を京都市と連携して重点的に進めていただきたいと思います。
 また、大阪・関西万博からの誘客も重要ですが、府民の皆様や京都観光のみに訪れてくれている多くの方々に大阪・関西万博へ行っていただくことも、万博開催地域としては重要だと考えます。万博の開催期間中には、関西パビリオン京都ブースにおいて様々な出展により京都の魅力を発信していただくことが予定されています。京都ブースの内容を、府民はもとより世界中へ広く発信・周知することで会場に足を運んでいただき、また京都にも訪れていただく機会にもなると思いますが、京都ブースでの催しは1週間ごとに変更があると伺っています。京都ブースではどのような展示を行い、どのように京都の魅力を発信していこうとされているのか、お聞かせください。
 また、京都ブースでの催しの予定を知ることで万博を訪れる予定を決める方もおられると考えられますので、ホームページによる広報以外にも、広くお知らせいただくことに御尽力いただきたいと思いますが、その方法や検討されていることがあれば、お考えをお聞かせください。
 さらには、大阪・関西万博は未来世界の技術を世界中の国々が日本まで持ってきて披露をいただく大変貴重な機会です。未来を担う子どもたちに多く直接触れていただくことは、将来の我が国の科学技術の発展にも寄与するものとなり得ます。先日の参議院本会議において、石破総理も我が党の浅田参議院議員の万博関連の質問に対して「万博が明日の世界を担う子どもたちに、未来社会への希望を持って将来について考える機会になることを願ってやまない」と答弁されていました。まさにそのように私も願っております。世界的なイベントが京都府のすぐ近く、地元関西で開催されることは、子どもたちが未来社会の先端技術に触れる機会として有効的に活用すべきと考えます。
 昨年、本府では、府内の小・中・高等学校などにおいて「学校単位で万博を校外学習など教育の一環として訪れることを検討するか」の意向調査をされています。調査校679校のうち回答は650校で96%ですが、「利用する予定」が36%(247校)、「検討中」が23%(152校)、「利用しない予定」が37%(251校)となっています。地域差は顕著で、京都市域では「利用しない予定」が58%(187校)と半数を超え、山城地域では26%(35校)となっていますが、丹後地域では逆に78%(39校)が「利用する予定」となっています。修学旅行として取り組む場合の距離感の問題と考えます。
 しかし、修学旅行以外の校外学習として見れば、日帰りできる距離であり、積極的に学校単位でも訪れていただくように、これは学校長の判断となると思いますが、来年度予算に計上をされている万博体験への支援制度なども再度御説明をし、子どもたちが未来について考える多くの機会を持っていただけるようにお取組をお願いいたしたいと考えますが、御所見をお聞かせください。
 また、今述べました来年度予算案に計上されている子どもたちが万博を訪れるための支援制度は、学校単位で教育の一環として万博を訪れる子どもたちに入場料相当分、小学生、中学生は1,000円、高校生は開幕から7月18日までが2,000円、7月19日から閉幕となる10月13日までが2,400円の支援を行うものですが、学校単位で万博を訪れることがなくても、興味を持ち家族や友人と万博を訪れる予定の子どもたちは多くおられます。この子どもたちへの支援についてはいかがでしょうか。
 大阪府では、日本国際博覧会児童・生徒招待事業として全ての小学校、中学校、高等学校、支援学校の生徒が万博を訪れることが可能となる事業を展開し、学校単位で大阪・関西万博を訪れることを決定していない学校の児童生徒には入場チケットが手元に届くようになっています。また、大阪府の場合は、会場となる夢洲が電車でも近く、大阪メトロなどを利用した子ども専用列車や子ども優先列車の運行などを計画しておられ、京都府が同様に行うことは難しいとは考えますが、多くの子どもたちに万博を訪れることのできる機会を提供することは大変有意義だと考えます。
 本府において、学校単位で万博を訪問することを決定していない学校の児童生徒たちに対しても、希望すれば訪れることへのサポートを様々な面から行っていくべきと考えますが、御所見をお聞かせください。
