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1 防災対策の強化について
2 家族農業政策について
3 家庭教育支援について
4 STEAM教育に対応した教育の在り方について
5 その他
議事録全文
◯北川剛司君
◯北川剛司君 国民民主党・日本維新の会京都府議会議員団の北川剛司であります。このたびは、代表質問の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。会派を代表いたしまして、知事並びに教育長に質問させていただきます。御答弁をよろしくお願いします。
質問に入ります前に、議長のお許しをいただきまして、一言申し述べさせていただきます。
1月1日午後4時10分に発生した能登半島における度重なる大きな地震は、我が国における災害の概念を覆すような未曽有の大震災となりました。この震災により、お亡くなりになられた方々には心から哀悼の意を表する次第であります。被災され、今なお避難所等で不自由な生活を余儀なくされている方々にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
それでは、質問に入ります。
まず初めに、防災関連に関して質問させていただきます。1995年阪神淡路大震災、そして令和6年能登半島地震の経験を基に、防災に関して質問させていただきます。
まず初めに、1995年阪神淡路大震災は神戸市東灘区において被災しました。地震は、まだ寝ている人の多かった午前5時46分に発災しています。地震が発生し、辺りはまだ真っ暗で、何が起こったか分かりません。その後、夜が明け、震災の状況が明らかになり、神戸全体が被災したことが分かりました。その後、救助活動において倒壊した家屋から20人ほどの方を救出しましたが、6割の方が亡くなられていました。あまりにも多い倒壊した家屋からの救出の難しさがあります。生存者を発見しても、瓦礫を取り除きながらの救出は困難を極めました。余震もある中、ジャッキを2つ持ち、倒壊した家屋の柱を上げながら救出したのを覚えています。同じ被災者から「あそこに家族がまだ埋まっている」「お願いだ。助けてくれ」と手を合わせてお願いされますが、生存者を優先せざるを得ない厳しい現実と向き合うこともありました。
内閣府の資料によると、亡くなられた方々のほとんどは建物の倒壊によるものでした。全損した建物は10万4,906棟。地震の激しい揺れによって多くが倒壊し、亡くなった人の約9割が震災当日の午前6時と、地震後間もなく死亡していた可能性が高いと分かっています。
家が崩壊された方々は、発災から何日間も避難所生活を送ることになります。私の住んでいたマンションは無事だったので数日後に帰ることができましたが、避難所生活においてはプライバシーが守れない、また、冬であったため、体調を崩された方々が多く発生し、そして震災のショックから亡くなられた方々がおられたことを覚えています。
次に、令和6年能登半島地震において、輪島市南志見(なじみ)地区に妻、そして子どもたちが帰省していました。1日の午後4時に実家に着いた旨の連絡が入り、その後、4時8分にLINEにて「物すごく揺れた。でも、大丈夫」との連絡は前震での連絡で、午後4時10分の本震以降の連絡が取れず、安否の確認が取れません。安否確認をするために、翌日に四輪駆動の軽自動車にて現地に向かいました。輪島市に入る道路が全て陥没・隆起し、車が通ることができる状態ではありません。能登半島の道路に詳しかったため、崩落している山道を板など使いどうにか通り抜け、夜8時、奇跡的に母、妻、子どもたちがいる輪島市南志見地区に入ることができました。消防隊、警察、自衛隊の方々に関しては、道路が寸断されているため、現地に入ることができない状態です。
私が現地に入ると、約350人の被災者の方々が避難所におられました。しかし、数名の方が崩落した崖に押し潰され、救出できない状態でした。また、外部からの情報もなく、不安な状態で避難されていました。停電、そして携帯もつながらない状態、またテレビも映らない状態、情報が全く入らない状態、ラジオの電波も微弱、そのような状態で発災から余震も続き、不安な状態が長く続いていました。避難所に透析者3名、重症者多数、軽症者多数がおられる状態で、避難所から数キロ離れたところなら微弱な電波でワンキャリアだけ途切れ途切れで何とか通話できるところがあり、団長の北岡議員に、私、そして家族の安否と避難所の状況の報告を行い、微力ながら、避難所におられる被災者の支援活動を行っていました。そして、私の誘導の下、妻、子どもたち、金沢や他府県に身寄りがある方を乗せ、車列5台で避難させ、途中で私は避難所に戻り、避難所の支援を行っていました。奇跡と奇跡が重なり、どうにか透析者の3名、大人の重症者1名、子どもの重症者2名を搬送することができましたが、他の重症者の1名の方は避難所でお亡くなりになっています。
震災はいつ起こるか、誰も分かりません。そのためにも震災に対するリスクマネジメントが必要だと経験を通じて痛感しています。
内閣府の中央防災会議は、最大クラスの南海トラフ地震が発生した際の被害想定を実施しています。また、文部科学省の地震調査委員会は、2022年1月、南海トラフ地震の40年以内の発生確率を90%程度としています。南海トラフ地震では、地震や津波による大きな被害が広範囲に予想されています。90%ですから、南海トラフ地震はいつ発生してもおかしくありません。今日、明日に発生する可能性もあります。いま一度、南海トラフ地震への備えを見直す必要があると思います。
