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1 京都府スマート社会推進計画と「京都省エネポイント」
等DX施策について
2 就職氷河期世代の支援について
3 その他
議事録全文
◯楠岡誠広君
◯楠岡誠広君 国民民主党・日本維新の会京都府議会議員団の楠岡誠広でございます。通告に基づき、知事並びに理事者の方々に質問をさせていただきます。
まずは、京都府省エネ家電購入促進事業の「京都省エネポイント」について、京都府スマート社会推進計画とともにお伺いをいたします。
私が本事業を一般質問に選んだ理由は、府民にとって身近に感じる事業であるため、自身が納めた税金がどのように使われ、自身の生活に生かされているのかといった議論も含め、府民の皆様がより興味を持って聞いていただけると思うからです。そして、本施策が、将来性を感じるデジタル・トランスフォーメーション(以下、DXと呼びます)、その側面があり、本府が国や各市町村と連携しながらスマート社会の実現を推進する上で一つのパイロット事業にもなり得ると感じているからです。
まず、本事業は、温室効果ガス排出量削減に向け、府民の皆様の脱炭素型ライフスタイルへの転換を推進するため、「京都省エネ家電購入キャンペーン」と銘打って、一定の省エネ性能を有するエアコンまたは冷蔵庫を購入した方に最大2万円相当の府内限定の地域電子マネー「京都省エネポイント」ないし府内産品を還元する事業であります。
予算は5億円で、うちポイント原資は約4億1,000万円、経費は約9,000万円となっておりますが、これは、プロポーザル時点では経費の上限1億2,500万円でしたが、経費を効率化しポイント原資に回すことができた点が評価されたと聞いております。税金の効率的な使われ方の視点から、非常に分かりやすい事例かと思います。一方で、新興のQR決済事業者のサービスを採用した点は、普及にかかる時間や協力企業の新たな運用負担など、その手間暇をどのように評価するかも一つの視点になるかもしれません。
現状の申請数は6月10日現在で1,418件、協力する購入家電店舗は373軒、ポイント利用店舗は購入家電店舗を中心に236軒で、うち他業種には飲食店や旅館、ホームセンター、本屋など約60軒の登録が進んでいますが、より多くの業種に参加してもらうため、他業種でもポイントが獲得できる次回以降の展開も期待されるところであります。例えば、教育なら塾のバウチャー制度、旅行業界なら以前あったGoToキャンペーンのような消費促進施策にするなど、今後様々な業種に横展開すれば、いずれ「京都・府民ポイント」のように発展するかもしれない魅力的な施策だと思います。実際、今回も地元の家電販売業者、いわゆる町の電気屋さんの方からお話を聞きますと、「最近売行きに苦戦していた家電を積極的に販売するきっかけになってうれしい」との声もありました。
そこで、まず本事業についてお伺いをいたします。
今回の施策では、ポイントを地域電子マネーとして還元し、府内限定で使用できる仕組みを採用されました。過去の同様の事業では抽選形式で、府内産品や商品券の提供でしたが、今回は言わばDX施策の側面を持って展開をされております。この仕組みを採用された狙いや思い、そして波及効果、また想定される課題や対策について教えてください。
次に、本事業を京都府スマート社会推進計画に沿って考えてみたいと思います。
本計画において「京都府が目指すスマート社会とは、府域全ての地域において府民一人ひとりの夢・希望や、あらゆる産業・地域活動における創造的かつ活力ある発展が、ビッグデータやデジタル技術を活用することで実現される社会です」とあります。また、本計画は令和2年3月に策定され、昨年の令和5年12月に一部改定されました。改定については、「令和2年の計画策定以降の技術トレンドを含めた社会情勢の変化や課題を踏まえたものであり、今後も情勢の変化に応じて適宜更新していく」とあります。そして、「計画の実現に当たっては、府内市町村はもとより、京都の強みである優れた大学等研究機関やスタートアップ企業に加え、府民の方々との交流と連携が大切」と書かれております。