 ここまでの御答弁をお願いいたします。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 大阪・関西万博の開催による京都の発展についてでございます。
 この間、万博の開催を京都の強みや特徴を生かした取組を世界に向けて発信し、経済の活性化や地域振興につなげる絶好の機会としていくため、あらゆる関係者と連携し企画立案を進めてまいりました。今定例会に万博に来場された国内外の方々に府内各地へお越しいただき、様々な交流や体験等を行っていただく事業や、万博会場の京都ブースにおいて府民の皆様が京都府の魅力を存分に表現していただく事業など、所要の予算案を提案させていただいたところでございます。
 また、オール京都体制で進めております「大阪・関西万博きょうとアクションプラン」につきましては、現在238件がエントリーされるなど、府域全体での盛り上がりを実感しているところでございます。
 京都には、府内各地で育んできた奥深い文化をはじめ、伝統から最先端まで多様な業種があり、質の高い技術や研究開発を有する産業、様々な資源を有する観光などの魅力がございます。府内全域でこうした魅力を活用した様々な主体による取組が進むことで、地域の方々が今まで気づかなかった魅力を再発見すること、地域の強みが磨かれることで選ばれる地域へと変わっていくこと、交流人口・関係人口が拡大し人の流れが生まれていくこと、新たなビジネスチャンスが生じスタートアップの創出にもつながること、国内外の異なる文化的背景を持った方々との交流により新たな価値が創造されることなどを期待しております。
 万博を契機として、様々な人、企業、文化の新たなつながりをつくり、伝統と革新を融合させながら未来の京都を担う人や企業、文化をつくってまいりたいと考えております。
 次に、京都市と連携した取組についてでございます。
 万博に来場された国内外の方々が、その前後に京都にお越しになるケースは非常に多いと予想されており、特定の場所や時間帯に観光客が集中しないよう、京都市と連携したオーバーツーリズム対策が不可欠だと考えております。
 具体的には、先ほど述べました「大阪・関西万博きょうとアクションプラン」に基づくイベントやツアーなどの取組を府内各地で展開することで場所の分散化を図りたいと考えております。また、時間帯の分散化を図るため、最新テクノロジーを活用して光や音などで夜の植物園を彩る「LIGHT CYCLES KYOTO(ライト サークル キョウト)」など、万博を契機に京都の新たな夜間観光コンテンツの創出を進めてまいりたいと考えております。
 これらの事業への誘客を確実に進めるため、「京都駅周辺エリアまるごとゲートウエー事業」を展開し、混雑緩和に向け京都市と連携して取り組むこととしております。具体的には、京都駅に設置する情報発信拠点において、府域の万博関連イベント情報に加え、「まるっと京都」周遊観光ツアーの情報など、京都市が推奨するエリアの観光情報につきまして、常駐の専任スタッフが一元的に案内することで京都市内の観光客分散と府内各地への誘客を進めてまいりたいと考えております。
 次に、関西パビリオン京都ブースでの取組や周知についてでございます。
 京都ブースにつきましては、「文化」「食」「産業」「環境」「いのち」「観光」の6つの分野ごとにおおむね1週間のサイクルで異なるテーマを設定し、展示内容を入れ替えながら何度訪れても違った京都の魅力が体感できる空間づくりを行うこととしております。
 京都ブースの取組の情報発信につきましては、まず、全戸配布されている府民だより12月号で京都ブースの内観やテーマを公開いたしますとともに、同月末には出店予定者一覧を公表し、国内シェアで第1位のプレスリリース配信サービス「PR TIMES」を活用するなど、広く情報発信を行ってまいりました。
 今後の情報発信につきましては、内容が確定したテーマごとの展示概要、京都ブース内で上映する京都ゆかりのクリエーターが制作したショート動画、京都ブースのアテンダントのユニフォームなどInstagramやX、Facebookなど、あらゆるSNSを活用し適宜発信していくこととしております。
 また、先ほど申し上げました京都駅に設置する情報発信拠点におきましても、京都ブースの情報も発信しながら、府域と万博会場を相互に人が行き交う相乗効果を継続して生み出せるよう取組を進めてまいりたいと考えております。