南海トラフ地震では、未曽有の巨大震災が起きたとき、西日本の太平洋沿岸は広範囲で最大震度7の揺れと大津波に襲われ、東日本大震災をはるかに上回る被害が想定されています。自衛隊や消防、緊急医療支援は甚大な被害を受けた東海・九州の沿岸に向かうことが予想されており、最悪のケースでは、相対的に被害が小さい京都や滋賀に他府県からの応援が来ない可能性があります。西日本の物流は麻痺し、京都や滋賀でも食料や水、生活必需品が深刻な欠乏状態になるとされています。
また、京都府内に関する発災のおそれが大きいのは南海トラフだけではありません。花折断層帯もそうです。花折断層帯は京都市を南北に走る断層で、南部の断層は京都大学辺りに存在していますが、この断層の詳しいことはあまりよく分かっていません。平均活動周期(直下型地震が起きる周期)は数千年に一度ではないかと見られています。想定死者数は約7,000人に上るとされ、30年以内の花折断層地震の発生確率はほぼ0%から0.6%とされていますが、リスクマネジメントを鑑みても、南海トラフ地震と併せて準備しておく必要があると思います。
そこでお伺いします。
京都府では、風水害や地震などの大きな災害の発生に備え、災害の予防や災害が発生した場合の緊急対応・復旧対応を行うため、府や国の機関、市町村、消防関係機関、指定公共機関などで構成する京都府防災会議において京都府地域防災計画が策定されています。京都府地域防災計画の全ての項目に関して重要だと考えていますが、質問時間の制限から、阪神淡路大震災、令和6年能登半島地震の私の経験を踏まえて、予防的観点から最も重要だと思われる項目に絞り、質問させていただきます。
京都府地域防災計画・震災対策計画編、第2編第1章「第2節 建築物の震災対策計画」において、特に第2の「4 緊急輸送道路沿道建築物 府内の防災拠点施設への円滑な通行を確保するため、府及び市町村が連携し、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化を推進する」となっていますが、現在の推進状況、耐震化されていない建物に対する対策などをどのように進められるのか、お伺いします。
阪神淡路大震災、令和6年能登半島地震の被災状況を鑑みても、緊急輸送道路の通行の確保が救助活動において重要だと実感しています。そのため、地震時に倒れることにより緊急輸送道路の通行を妨げるおそれがある建物の耐震化は、99%でも駄目で、100%にする必要があります。災害は必ず想定外のことが発生するのです。1%でも未完であると、その時点で、発災時点で通行できない可能性があります。100%でようやくスタートラインに立った状態です。
次に、第2章 第1節「第2 京都府衛星通信系防災情報システムの運用」についてお伺いしますが、「地上系システムの強化・拡充を推進するとともに、さらに衛星通信システムの機能を加え信頼性及び安全性の高い衛星系システムの整備を図る」となっています。「第3 市町村防災行政無線の整備促進」に関してですが、「市町村に対して早期に市町村防災行政無線の整備を促進するとともにデジタル化による最新の設備の整備を図る」となっています。
輪島市の防災行政無線は、発災時に壊滅状態になっています。また、今回、石川県能登半島の一部で、大半と言っても過言ではないと思いますが、携帯電話のキャリア全て、通信できませんでした。もし衛星電話があれば、情報の伝達・収集が可能だったと実感しています。
そこで、今後の京都府衛星通信系防災情報システムの運用において、衛星系の整備状況や今後の運用の在り方に関してお伺いします。また、発災において通信障害が発生し、孤立した地域並びに通信手段が失われた被災者の方々に対し、情報収集や伝達などの対応をどのように考えておられるのか、お伺いします。以前、質問させていただきましたが、震災等が発生した場合、現在の防災情報システムでは通信障害が発生した地域において情報収集・伝達は不可能だと思います。
次に、地域防災計画の原子力災害対策について質問します。
京都府地域防災計画の原子力災害対策編の第3編 第7章 1「(3)緊急輸送体制の確立」について、「ア 府[危機管理部、建設交通部]及び府警察本部は、関係機関との連携により、輸送の優先順位、乗員及び輸送手段の確保状況、道路交通の状況等を勘案し、円滑に緊急輸送を実施するものとする」、「イ 府[危機管理部、建設交通部]は、人員、車両等の調達に関して、近畿運輸局又は社団法人京都府バス協会をはじめとする関係機関に支援を要請するとともに、必要に応じ周辺市町村や関西広域連合及び他の都道府県に支援を要請するものとする」、「ウ 府[危機管理部]は、イによっても人員、車両等が不足するときは、原子力災害合同対策協議会等の場において、人員等の確保に関する支援を依頼するものとする」となっていますが、運転手の不足などで全国でバスの減便が相次ぐ中、業界団体では2030年に3万6,000人の運転手が不足するという試算をまとめました。この運転手不足に加え、今回の能登半島地震のように陸路が寸断される場合などを踏まえて、現在計画されている京都府地域防災計画の原子力災害対策編を見直す必要があると思います。
そこでお尋ねします。
今後、国への要望内容も踏まえ、どのように防災対策を見直されるのか、お考えをお伺いします。
また、地震等、自然災害の発生は避けようがないことから、減災対策が重要になってきます。