そういった意味で、府内の市町村の取組にも同様の施策がないかと目を向けますと、例えば宇治市では、いわゆる地域の「プレミアム商品券」の事業を令和2年度よりLINEも活用した運用システムを構築し、デジタルクーポンとしていち早く地域密着で展開してきました。また、木津川市で本年6月上旬まで実施されていた「地域応援クーポン事業」では、普及が進んでいる大手QR決済事業者により、利用先を市内に限定して実施をされました。お隣の奈良県でも、同様の仕組みで、「働く人応援クーポン」と銘打って、奈良県全体で事業を展開しております。
さらに、自治体マイナポイントというマイナンバーカードを使って各種申請を行い、自治体の様々な取組を通じてポイントがもらえる仕組みがあります。本府でも令和3年に福知山市で健康施策として、木津川市ではごみ拾いを兼ねたウオーキングなどの社会活動の促進に関わるポイント施策がモデル事業として実施されました。
このようにポイントやクーポンなどの事業だけを見てもDX施策は様々で、本府、市町村、国、そして実施に伴う民間業者のサービスなどを含めて百花繚乱でございます。
そこでお伺いをいたします。
改定版の京都府スマート社会推進計画、その第1章「計画の目的等」に「総合計画の進捗管理・PDCAサイクルと連動させる中で、施策の成果検証とともに、最新の技術トレンドを踏まえつつ全事業をDX観点で点検し、進化する計画として適宜必要な改定を行います」とあります。また、昨年6月の定例議会で、同じ会派の北川議員の質問においても、本計画改定に向け「デジタル技術は日進月歩していきますので、PDCAサイクルで事業を推進していただきたい」との要望がございました。
今回取り上げた「京都省エネポイント」のような本府の事業はもちろんのこと、府内市町村や国の施策も鑑み、本府のDX施策を具体的にどのような体制で評価・検証し、本計画をブラッシュアップしながらスマート社会を推進・実現していくのか、その展望をお聞かせください。また、本計画は改定前と改定後でどのように大きく変わり進化したのかも含め、お教えいただきたいと思います。
まずはここまでよろしくお願いいたします。
◯知事(西脇隆俊君)
◯知事(西脇隆俊君) 楠岡議員の御質問にお答えいたします。
省エネ家電購入支援事業における地域限定電子マネーによる還元についてでございます。
2050年のカーボンニュートラルの実現に向けては、家庭、産業、業務、運輸など、あらゆる分野における脱炭素化の取組が不可欠でございます。
現状では、2021年度の府域全体の温室効果ガス排出量は、2030年度に2013年度比46%以上を削減するとの目標に対しまして20.2%の削減にとどまっていることから、特に排出量の4分の1を占める家庭分野において府民の皆様の脱炭素型ライフスタイルへの転換を促すため、本年4月から「京都省エネ家電購入キャンペーン」を展開しております。
まず、環境分野の狙いといたしましては、本事業のポイント還元をインセンティブとして、身近な家電の中で電力消費量の多いエアコンと冷蔵庫を購入される場合に、省エネ性能が高い機器への選択を促すことにあります。さらに、ポイント還元を受けるために登録をお願いしている「京都府インターネット版環境家計簿」を活用し、購入前後の電気使用量の確認や標準的な家庭の使用量との比較を行うことで一人一人の行動変容につなげていただきたいと考えております。
また、DX分野の狙いといたしましては、今まで電子マネーを使っておられなかった府民の方々がこの制度によりキャッシュレス決済を活用していただくきっかけとなることや、同様に店舗側においてもキャッシュレス決済導入店舗の増加につながるといった府民生活のスマート化が進むことが挙げられます。
加えまして、本事業の電子マネーは、家電店舗をはじめ、飲食店、スーパーなど、府内に店舗を有する様々な業種で利用可能としているほか、府内産品とも交換できることから、地域経済への波及効果も高いと考えております。
一方、募集開始から6月17日までの約2か月程度で約1,800件の応募があるものの、さらなる周知により、より多くの府民に制度を利用いただくことが必要だと考えており、様々な媒体を活用した府民へのPRや個別店舗への訪問による働きかけを継続しているところでございます。