 次に、子どもの万博体験支援事業の再度の周知についてでございます。
 学校教育活動で行われる子どもの万博体験支援事業につきましては、事前の教育委員会との協議におきまして、修学旅行であれば1年前から、校外学習であれば前の年の秋頃から検討が始まると聞き取っていたことから、学校現場において円滑に検討する期間を設けるため、令和6年度当初予算において債務負担行為をお認めいただき制度周知を行ってまいりました。
 令和6年4月から府内の公立・私立の校長会での制度説明や、市町教育委員会の教育長との懇談会を設けて御意見を伺いますとともに、10月には学校や旅行事業者向けの説明会を実施し、いただいた質問への回答をFAQとして共有するなど、事業説明を丁寧に行ってまいりました。
 昨年9月から10月までに実施した学校向けの参加意向調査におきましては、調査対象679校のうち96%となる650校から回答をいただいたところであり、支援事業の認知度は一定進んでいるものと認識をいたしております。
 開幕が近づくにつれ、各パビリオンや催事において体験できるコンテンツの情報、会場内の設備面や安全対策に係る情報、予約などの手続に係る情報など、日本国際博覧会協会などから新しい情報が次々と発信されてきております。
 京都府といたしましては、先ほどの参加意向調査で検討中と回答された学校も2割程度ありましたことから、できるだけ多くの学校が校外学習の行き先として万博会場を選択いただけるよう、必要な情報の集約・発信や、学校や旅行事業者からの相談への対応を引き続き進めてまいりたいと考えております。
 次に、万博体験事業を活用しない学校の児童生徒へのサポートについてでございます。
 まず、この間の国の動きといたしまして、当時の国際博覧会担当大臣である岡田大臣が、修学旅行と校外学習を合わせて120万人の子どもたちに万博会場を訪れてもらうことを目標として表明をされ、また文部科学省から修学旅行等における万博の活用について通知が発出されており、学校教育活動として積極的な万博の活用を呼びかけておられます。
 昨年5月に開催いたしました京都府総合教育会議におきまして、各教育委員会からは「今進めている課題解決型の学びは、今回の万博が果たす役割と軌を一にするもの」「ただ見るだけでなく事前事後学習をきちんと行うべき」「課題解決型学習の中で課題を発見する力はまだまだ学校や教師が与えており、子どもたちが何に関心を持つかが重要だ」といった意見をいただきました。これらを踏まえますと、御家庭などで万博へ行っていただくことももちろん子どもたちにとって貴重な経験になるとは思いますが、京都府といたしましては、子どもたちに学校教育活動の一環として事前学習や事後学習を含め、探究学習の場として万博を体験していただきたいと考えております。

◯上倉淑敬君

◯議長(石田宗久君) 上倉淑敬議員。
   〔上倉淑敬君登壇〕

◯上倉淑敬君 御答弁ありがとうございました。
 知事からも万博を契機として本府の発展につなげる意気込みをお伺いできてうれしく思います。万博からの誘客は御答弁のように積極的に進めていただきたいと存じますし、オーバーツーリズム対策として、時間帯、夜間観光なども含めて様々工夫をいただけるということで、ありがたく思います。万博が関係なくてもオーバーツーリズムは発生しておりますが、新たな問題が生じないようさらに京都市との連携をお願いいたします。
 また、子どもたちの万博訪問へのサポートでもありますが、検討中の学校にさらに働きかけていただけるということで、よろしくお願いを申し上げます。ぜひ訪問しやすい環境や訪問したくなるような万博での未来技術の一端を紹介するようなお取組も可能であればお願いいたしまして、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 次に、観光客の府域への誘致と関連して、宿泊税についてお伺いいたします。