私は、災害対策の基本は自助だと思っています。どのような状態においても「自分の命は自分で守る」という備えが必要です。
私が経験した阪神淡路大震災においては、亡くなった人の8割以上が、地震直後、倒れた家屋や家具、テレビなどの下敷きとなり、短時間のうちに圧死で亡くなられております。災害による被害を最小限にするためにはまず自助が基本となりますが、個々人の力には限界があります。そのためにも地域の防災力を高めるには互いに協力し合うことが重要で、阪神淡路大震災の際に要救助者の約8割を助けたのは近所の住人だったと内閣府の防災白書でも述べられています。日頃から自治会などで防災訓練などを行い、いざというときに協力して対策に当たることができるよう、体制をつくっておく必要があると痛感しています。
しかし、従来の地域コミュニティーの崩壊がよく指摘されています。隣近所にどういう人が住んでいるか、お互い分からない場合が多くあると思われ、また、社会的な環境が昔と大きく違い、多くの若者が地元以外のところで働き、週末にしか休養・家族と過ごす時間が取れないような社会的な環境になっています。そのことから、地域コミュニティー活動に参加する若者が減っているのも現状です。また、震災時に大きな力となる消防団、自主防災会などに参加する若者が減っているのも事実です。
今回の令和6年能登半島地震でも、発災後しばらくは行政の支援を受けることなく、地域住民が自発的に避難行動を取り、地域コミュニティーで助け合って救助活動、避難誘導、避難所運営等を行われていました。また、災害からの復興に当たっても、地域住民一人一人や地域コミュニティー全体が主体的に関わることがよりよい復興にとって不可欠です。
そこで、京都府での直下地震、南海トラフ地震等の大規模災害での被害を少なくするためには、地域住民一人一人や地域コミュニティー全体が、災害は人ごとと思わず、いつ発生するか分からない災害に備えて「自分でできること」「家族でできること」「隣近所で力を合わせてできること」等を考え、また相互に助け合うことが重要であり、地域コミュニティーにおけるこのような自助・共助によるソフトパワーを効果的に活用することが不可欠であり、地区防災計画等、自助・共助による防災活動を強化することが大規模広域災害に対処するためには不可欠で、一方で、社会の変化に伴い、都市部においては人間関係の希薄化が進み、また、地方においては、人口減少や平均年齢の上昇等が進む等、地域コミュニティーの脆弱化が懸念されていることから、地域防災力を向上させるためには、地区防災計画に基づく防災活動が地区住民等によってしっかり実施されるように、地域コミュニティーそのものの強化や活性化が必要だと考えます。
そこでお伺いしますが、本府における減災の取組の状況をどのように捉えておられるのか。また、減災を進める上で府民の防災意識の向上が不可欠だと考えていますが、本府における状況をどのように捉え、今後どのように対応されようとしているのか、お伺いいたします。
次に、京都府では、防災士育成に予算を計上し、大規模災害発生時の対応力と地域防災力の強化として防災対策を講じようとされています。多くの方は大規模な震災の経験はないと思いますが、まずは防災の知識があれば発災時においても効率的に活動できると考えます。ただ、防災士の資格を取ろうとする若者、特に大学生、高校生等が金銭的な問題で受講できない現状があるようです。大学生、高校生等が防災士の資格を取ることで発災時においてアクティブに活動できると考えます。また、防災に関する意識が向上することで消防団の加入も促進できると考えています。そして、ふだんから防災に対する意識づけをすることで発災時においてリーダー的存在を担うことが可能となるでしょう。
そこで、大学生、高校生等の若者に防災士の育成の機会を設けることが必要だと考えますが、防災士育成事業をどのように展開されるのか、お伺いします。
次に、以前にも質問しました防災拠点に関して質問させていただきます。
能登半島地震においても消防関係は金沢競馬場に集結し、他の部隊は別のところに集結されていました。東日本大震災時の教訓が生かされていないと思われます。京都府においては、花折断層帯地震が発災した場合、府庁も相当な被害を受けると考えられ、防災本部自体も被害を受けることが想定されます。
東日本大震災において、岩手県ではハブ方式で遠野市を防災拠点とし、宮古市、山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市などに対する広域支援部隊の一次集結・ベース、支援物資の集積・分配、災害医療支援、災害ボランティア活動支援などの役割を果たしたと聞いています。東日本大震災を参考に、交通の利便性が非常によい山城地域に防災広場を設置し、移動式防災本部にするなど、太陽が丘運動公園での防災拠点を否定するものではありませんが、山城地域の道路網が整備されている中で京都府の防災拠点を見直す時期に来ていると思います。京都府の防災の観点からどのように考えておられるのか、お伺いします。
また、ここまでは、経験に基づき、地域防災計画の重要と思われる項目に関して質問しましたが、今回の令和6年能登半島地震の防災対策を教訓として京都府地域防災計画を見直す必要があると思います。そこで、見直す場合に関して、専門家の意見を聞きながら見直すことも重要ですが、現場で経験した者の意見などを参考に見直す必要があると考えています。
そこでお伺いします。
令和6年能登半島地震の教訓を生かし、京都府地域防災計画をどのように考え、もし総合的に見直すなら、早急に実施する必要があると思います。御所見をお伺いします。