京都府といたしましては、こうした幅広いメリットを有する地域限定電子マネーを用いた取組をきっかけに、府や市町村の様々な施策においてデジタル技術の活用を進めてまいりたいと考えております。
その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。
◯総合政策環境部長(岡本孝樹君)
◯総合政策環境部長(岡本孝樹君) 次に、京都府スマート社会推進計画についてでございます。
本計画は、デジタル技術を活用したスマート社会の推進が未来に夢や希望が持てる京都づくりを進めていく上で極めて重要と考え、令和2年3月に策定いたしました。その後、新型コロナウイルス感染症により生活様式が大きく変化し、テレワークやリモート会議など新たな働き方の普及や、生成AIなど革新的技術の登場もあり、デジタル技術が社会の様々な分野に急速に浸透しています。
このような社会情勢の変化は、デジタル技術の活用により、府の事業を府内全域に素早く展開できる好機であり、そのためには府民や府内事業者の方々がデジタル技術を安心して便利に使える環境整備が重要でございます。このため、昨年12月の改定では、強固なセキュリティーの確立といった安心・安全対策や、スマートフォンの操作に不慣れな方への支援など、利用者の視点に立ったソフト事業を重視したところであり、中小企業や医療機関を対象とした標的型攻撃メール訓練をはじめとしたセキュリティー対策に加え、高齢者等が安全にキャッシュレス決済を利用できるようにするセミナー開催など、デジタルディバイド対策にも着手しているところでございます。
DX施策の評価・検証につきましては、デジタル技術の進化と高度な専門性に対応するため、今年度から府の職員と最新の知見を有する民間の専門家によるチームを新たに結成し、例えば府民からの問合せに24時間対応するAIチャットボットの導入による業務の効率化といった新たな視点で施策を点検し、計画のブラッシュアップにつなげることとしております。
府内市町村への支援につきましては、府、市町村、企業、大学などが参画する「京都ビッグデータ活用プラットフォーム」などにおいて最新技術の動向や活用事例を共有するほか、国のデジタル人材確保支援事業を活用したDXの専門家派遣などにより、市町村事業のレベルアップを後押ししてまいります。
今後とも、府内中小企業やスタートアップ企業、大学等研究機関など、多様な主体とこれまで以上に連携し、デジタル技術を活用した未来志向の新しい協同体験を重ねていくことでスマート社会を目指してまいります。
◯楠岡誠広君
◯楠岡誠広君 丁寧な御答弁をありがとうございました。
環境分野の目標達成とともにキャッシュレス決済の促進など、併せ持って目標の達成に向かっていっていただければなと思っております。
そもそも、今回、総合政策環境部におきまして御質問させていただきまして、環境という一つの具体の事業に対して総合政策という計画や戦略を俯瞰的に見る部門が、まさに今、様々一体となって取り組まれておりますので、今回の一般質問に取り上げました私のポイントの施策に関して、職場・組織の距離感も含めて、その計画と各事業のPDCAサイクルを回すという部分で非常に分かりやすい例になるのではと思って質問をさせていただきました。
また、最近の潮流として、バックヤードの基幹システム標準化の流れが国家戦略としてございます。そうした国の動きに先駆け、本府では京都府自治体情報化推進協議会において市町村の基幹業務システム標準化などにいち早く取り組んでこられたと聞いております。バックヤードの基盤がしっかりしているからこそ、そのフロントヤードに当たる本事業のような施策においても本府のリーダーシップが発揮されると思います。様々に展開される本府や市町村、そして国のDX施策、それぞれを有機的に評価・検証していただきたいと思います。
また、一緒に取り組んでいただける民間事業者の運用負担、これは本府の予算に計上されない部分もありますが、人手不足が大きな課題となっている今だからこそ、そこも含めた、社会全体を考えた効率的で無駄のないDX施策、特に行政サービスのDX化、推進されることを心から期待をしております。