 さきに質問させていただきました大阪・関西万博に関連しても述べさせていただきましたが、本府内でも京都市への一極集中をしている観光客について、府域への誘導を含めた施策が必要なことは京都府・京都市に共通している課題だと認識しています。オーバーツーリズムが叫ばれ、京都市の一部に観光客が集中していることは多くの課題を生み出しています。地元住民の生活基盤となる京都市内のバスの混雑による生活への影響はもとより、混雑地域を通過する府民にとっても、交通渋滞は大きな課題です。また、地域に存在する普通に通えていた飲食店でも、観光客増によって並んだり通うことを断念したりする必要が生じることは、小さいながらも生活を変える必要に迫られます。
 宿泊についても、京都市内には多くのホテルが建ち営業をされておられますが、宿泊料金は高騰しています。住民は宿泊する必要がないと思われますが、親族が冠婚葬祭などで来られることもあり、少し離れた地域での宿泊を選択されることは多々あります。
 このような環境の中、住民生活を守るためには、多くの施策と予算が必要ですが、京都市では観光振興予算の充実等を図るために宿泊税の議論を平成28年から開始し、平成30年3月1日に京都市宿泊税条例を公布、同年10月1日から徴収を開始しておられます。
 御承知のこととは存じますが、課税額は1人1泊について宿泊料金が2万円未満は200円、2万円以上5万円未満は500円、5万円以上では1,000円となっています。この宿泊税による収入は、令和元年度に約42億円でしたが、その後コロナ禍で落ち込みました。しかしながら、令和5年度には約52億円と最高額を更新しています。加えて、「京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会」の答申を受け、来年3月の徴収から1人1泊当たり6,000円未満は200円、6,000円以上2万円未満は400円、2万円以上5万円未満は1,000円、5万円以上10万円未満は4,000円、10万円以上は1万円と大幅な引上げを目指しておられ、税収は2倍以上となる約126億円程度が見込まれています。
 全国で宿泊税を定額で徴収している自治体では、1万円の徴収は最高額となりますが、それでも需要は減らず、財源をさらなる街の魅力を高めることに活用すれば、観光客の方々に京都市を多く訪れていただけるとの判断です。宿泊税は法定外目的税であり、京都市の場合は使途を「国際文化観光都市としての魅力を高め、及び観光の振興を図る施策に要する費用に充てる」ことと制限されておられますが、観光産業は裾野が広く、多くの施策が推進されています。少子高齢化や人口減少に伴う財源不足は本府を含む地方にとって大きな課題であり、観光振興予算の充実を図るためにも、法定外目的税によって使途が制限されているとはいえ一定の独自財源が確保できることは、観光客が多く訪れていただく地域としては地元住民の生活環境の向上にもつながり、大変有効な施策であると考えます。
 全国的にも、現在宿泊税を導入もしくは予定している自治体は13あり、創設を検討している自治体は50を超えています。しかしながら、定額制や定率制についての議論や、観光・宿泊事業関係者の動向など、導入に向けた課題・議論も多くあります。また、都道府県と市町村がそれぞれ課税する場合は二重の課税となり、税額調整や役割分担についての調整が必要となります。
 令和7年1月現在では、都道府県と市町村で重複して宿泊税を課税しているのは福岡県のみですが、制度的には広域自治体と基礎自治体が同一地域で課税主体となっても問題はありません。令和元年10月に福岡市が先行して宿泊税を条例化されましたが、様々な調整があり令和2年に福岡県と北九州市も条例化をし、同年4月から福岡県と福岡市、北九州市で宿泊税の徴収が始まりました。福岡県内では一律に1人1泊200円が課税されていますが、福岡市内と北九州市内では、県は50円の課税とし、150円が市の課税分となっています。また、今後福岡県内で宿泊税を課税する自治体が出た場合には、県税分は100円とすることが定められています。県と市の役割分担についてですが、県は県内6観光エリアのツアー開発や広域ルートなどの整備によるサイクルツーリズムの推進、人材育成など広域的な取組が多く、さらには市町村の観光振興への取組への支援などを行っておられます。
 福岡市では、九州のゲートウエー都市機能の強化や市民生活と調和した持続可能な観光振興の推進など、当然福岡市内の将来像などを見据えた取組を行っておられ、県と市ではそれぞれの特徴を持った分野に宿泊税による財源を投入しておられます。