まずはここまで御答弁をよろしくお願いします。
◯知事(西脇隆俊君)
◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 北川議員の御質問にお答えいたします。
風水害や地震などの自然災害や原子力災害などの危機事象から府民の生命と健康、財産を守るため、国、京都府、市町村、電気やガスなどのインフラ事業者等の関係機関が連携し、京都府地域防災計画を策定するとともに、事前対策、発生時の応急対策及び復旧・復興対策まで総合的かつ計画的に取り組んでいるところでございます。
令和6年能登半島地震につきましては、いまだ多数の避難者がおられるなど、検証できる段階にはございませんが、耐震化の遅れによる多数の住宅倒壊や道路の寸断による救助・救出の遅れ、孤立集落の発生や水道をはじめとするライフラインの復旧の遅れに加え、これらによる避難の長期化と二次避難など、既に多くの課題が明らかになっております。
京都府といたしましては、これらを教訓として、さらなる防災対策の強化について速やかに検討を進めているところでございます。
まず、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についてでございます。
能登半島地震では、道路そのものの損壊に加え、多くの建築物が道路に倒れたことにより避難や救助活動などに支障となったところであり、災害時における道路の通行確保や建築物の耐震化の重要性について改めて認識したところでございます。
京都府内におきましては約1,500キロメートルの緊急輸送道路を指定しており、国をはじめ、それぞれの道路管理者が橋梁やのり面などの地震防災対策を進めているところでございます。そのうち、広域的な救助活動の支援のため、京都縦貫自動車道、京奈和自動車道などの高速道路網を基幹道路とし、京都府本庁舎、振興局、福知山や宇治の自衛隊駐屯地、山城総合運動公園をはじめとした4か所の広域防災活動拠点とを結ぶ約290キロメートルの区間の沿道建築物について重点的に耐震化を促進することとしております。
沿道建築物の耐震化の流れでございますが、建築物が倒壊した際に道幅の半分を通行できることを基本として、その支障となるおそれのある建築物を抽出した上で、現在の耐震基準が適用された昭和56年6月より前に着工された建築物について所有者に耐震診断をしてもらい、耐震性が不足していれば耐震改修などを促すこととなります。現在、約290キロメートルの区間の沿道にある3,000棟以上の建築物の中から耐震診断が必要な41棟を抽出し、そのうち、除却等をされた8棟を除く33棟についての耐震診断を終えたところであり、耐震性が不足すると判定された29棟につきまして、耐震改修工事などの費用の一部を国と京都府が補助する制度を設け、所有者に対策をお願いしているところでございます。
併せて、大規模地震が沿道建築物の耐震化が完了するよりも前に発生する可能性もあることから、能登半島地震などの教訓も踏まえ、代替となる経路についても並行して検討することで道路の通行機能を確保してまいりたいと考えております。
次に、京都府衛星通信系防災情報システムの整備状況と孤立集落等における通信手段の確保についてでございます。
能登半島地震のような大規模災害発生時において早期に的確な災害対応を講じるためには、被災状況等の情報収集と京都府・市町村・消防などの関係機関相互の迅速かつ的確な情報の伝達が必要なことから、通常の地上系通信回線が途絶した場合に備え、通信衛星を用いた非常用通信手段を確保することが重要だと考えております。
国においては、令和2年5月の防災基本計画の改正において、耐災害性に優れた衛星系ネットワークについて、国、都道府県、市町村、消防本部などを通じた一体的な整備を図ることとされたところでございます。さらに、第3世代と呼ばれる衛星通信システムが、災害時に通信がふくそうするおそれのないことや映像等のやり取りにも十分な回線容量を備えるとの実証結果が得られたことから、新たな地域衛星通信ネットワークとして整備を推進するよう、令和3年1月に消防庁から各都道府県に通知されたところでございます。
京都府におきましては、平成19年度から衛星通信系防災情報システムを運用しておりますが、消防庁の通知を受け、令和2年度から開始した危機管理センターの設計に併せ、第3世代システムの導入に向けた機器の仕様などの検討を行ってまいりました。この結果を踏まえ、今年度は実施設計を行っているところであり、来年度から整備に着手するため、今定例会に必要な予算案を提案させていただいております。
第3世代システムの整備により通信速度の上昇や大容量データの伝送が可能となるほか、可搬型アンテナの小型化・軽量化により運搬・設置が容易となることで被災現場からの映像を伝送するといった活用も可能となります。これらの性能向上により、大規模災害発生時に通常の通信回線が遮断された場合であっても、国や他府県、市町村等との通信手段を確保できますことから、正確な被災状況の把握に基づき、迅速かつ的確な避難指示や、自衛隊、緊急消防援助隊などによる救助活動につなげていくこととしております。
また、孤立集落や避難所などにおける通信手段の確保についてでございますが、能登半島地震においては、民間通信事業者から短時間で設置が可能な小型・軽量の衛星アンテナを用いたWi-Fi(ワイ ファイ)環境の構築や、衛星携帯電話が無償で提供され、通信手段が確保されたところでございます。