次に、就職氷河期世代の支援について大きく2つ、非正規雇用の対策について、そしてひきこもり対策の取組事例についてお伺いをいたします。
まず、就職氷河期世代について、その定義は様々ですが、一般的にバブル崩壊後の1990年代から2000年代に新卒を迎えた世代を指し、令和5年5月の内閣官房就職氷河期世代支援推進室の資料によれば、おおむね1993年から2004年に卒業期を迎えた、高卒で38から49歳、大卒で42から53歳とされています。また、90年代後半から2000年代前半は、金融不安やITバブルの崩壊から景気はさらに悪化し、「超氷河期」とも称され、学校基本調査によると、そのピークとなった2000年では、就職率は63.3%、進学する者や臨床研修医も分母に加えた就職率では55.8%となり、大卒者の約半分しか就職しない時代でありました。この世代は「団塊ジュニア」と「ポスト団塊ジュニア」と呼ばれる世代を中心として形成され、人口動態で言えば大きなボリュームゾーンを含みながら、就職機会は極端に減り、大変な競争を強いられながら、その失敗は「自己責任」と言われて苦しんだ世代でもあります。それまでの既存社会の恩恵を得られず、新卒時の非正規雇用などが固定化し、平均所得もそれまでの世代に比べ低下するなど、「ロスト・ジェネレーション世代」とも呼ばれております。
実際、日本総研、2023年11月8日発行のリサーチ・アイ「50歳代を迎える就職氷河期世代の実像」によれば、世代別の一般的な新卒正社員の賃金カーブを見ると、就職氷河期世代の実質賃金は、上の世代と比べて、足元では月6万円から8万円低い水準であるとあります。
結局、この世代から起こると期待された第3次ベビーブームは到来せず、現在の深刻な少子化につながる大きな原因となっております。さらに、本世代が年を重ねるにつき、老後の生活を支える年金や生活保護など、社会保障制度への影響が大きな課題として今迫りつつあります。
最近の氷河期対策について、国の動きとしては、「経済財政運営と改革の基本方針2019」において「就職氷河期世代支援プログラム」を取りまとめ、3年間の集中的な支援に取り組む方針を打ち出しました。しかし、翌年からの新型コロナウイルス感染症の影響で雇用情勢は厳しい状況となり、政府の支援策により正規雇用者数の増加に寄与した一方、失業に転じる方も生じて、施策の効果が相殺されたと捉えられております。2023年5月に内閣府が公表した就職氷河期世代支援策の実施状況では、正規雇用者を2019年から3年間で30万人増やす目標については8万人の増加にとどまっています。
また、本府におきましては、令和6年の当初予算で就職氷河期世代雇用支援総合対策事業費が用意され、「国の就職氷河期世代支援プログラムとも連携し、就職氷河期世代の方が希望に応じた就業ができるよう、きめ細やかな就業支援を実施する」とあります。
京都ジョブパークでは、非正規雇用者安定就業促進事業をハローワークコーナーなどと連携して取り組まれておりますが、本年新たに始まりました「就業・育成一貫支援プログラム」についてお聞きします。
本プログラムでは、午前は仕事、午後は訓練と、働きながらスキルアップできる全国でも初の事業が展開されております。おおむね20歳から36歳の若年世代向けと、就職氷河期世代に当たる37から57歳を「ミドル世代」と、分けて募集をしております。求職者が企業と出会うマッチングフェアについて、ミドル世代向けは開催回数を増やすなど、一定の配慮がなされていると感じます。ただ、事業者目線で言えば、採用した後の労働年数や年齢に見合った収入保障への配慮といった観点から、やはり若い世代を選ぶ傾向は否めないと思います。
そこでお伺いします。