 ほかにも、まだ導入されていませんが、都道府県と市町村で複数の宿泊税を導入しようと検討している府県は多くあります。北海道と旭川市や小樽市など、宮城県と仙台市、長野県と軽井沢町や白馬村など、三重県と志摩市や鳥羽市など、沖縄県と宮古島市や石垣市などです。税収の配分や役割分担などに多くの課題や議論があることもあり、スムーズに進むかは分かりませんが、観光地として観光関連の施策に必要な財源を確保するために宿泊税について導入を検討する場合には、基礎自治体と広域自治体とでの議論は避けて通れませんし、時間もかかります。また、事務負担がかかる宿泊事業者への説明や御理解も欠かせないものとなりますが、本府においても将来的な人口減や社会保障費の増加などに備えて観光振興のための財源を確保するためには、府域での宿泊税の検討について議論を始める必要があるのではないかと考えます。
 本府における観光客の動向については、御承知のとおり京都市域での消費額と他の地域での消費額では大きな差があり、その原因は宿泊費や宿泊に伴う飲食の費用などが京都市内に集中しているためです。そのため、本府でも京都市域外に観光客を誘導する施策を多く展開しておられます。「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」や「竹の里・乙訓」に観光客の皆様に訪問していただき、そのまま宿泊して地域での観光を楽しんでいただくための御尽力は大変重要であり、さらに積極的に行っていただきたいと思いますし、もし宿泊税を府域で均一に課税した場合は、観光客の皆様を府域へ誘致することが難しいのではないかとの懸念もあると考えます。
 しかしながら、高額な宿泊施設は京都市域を除けばほとんどなく、1人1泊に対する課税について、一定額以下の宿泊料金によっては免除する設定があれば府内事業者の不安も払拭できる可能性はあり、最大の課題は既に課税を始めている京都市との調整であるかと考えます。府市の役割分担や、宿泊者の皆様の御負担も検討していかなければなりませんし、法定外目的税として明確な説明が必要ともなりますが、本府における宿泊税の導入について、先を見据えて検討していただくことを始めていただきたいと考えます。
 先ほど質問いたしました大阪・関西万博によるインバウンドには間に合いませんが、延期となっていましたワールドマスターズゲームズ関西が2027年に開催することが決定しています。多くの選手や応援する観光客も訪れるこのイベントや、先々の国際的なイベントが開催されるであろうことなども見据えて、本府における宿泊税の導入について議論だけでもスタートいただきますことを検討することについて、本府の御所見をお伺いいたします。
 代表質問の最後に、本府の管理する道路、いわゆる府道への標識の設置についてお伺いいたします。
 標識には様々な物がありますが、公の標識とは、官公庁が不特定多数の利用者に対して地域や公共施設の所在などの情報を提供する標識です。多くの皆さんが道路上に設置されているのを御覧になったことがあると思います。府庁の所在地や警察署の所在地、観光名所の所在地など、府道のみではなく国道や市道にも多く設置されていますが、当然ながら設置基準、ルールはあります。
 本府の道路標識整備の実務手引では、対象とする標識は様々ありますが、設置対象として認められているのは公共施設(府庁や市町村役場、警察署、消防署、郵便局など)、公的施設(学校)、病院(国立や公立の総合病院)、交通施設(鉄道駅やバスターミナルなど)、公園(国立や府立など)、文化施設(博物館など)、名所旧跡(寺社仏閣など)、体育施設(総合運動公園など)、その他(ダム、湖、池など)とされています。
 このような設置対象の中で、本府管理道路では官公庁の設置するものではなく、公の標識とはなっていませんが、国道や他府県、京都市管理を含む市町村管理の道路では公の標識に準ずる物として、道路の占用を許可されて設置されている場合がある物として、国立や公立以外の医療機関の所在地案内の標識があります。
 我が国において、台風・地震などの自然災害のリスクは多大なものがあり、それに備えるための拠点づくりは重要な施策の一つでもあります。そして、医療機関、特に救命救急センターなどの所在地の周知も重要な課題であり、多くの観光客の方がお見えになる本府では、地元の方々以外が救急の医療を求めるケースは少なくないことが想定されます。また、高齢化社会となっている中、高齢ドライバーの急増による交通事故増加なども社会問題化しています。医療機関の所在地案内の標識は、このような問題点を軽減する一助にもなり得ると考えます。