現在、Wi-Fi環境が整備されている京都府内の指定避難所は、1,158か所のうち、約半数にとどまっていることから、国において創設された有利な地債制度を活用し整備が進められるよう、市町村に働きかけているところでございます。
京都府では、市町村による避難所の通信環境整備に加えまして、災害時における可搬型衛星アンテナの設置や、Wi-Fi機器、充電機器を設置する図上訓練を民間通信事業者とともに行うなど、連携体制の強化に努めているところでございます。
引き続き、衛星通信系防災情報システムの更新や民間事業者との連携強化を図り、災害時における正確な情報の収集と提供のため、確実な通信手段を確保してまいりたいと考えております。
次に、原子力防災対策についてでございます。
原子力災害による万一の緊急事態に備えて災害から府民の生命と財産を守るためには、平時から国や関係市町、関西広域連合などと連携し、避難体制に万全を期すことが大変重要だと考えております。
広域避難に必要な緊急輸送体制につきましては、京都府地域防災計画・原子力災害対策編に基づき、平成20年1月に京都府バス協会と、また平成30年7月には京都府タクシー協会との間で緊急時の輸送に関する協定を締結し、現在、バス車両を約2,200台、タクシーを約5,900台確保しているところでございます。
議員御質問のバス等の運転手不足への対応につきましては、国に対しましてバス・タクシー運転手の人材確保に係る経費への継続的な支援や規制緩和を要望いたしますとともに、地域公共交通事業者などが人材確保のために負担する二種免許取得の経費などにつきまして、公共交通人材確保対策事業により、国の交付金を活用して支援することとし、今定例会に必要な予算案を提案させていただいております。
また、地震により道路が寸断された場合の避難手段につきましては、地域防災計画に基づき、平成25年2月に策定した広域避難計画において関係市町と連携して空路避難に必要な臨時ヘリポートの候補地を約100か所指定いたしますとともに、船舶を使った海路避難も計画に位置づけて、自衛隊や海上保安庁との実働訓練にも取り組んでいるところでございます。
今回の能登半島地震を踏まえた原子力防災対策につきましては、現在、国において原子力災害対策指針などの点検が進められておりますことから、その内容も踏まえまして京都府においても地域防災計画・原子力災害対策編や広域避難計画の改定について検討を進めることとしております。
今後とも、緊急輸送体制の強化を図ることで原子力災害時における住民の広域避難体制に万全を期してまいりたいと考えております。
次に、自助・共助による減災の取組と防災士の育成についてでございます。
近年、人口減少や高齢化に伴い、コミュニティーの希薄化が進む中、能登半島地震において現地で支援に当たった職員からは、「被災された方々の間ではお互いを支え合う共助の構図ができており、地域の人々の結びつきを強くするということは大災害が起きたときに大きな力を発揮することを実感した」という報告を受けております。このことから、激甚化・頻発化する自然災害に対応するためには住民同士の助け合いや一人一人の防災意識の向上を図ることが重要であるということを改めて認識したところでございます。
京都府といたしましては、平時から地域の方々が集まる機会を設け、自助・共助について話し合うなど、地域コミュニティーの強化による防災力の向上に関する取組を支援していく必要があると考えております。
具体的には、自主防災組織などを対象に、水害等避難行動タイムライン作成の講習会や、高齢者や難病患者など、支援が必要な方の個別避難計画策定を促進するための研修会にアドバイザー役として京都府職員を派遣するなどの取組を行っております。また、防災に関する地域広報誌の作成・配布や、自治会と大学生ボランティア団体の協働による防災マニュアルの策定など、地域住民の主体的な取組に対しまして、地域交響プロジェクト交付金により支援しているところでございます。さらに、消防団が中心となって中山間地域において互助による救助・救急力を高め、安心・安全な地域づくりを進める「ふるさとレスキュー」の取組や、消防団と地域の民間企業などが共同で実施する防災訓練の取組に対して、「わがまちの消防団強化・応援事業費」により支援を行っているところでございます。
また、議員御質問の防災士養成研修の実施に当たりましては、市町村から、町内会の役員や避難所となる学校の職員、社会福祉施設の職員など、地域防災のリーダーとして期待される人材を推薦いただいております。今年度の受講者は小学生から高齢者まで幅広い年代となっており、特に若者については、将来の地域防災の担い手として大学生による防災サークル「京都学生FAST(ファスト)」の学生にも受講していただいているところでありますが、来年度以降、高校生につきましても受講枠を確保できるよう、検討しているところでございます。
なお、災害リスクの高い中山間地の小規模集落等においては、自助・共助の仕組みづくりや地域防災の担い手の確保についても議論する必要があるのではないかと考えているところでございます。
次に、防災拠点の見直しについてでございます。
京都府では、大規模災害発生時の初動態勢として、府庁に災害対策本部を、広域振興局に災害対策支部を設置し、災害対応に当たることとしております。さらに、自衛隊、警察、消防などの応援隊の集結や全国からの救援物資の集配などの拠点として広域防災活動拠点を設置することとしております。