昨今の公務員試験では氷河期世代限定採用の取組もございますが、就職氷河期世代の雇用を促進するため、最終的に事業者が雇用する際のインセンティブとして事業者の活動をあともう一押しする仕掛けや、事業現場での工夫、本プログラム対象企業への条件づけなど、より工夫した取組を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、厚生労働省が行うトライアル雇用助成金や特定求職者雇用開発助成金など、国の施策と組み合わせて事業の展開ができるのであればミドル世代や企業に対してどのような相乗効果が得られるのか、お答えをください。
次に、就職氷河期世代のもう一つの大きな問題は、ひきこもりの方々への対応です。
内閣府の調査を基に、2023年3月に、ひきこもりの状態にある15から64歳の人が推計146万人に上ると報道されました。また、2019年の同様の調査では、当時推計115万人のうち、40から64歳は全国で61万人いるとされました。
本府でも、京都府つながる・学ぶ・働く支援センター、通称「Lコネクト」において、オンライン相談や受入れ企業開拓、有償インターンシップなどを実施されております。また、若者等就職・定着総合応援事業では、基礎的な講習や実習を通じて就労促進・定着に取り組むNPOの活動を支援されておりますが、大切なのは、まず自身の部屋、そして家から1歩外へ出てもらうという最初のアプローチがあり、そして2歩目、3歩目と着実に進んでいけるよう、丁寧に働く環境を整えることが求められると思います。
私なりに知るところで一つ示唆を得た事例で申しますと、久御山町にACWA BASE(アクワ ベース)さんという仕事場があり、そこでは「地域循環ワークシェアリング」というコンセプトの下、受託した洗濯などのサービス事業を「洗濯物を畳む」などの作業といった簡単な仕事に分けることで「いつ来てもいいし、いつ帰ってもいい。誰が来てもオーケー」という環境を実現されております。
私も実際に見学し、お話を聞かせていただき、共通の悩みや思いを持ちながらも、様々な境遇の方々と接していくことは社会とのコミュニケーションになじんでいく絶好の機会になると感じました。障害者就労支援の施設などは一般的になってきておりますが、一定狙いを絞った場所に加え、手帳を持っていなくても、誰でも分け隔てなく参加できるような環境は氷河期世代のひきこもり対策にとっても非常に重要だと感じました。
そこでお伺いをいたします。
就職氷河期世代のひきこもり支援に関しては、実際に働く各企業の受入先の工夫というのが本当に重要だと感じております。Lコネクトの事業に賛同されている民間企業も多々ございますが、各社どのような工夫を凝らした取組をされているか。そして、本府としてはどのように就職、そして就労継続の結果につなげているか、できるだけ具体的な絵姿が分かるような事例とともに施策の成果を教えていただきたいと思います。
最後に、就職氷河期世代は、日本社会の構造的な変化の過渡期において上の世代と下の世代両方への理解が深いハイブリッドな人材という見方もあります。また、就職・就労で苦労をした分、現場では職場定着率も高いとの声もあります。この世代の持つポジティブな面もしっかりPRし、この人手不足の現状を絶好の機会と捉えて施策を進めていただきたいと思います。
また、今回の私の一般質問が、現在取組中の施策に関して、より多くの府民の皆様に周知され、活用されることを望みまして、私の一般質問を終わらせていただきます。
御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)
◯商工労働観光部長(上林秀行君)
◯商工労働観光部長(上林秀行君) 就職氷河期世代の求職者支援についてでございます。
就職氷河期世代の方は、就職活動が雇用環境の厳しい時期に重なったことで希望する就職ができず、現在も不本意ながら非正規雇用で働く方や、長期間にわたり無業の方及び社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする方がおられ、個々の状況や課題に即した支援が重要だと考えております。