 また、過去には国から総合病院及び救急病院の施設を案内するものについて「標識」として取り扱われたい旨の通知があったこともあり、医療機関の要望により、一般社団法人日本標識機構が管理して、道路管理者より許可を得て設置しているものでは、全国的には関東圏を中心に国道で約200か所、都道府県道で約350か所、市及び区道で約300か所があります。その設置及び維持管理の費用は設置を要望した医療機関が支出し、日本標識機構が実施しています。
 また、同機構が設置する標識は風洞実験において風速50メートル毎秒の強風下における安全性の下に構造計算もされています。当然ながら書体・文字の大きさ・色・文字配列は国または自治体により定められたものでありますし、設置本数も厳しい審査を経ていると伺っています。さらには、大規模災害を除きますが、事故については賠償保険にも加入の上設置されています。
 このような状況の中でありますが、本府管理道路では、医療機関へ誘導する標識を設置するために道路を占用することはハードルが高い状況となっています。医療機関からの要望があれば検討いただけると伺っておりますが、民間の医療機関について、道路区域内に支柱を設置するために道路を占用している事例は一例もありません。
 近畿では、大阪府や兵庫県でも医療機関の要望どおりに全てとは申しませんが、何例も設置されています。国道や市道などにも実際に設置されている医療機関所在地へ誘導する案内標識を、当然ながら必要性に応じてとはなりますが、本府管理道路でも設置に柔軟に対応していただくことは、府民や旅行者にとって有効な効果をもたらすと考えます。
 標識で施設まで誘導するためには、府道のみに設置するだけでは意味がありませんし、国道のみや市町村道のみに設置するだけでも意味はありません。大きな道から誘導していき、最終的に標識が示す施設への最後の曲がり角までは設置しないと標識を設置する意味がないのです。国道や市道が医療施設へ誘導する標識を公の標識に準じるものとし、設置を許可する場合でも、府道に設置できなければ誘導することが難しくなり設置を諦めることとなります。災害に対する備えや、多くの観光客が訪れる本府だからこそ標識による案内も必要性が上がります。携帯の地図も随分と便利になり正確です。また、ナビゲーションシステムが搭載されている車も多くありますが、標識による案内も重要であると認識しておられるからこそ、多くの公的施設には標識の設置が認められているものと考えます。医療機関へ誘導するための標識を、府管理道路に設置することに対する本府のお考えをお伺いいたします。御答弁よろしくお願いいたします。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 宿泊税についてでございます。
 宿泊税につきましては、議員から御紹介のとおり、現在、東京都、大阪府、福岡県、京都市など11の自治体で法定外目的税として導入されているほか、複数の自治体においても導入の検討がなされているところでございます。
 法定外目的税は、受益と負担の関係が明確となる必要があり、宿泊税についても観光と宿泊をめぐる状況や、必要な施策とその財源の在り方などについて分析や検証を行い、それぞれの地方自治体が地域の実情に応じて導入するものと考えております。
 京都府での宿泊税の導入につきましては、昨日も答弁させていただきましたが、京都府内には観光客で混雑している地域もあれば観光客の誘客を強化したい地域もあるなど様々な地域があることや、他の自治体の導入事例なども踏まえまして、今後慎重に検討していくべき課題だと考えております。
 京都市におきましては、「宿泊客に行政サービスの受益に見合った負担を広く分かち合っていただく」という考え方の下、平成30年10月に宿泊税を導入され、国際文化観光都市としての魅力向上や観光振興のための施策に充当されております。例えば、町並み景観を保全するための無電柱化の推進、民泊対策事業の実施、市民利用と観光利用のすみ分けを図るための観光特急バスの運行など、観光客と市民双方の満足度の向上につながるような施策に活用されております。