広域防災活動拠点は、災害時において優先的に道路交通が確保される緊急輸送道路との連絡がよく、海路や空路の活用も考慮する必要があることから、中核となる山城総合運動公園のほか、京都舞鶴港、丹波自然運動公園、京都御苑の4か所を選定しております。
京都府におきましては、現在、府内最大の被害が想定される花折断層帯地震の被害想定の見直しを行っているところであり、この結果を踏まえ、必要に応じて防災拠点の在り方について検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、京都府地域防災計画の見直しについてでございます。
京都府地域防災計画は府の災害対策の根幹をなすものであり、風水害や地震など、あらゆる事態を想定いたしますとともに、災害の検証から得た教訓を反映して改定すべきものだと考えております。このため、平成30年7月豪雨災害や令和5年1月の大雪対応の検証結果などを踏まえ、避難行動タイムラインの作成・普及や雪害対策本部の設置基準見直しなど、地域防災計画の改定を行ってきたところでございます。
また、地震対策については、地域防災計画に基づく減災目標や重点的取組項目などを示した「京都府戦略的地震防災対策指針」を策定しております。現在の指針につきましては、花折断層帯地震の被害想定の見直し結果を踏まえ、改定を行うこととしておりましたが、今回の能登半島地震から得た教訓も踏まえながら指針の改定を進めますとともに、国の防災基本計画の検討状況も見ながら地域防災計画にも反映してまいりたいと考えております。
今後とも、国や市町村、関係機関と連携し、防災体制の充実と災害時の対応力を強化することで災害に強い京都づくりを目指してまいりたいと考えております。
◯北川剛司君
◯議長(石田宗久君) 北川剛司議員。
〔北川剛司君登壇〕
◯北川剛司君 御答弁ありがとうございます。
地震だけは、いつ、どこで発災するか分かりません。つい最近、亀岡を震源とする地震が発生しましたし、今後、南海トラフが40年以内に90%以上の確率ということは──能登半島でも0.何%の確率だったにもかかわらず、発災しています。90%というのは、今日、明日、いつ起こるか分からない、そういうふうな対策というのが──リスクマネジメントというのは、予防対策に重きを置きということを言われています。しかし、予防対策というのはお金が非常にかかってしまいます。そこで、最小限、本当に必要な防災対策というのが私は必要だと思っています。
震災というのは全てが想定外です。そこで、いかに情報を集めて分析し、行動を判断し、そして決断・実行しなければならないというふうに常に思っています。机上で判断するのではなく、現場で五感で感じて指示・命令を出していただいて、今後もし花折断層もしくは南海トラフ、京都府には生駒断層も走っていますし、そういうことも鑑みて、発災したときには知事が先頭に立ってリーダーシップを発揮していただいて、負傷者をいかに少なくするかという行動を取っていただきたいと思います。これは要望しておきます。
時間がありませんので、次の質問に移らせていただきます。
次に、京都府における家族農業の政策に関してお伺いいたします。
今、テレビやマスコミでは、大規模農業やスマート農業がクローズアップされています。京都府における農業経営体(令和2年2月1日現在)は1万4,181経営体。5年前に比べて3,835経営体、21.3%減少しています。農業者数の減少や荒廃農地の増加、高齢化などの状況にある中、自然災害や原油価格・物価高騰などの影響を受け、社会経済に大きな環境変化が生じており、地域においては一層地域の主体性と関係機関・団体の連携が重要な時代となっています。
2020年農林業センサス等の結果から京都府における農業構造の現状を見ると、65歳未満の専従者のいる農家数が10年前に比べて約42%減少し、その率は約16%となっており、また、経営耕地面積は10年前に比べて13%減少し、耕地面積に対する荒廃農地の割合は約11%となっています。農業経営体数のうち、個人経営体数は1万3,659経営体。総農家に関しては2万4,953戸、そのうち自給的農家は1万1,337戸となっています。
このような現状の中で、経営感覚に優れた農業経営体の育成と、半農半X実践者や定年帰農者など、多様な担い手の連携により、地域農業の担い手構造を確立することが喫緊の課題となっています。
世界での家族農業数の割合はどうかというと、先進国が集まるEUでは95.2%(2016年)、穀物メジャーで有名なアメリカでも95.9%(2017年)となっています。多くの発展途上国も家族農業が主体です。つまり、日本だけでなく、世界の農業を支えているのは圧倒的に家族農業と言えます。家族単位の小さな農業がその地域に合った方法で耕作し、集落を形づくり、農村文化、食文化を育みながらバリエーションのある国民の食を支えていると言っても過言ではありません。
そこで、国連は、この家族農業の働きが食料安全保障の確保や貧困撲滅に大きな役割を果たしているとし、2019年から10年間を「家族農業の10年」と定めました。また、家族農業が持つ伝統や文化の継承、環境や生物多様性の保全、栄養改善や貧困の撲滅など、その持続性と併せて評価しました。国も現行の食料・農業・農村基本法において家族農業経営の活性化を図る施策に取り組むとしており、令和6年度中に国会提出が見込まれる改正基本法においてもその姿勢は堅持していただきたいと思います。