京都府では、就職氷河期世代の求職者の支援に向け、国に先駆けて令和元年度から京都ジョブパークに専用の相談窓口を設置し、自信をなくしておられる方にこれまでの就労経験を通じて身につけたスキルや適職を一緒に考えるカウンセリングを行ってまいりました。また、企業に対しては、様々な就労経験をしてきた就職氷河期世代の方は業務への適応能力が高いことなどを企業訪問等の機会を捉えて説明し、雇用に向けて理解ある企業を増やすことで令和元年度から令和5年度までに496人の正規雇用に結びつけてきたところでございます。
近年、人手不足が深刻化する中、企業においては、特にITや製造などの専門人材の確保が困難となっております。専門人材に必要とされるスキルの取得には時間を要する一方で、就職氷河期世代の求職者の安定雇用につながることから、今年度、働きながらスキルアップできる「就業・育成一貫支援プログラム」を創設いたしました。
このプログラムは、就職後に企業でのOJT訓練と京都ジョブパークによる集合型訓練を組み合わせて安定就労と人材育成を行うものであり、先日、就職氷河期世代の求職者と企業とをマッチングするフェアを開催しましたところ、15の企業、22人の求職者に参加をいただきました。フェアでは、就職氷河期世代の求職者に対して、事前のカウンセリングにおいて自己PR資料を作成するなど、丁寧にサポートし、企業に対して積極的にスキル等をアピールいただいたことで多くの企業に好印象を与え、雇用に向けた前向きな動きが出てきているところでございます。引き続き本プログラムに参加いただいた求職者と企業とのマッチングを伴走支援し、就職された方は訓練につなげてまいりたいと考えております。
さらに、本プログラムと併せて、国のトライアル雇用助成金や特定求職者雇用開発助成金などを活用いただくことで企業は負担を軽減しながら就職氷河期世代の雇用や人材育成を行うことができるため、今後、本プログラムの説明会等において企業に制度を周知するとともに、ハローワークの担当者が申請をサポートすることで就職氷河期世代の安定就労につなげてまいりたいと考えております。
次に、就職氷河期世代のひきこもりの状態にある方への就職支援についてでございます。
ひきこもり状態にある方が就職に向けて進むためには、一人一人の状態に寄り添った丁寧なサポートと無理なく就労を継続できる職場環境の整備が重要と考えております。
京都府では、令和2年度に京都府つながる・学ぶ・働く支援センター、いわゆる「Lコネクト」を設置し、ひきこもり状態にある方に窓口やオンラインでの相談を行うとともに、職場環境の整備に前向きで、職場見学・仕事体験の受入れにも協力的な企業の開拓に力を入れ、現在、82社の企業に協力いただいております。
また、協力企業への職場環境づくりを伴走支援しており、例えば、最初は午前中や週2日だけの勤務から始め、柔軟に勤務日数を増やせる仕組みをつくるなど、無理なく働ける工夫に取り組んでいただき、昨年度は52名の就職につながりました。しかし、一旦は就職しても、すぐに離職してしまう方もあり、「働く環境に馴染めず、一人で不安を感じていた」という声をお聞きしております。また、企業からは「本人に合わせた仕事をつくることが特に難しい」といった声をお聞きしており、ひきこもり状態にある方の状況に応じて、本人と受入企業の双方に対し、より丁寧に支援をしていく必要があると考えております。
ひきこもり状態にある方に対しては、まず働く環境に慣れていただくことが重要と考え、昨年度、南丹市の企業の協力の下、企業の宿舎に3日間滞在いただき、信頼関係を築いたコーディネーターと一緒に職業生活を体験いただくプログラムをモデル的に実施した結果、参加された方は地域の生活や職場環境に魅力を感じて移住され、現在も正社員として就労を継続されています。今年度は、好事例をさらに増やしていくため、福知山市や与謝野町の企業にも協力いただき、空き家などを滞在場所として活用し、参加人数も増やすなど、モデル事業の規模を拡大して実施することとしております。
また、企業に対しては、今年度から、ひきこもり状態にある方向けの仕事づくりの事例や手順を学んでいただくセミナーを市町村や商工団体でも開催していただくなど、受入環境の整備に向けて支援を強化することとしております。
今後も、企業の受入環境の充実を図るとともに、ひきこもり状態にある方が働くことに対して少しでも前進できるよう、サポートしてまいりたいと考えております。