 現在、祇園や嵐山といった京都市内の一部の地域においては、観光客の集中による道路の渋滞や公共交通機関の混雑、ごみのポイ捨てといったマナー問題が発生するなど、住民生活への影響や観光客の満足度の低下が生じている状況でございます。
 こうした喫緊の課題に対応し、市民生活と観光のさらなる調和・両立を図るため、昨年4月に京都市持続可能なまちづくりを支える税財源の在り方に関する検討委員会を開催され、今後の宿泊税の在り方について議論・検討を進められ、1月14日に宿泊税の見直しについて表明をされ、観光を通じた京都市の魅力の継承・発展や、公共交通の混雑時の観光課題対策等に活用されるとのことでございます。
 一方で、京都府全体の観光の状況を見てみますと、令和5年の観光入込客数は、京都市域が5,028万人、京都市を除く府域が2,490万人となっており、おおむね半分程度の人数でございますが、観光消費額の総額は、京都市域が約1兆5,366億円であるのに対し、京都市を除く府域の合計は1,211億円となっており、京都市の1割にも満たない状況となっております。さらに、1人当たりの観光消費額では、京都市では3万円を超える一方、京都市を除く市町村では数百円から数千円程度となっております。
 このように観光消費額に大きな差がある要因の一つとして、観光入込客数のうち約9割が日帰りの観光客となっており、宿泊を伴わない観光となっていることが挙げられます。また、宿泊施設の立地につきましても京都市内に集中しており、令和6年12月末時点で京都市内の立地が4,328施設、その他が1,084施設となっており、特に客室数が100室以上の大型の宿泊施設は9割以上が京都市内に集中している状況となっております。
 こうした状況の中、京都府におきましては、これまでから「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里・乙訓」という分かりやすいコンセプトを設定し、エリアごとの地域資源を生かした「もうひとつの京都」への誘客を進めますとともに、京都市域から周遊観光を促進するため、京都の強みである食を共通のテーマに京都府全体をつなぐ「食の京都」の取組を進めてきたところでございます。
 さらに、京都市内の一部地域に集中する観光客の分散を図るため、府市連携で「もうひとつの京都」「とっておきの京都」を周遊する「まるっと京都」の取組を進めており、今定例会に所要の予算案を提案しているところでございます。
 こうした観光施策等の推進に当たりましては様々な財源確保の工夫をしており、国におきまして平成31年1月に導入された国際観光旅客税を財源とした観光庁、文化庁の国庫補助事業を活用いたしまして、例えば、海の京都DMOによるオーバーツーリズムの未然防止に向けた受入環境整備の取組、南丹市美山観光まちづくり協会によるAIを活用した観光DXの推進、文化庁連携プラットフォームによる府市連携の文化体験イベント「京都西山竹あかり」の開催、京都府観光連盟による京料理と地域の食材のコラボで特別な食体験を演出するガストロノミーツーリズムの実施など、府内各地において様々な施策を展開しております。
 さらに、この国際観光旅客税を観光客の受入れのための環境整備や観光資源の魅力向上の取組に活用できるよう、税収の一定割合を地方に配分することを近畿ブロック知事会を通じて国に対して要望しているところでございます。
 このほか、企業版ふるさと納税を通じた企業からの寄附も活用する中で、例えば「食の京都」や文化観光事業などの充実を図るなど、観光施策の推進に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、様々な財源の確保に努めまして、持続可能な観光地域づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、医療機関へ誘導する標識についてでございます。
 道路に設置する、いわゆる案内標識につきましては、道路管理者が設置するものと、道路管理者以外の者が道路の占用制度を活用して設置するものがございます。
 まず、道路管理者が設置する案内標識につきましては、道路利用者に目的地までの距離や方向などの情報を提供し、交通の安全と円滑を図るための道路標識の一つであり、警戒標識、規制標識、指示標識とともに、道路法において道路の附属物として規定されております。