京都府では、地域を守り、生産を支える農林水産業の担い手づくりを進めていくため、府民の皆さんの幅広いニーズを踏まえ新規就業をサポートするとともに、多様な担い手の連携による地域農業の仕組みづくりに取り組んでいます。また、若い人たちが魅力を感じる農業ビジネスモデルの育成や普及、後継者へのスムーズな経営継承や発展、都市農業の新たな経営展開などの支援にも取り組んでいます。
ただ、多くの課題が山積していますが、解決できない課題は思い切った発想の転換によって効果的な解決策につながることもあります。新たな目標を掲げ、積極的に取り組み、経営規模を拡大していけば、農業全体が活性化し、新規参入が増え、耕作放棄地の解消につながるかもしれません。京都府としても多くの家族農業に対して支援を行っているのは理解しています。
そこで、農業の就労者が増えない現状、農業の効率化が急務だと私は考えています。
新技術と社会づくりに関する特別委員会において、公益社団法人富山県農林水産公社スマート農業普及センターのスマート農業の推進に関する視察をさせていただきました。京都府も含め、多くの地域でもスマート農業の導入が進められています。IoTやAI、ロボット技術など、先端技術を取り入れた新たな農業技術「スマート農業」の導入は、農作業の効率化や省力化を大幅に進める効果が期待できます。ドローンによる農薬散布や生育管理、自動水管理システムによる給排水の制御、アシストスーツによる体への負担軽減、トラクターの自動操舵などをはじめ、少ない人数や負担でより多くの作物を栽培するための技術開発は日進月歩で進んでいます。
そして、農地や経営を大規模化することも必要だと考えます。担い手不足に対応し、作業効率やコストダウンのための策として、日本では、現在、農地の集約や経営体の大規模化が進んでいます。既に農地を所有している農家でも、農地バンクなどの利用で、まとまった農地を確保して規模を拡大しています。その上で大型機械や管理システムを導入すれば、効率的な農作業で大幅な収量増を実現でき、農家の所得向上にもつながります。
規模拡大に当たっては、法人化することで融資を受けやすくなったりするので、併せて検討するといいと思います。もし近隣に耕作放棄地などがあるならば、それを集約することで土地の有効活用にもなり、一石二鳥です。
また、集落営農へ取り組むことも必要だと考えています。もともと小さな農地が点在しているような山間などの地域では、大規模化は難しいかもしれません。その場合、集落単位で共同による農作業をしたり、農業経営を分担したりする集落営農を検討する必要があります。個人では難しい施策も地域一丸となって実行できるため、担い手の確保や設備・農機の共有、作業の分担ができ、耕作放棄地の対策にもつながります。そのほか、地域全体の活性化や他の産業との連携も可能です。
そこでお伺いします。
年々約4%の割合で家族農業が減っている現状を踏まえ、現状をどう分析し、資金力がない家族農業の効率をどのように向上しようとされているのか。また、これから家族農業をどのように支援していこうとされているのか、お伺いいたします。
そして、京都府として、ICT、AI、ドローンなどの最新技術を活用したスマート農業による農作業の効率化をどのように推進しようとされているのか、お伺いします。
また、農業担い手問題の解決策の一つとして農地の集約や経営体の大規模化などが考えられますが、山間などの地域では大規模化は難しいかもしれません。その場合は、集落単位で共同による農作業をしたり、農業経営を分担したりする集落営農を検討する必要があります。京都府として今後の農業の在り方をどのように考えておられるのか、所見をお伺いいたします。
次に、家庭における教育、子育て支援について教育長にお伺いいたします。
教育基本法の家庭教育に関する第10条第2項において「国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない」となっています。
家庭教育は、親が子どもに家庭内で、言葉や生活習慣、コミュニケーションなど、生きていく上で必要なソーシャルスキルを身につけるための援助をすることです。また、家庭教育は全ての教育の基礎となるものです。
家庭教育と家庭学習は違うもので、自立心、学力、社会性、生活力などを養うことを言いますが、近年の家庭教育をめぐる課題として「地域における市民同士の関係性の希薄化」「核家族化に伴い、家庭教育の情報不足・情報過多」「父母世代と祖父母世代の価値観の確執」「親が学校に求める要求の質が高い」など、多くの課題が挙げられます。昔は、子どもを家庭・学校・地域で支える力が強く、相互連携が図られていました。しかし、近年、家庭・学校・地域で支える力が弱くなり、相互連携も図れなくなっているのが現状です。その隙間を中間支援機関である塾、民間支援機関、行政の支援チームなどが埋めている状態だと思っています。
民間調査会社において、子育ての悩みについての調査結果を2023年5月18日に発表されました。調査は、2023年2月、20代から60代の男女446名を対象にウェブアンケートで実施したものです。「子育てについての悩みを相談できる人はいるか」という質問に対し、「パートナー」(65.5%)が最も多く、次いで「親」(41.4%)、「友人」(34.0%)と続いています。一方、その次に多いのが「相談できる人がいない」(13.8%)の回答になっています。子育ての悩みについて相談したいことは、「進学」「子どものメンタル不調」「不登校」などのコメントが寄せられたと報告されています。また、「子育ての悩みをどの手段で相談したいか」と尋ねたところ、トップは「対面」(55.2%)、次いで「オンライン」(39.4%)、「チャット」(28.1%)と続いています。また、行政サービス情報に関して意見を尋ねると、「広報をもっとしてほしい」「どんどん情報を提供してほしい」「簡単にアクセスできるようにしてほしい」といった要望があったという報告がありました。