 京都府が道路管理者として設置する案内標識につきましては、案内の対象となる施設の考え方や案内方法などを定めた京都府道路標識設置指針に基づきまして、公共施設、交通施設、文化施設などのうち重要度の高い施設を著名地点と位置づけて案内の対象としているところであり、国立及び公立の医療機関につきましても案内の対象としているところでございます。
 現在、京都府が設置している医療機関への案内標識は、京都市を除く府内にある25の国立・公立・公的医療機関のうち7つの病院を対象に設置をしております。
 次に、道路管理者以外の者が道路の占用制度を活用して設置している医療機関への案内標識につきましては、現在、3つの病院を対象として設置されているものがございます。そのうち、2つは公立病院に対しまして道路区域内への標識の設置を許可しているものであり、残り1つは民間病院に対しまして道路区域の上空への標識の張り出しを許可しているものでございます。
 案内標識の占用の許可に当たりましては、対象とする物件、許可の方針や基準などを定めた京都府道路占用許可基準に基づいて判断しているところであり、設置の必要性を確認した上で、道路の構造の保全及び安全かつ円滑な交通の確保の面から、本来の道路の機能を損なわない範囲で設置を許可することができるというのが基本的な考え方でございます。
 具体的には、新たに案内標識を道路区域に設置する場合、道路の上空空間も含めて余地がないためにやむを得ないものであるか、道路区域に案内標識がなければ府道等から対象施設の位置を認識できないものかなどの点について確認することとしております。
 さらには、他の標識の支柱や電柱など多くの施設が混在することで視認性が低下し、道路利用者が必要とする情報を判断する速度に遅れが生じることにならないか、標識の支柱が歩道や車道の幅を狭めることにより歩行者や車両の通行に支障を来すことがないか、標識の基礎が道路に埋設されたライフライン等に干渉しないかなど、様々な課題が生じることがないかなどについて確認することとしております。
 これらに加えまして、近年、災害時の交通障害のリスクを取り除く観点から、無電柱化や沿道建築物の耐震化への取組を強化している中、地震発生時に倒壊して道路を塞ぐおそれのある新たな柱状の工作物の設置については、より慎重な判断が必要だと考えているところでございます。
 現在、京都府内の医療機関から、京都府の管理する道路への案内標識の設置に関する相談や要望はございませんが、道路管理者としての案内標識の設置や占用制度の活用に当たりましては、府民の健康維持や災害時の人命救助を担う医療機関の重要性を踏まえつつ、道路空間への設置の必要性や道路の本来的機能の確保などの観点を含めまして、総合的に判断してまいりたいと考えています。
 京都府といたしましては、引き続き、道路が持つ多様な機能の確保と地域のニーズに応じた道路空間の有効活用の両立を図りつつ、安心・安全な道路空間の創出に努めてまいりたいと考えております。

◯上倉淑敬君

◯議長(石田宗久君) 上倉淑敬議員。
   〔上倉淑敬君登壇〕

◯上倉淑敬君 御答弁ありがとうございました。
 宿泊税についてですが、観光施策などに用いる財源、様々見せていただいて、行っていただいているということでありますけれども、文化財の補修や観光名所のさらなる整備など、来客が多くなればさらに必要になることも十分考えられます。ふるさと納税制度なども活用いただけるということですが、この府市、また県市で重複して宿泊税を課税している先行事例の研究など、課題の研究などだけでもぜひ進めていただくように改めてお願いをいたしたいと思います。必ず財源が必要になるときが来るんではないかなと思いますので、ぜひお願いをいたします。
 医療機関への誘導標識ですが、様々な要件があることは承知をしておりますが、要望があれば御相談はしていただけるようでありますが、必要に応じてとなりますが、府道や市道との連携を取りながら、また救急の病院などは積極的にお取組いただきますようにお願いを申し上げます。
 以上で私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)