また、子どもの不登校に関しては、不登校は、子どもだけではなく、親へも大きな精神的負担を及ぼします。もちろん、最も苦しみ悩んでいるのは、ほかならぬ子どもです。しかし、不登校になった子どもをサポートして支えなければならない親も不安とプレッシャーに押し潰されそうになるときがあるはずです。中には、精神と肉体の疲労がピークを迎え、鬱病のような状態を発症してしまうケースもあると聞いています。
これらの報告を鑑みても、今の時代、子育て環境が厳しくなり、親が孤独の中で子育ての悩みを抱えていることが多くなってきています。親のニーズが変化し、親に対する学びの場のマッチングが難しくなってきています。
このような状態から、様々な家庭教育支援に取り組むことができる家庭教育支援チームが注目されるようになっています。都市化や核家族化、独り親家庭や共働き家庭の増加、地縁的つながりの希薄化等を背景として家庭教育を支える環境が大きく変化する中、子育てに悩みや不安を抱えつつ、自ら学びや相談の場にアクセスすることが困難な家庭など、支援が届きにくい家庭も存在します。また、児童虐待や不登校など、子どもの育ちをめぐる課題も懸念され、社会全体での家庭教育支援の必要性が高まっています。
予防的な対策は、成果が明確に評価しづらいと思います。しかし、リスクマネジメントにおいて、効果的なリスク対策は発生時対策よりも予防対策に予算を割り当てるほうが重要だとされています。また、学校に行きたがらないという理由から、その原因はいじめや教員・友だちとの関係性であると考えられがちですが、ところが、近年、不登校やひきこもりの本来の原因が家庭にあるケースも多いことが分かってきました。
そこで、家庭教育支援を行うことは、いじめ、ひきこもり、不登校、虐待などの未然防止につながり、また、家庭教育支援に関しては市町村が積極的に取り組む必要があると思っていますが、府教育委員会として市町村教育委員会や福祉部局とも連携しながら今後どのように取り組まれようとされているのか、お伺いいたします。
次に、STEAM(スティーム)教育に対応した教育の在り方についてお伺いいたします。
STEAM教育を意識した教育活動を取り入れる教育機関が増えてきました。文部科学省は、STEAM教育を推進する取組を数多く実施しています。
STEAM教育とは、各教科等での学習を実社会での問題発見・解決に生かしていくための教科等横断的な学習であり、実験や作業といった体験を通じて興味の扉をたたき、深く知りたいと実感してもらうことがSTEAM教育の初めの第一歩だと思っています。
文化・教育常任委員会でも「やまぐち子ども未来型学習プロジェクト」を視察させていただきました。STEAM教育のS・T・E・A・MのA(アート)の部分をうまく取り入れられて教育を実施されていると感心しました。
STEAM教育を実施する上で、まだまだ多くの課題も山積しているのが現状です。
例えば、教員の不足が挙げられます。実験を行うには危険が伴います。興味を持たせるための声かけにも物理的に教員の人数が足りません。学校現場で子どもの探究心を刺激するような授業を行うには、授業体制の改革が必要になってきます。さらに、新しく始まったプログラミング授業などでは、教員が子どもよりも機器操作のスキルが劣っていることもしばしばあります。指導要領に基づいて指導を済ませたけれども、子どもたちからすると、簡単過ぎてつまらなかったと実感することもあるようです。ただでさえ忙しい教員が新たな専門的スキルを求められてしまっているのです。
また、電子環境整備の遅れが考えられます。海外では盛んに取り入れられているeラーニングですが、日本は、世界的に比べると、教育へのICT活用などが遅れていると言えます。
eラーニングの特徴は、個々のペースで学習できる点。同じ教室で同じ教員の授業を聞いていても、理解が早い子どももいれば、ゆっくりと理解する子どももいます。ペースについていけなかった子どもたちは、理解できなかった部分がつまずきとなり、次の授業以降も理解できずに苦手意識だけが残ってしまうという悪循環が起こってしまいます。STEAM教育は、教科横断的な学びの中で自分の力で学び、理解し、さらに考える力を伸ばすためのものです。ペースを一人一人に合わせることができれば、学びの意欲や未来の可能性を切り開くことになります。
そして、家庭や地域の格差も考えられます。STEAM教育の取組に必要な機材はまだまだ高価なものが多い現状です。教育に力を入れている自治体とそうでない自治体、私立と公立、プログラミング教室に通うなど、家庭で得られる体験の差によって苦しめられる子どももいます。GIGAスクール構想によって小中学校に1人1台のタブレット導入が進められている現在も同じような声を聞きます。SNSでもWi-Fiのある・なし、家にPCのある・なし、自治体での取組のある・なしによって教育が受けられない子どもや保護者の声も上がっています。
しかし、GIGAスクール構想の取組によって、ますますSTEAM教育が加速化していきます。STEAM教育とは、これからのAI時代を自らつくっていく力を育む教育です。自分たちで課題を解決していく子どもたちは「STEAM人材」と呼ばれています。教員にとっても、慣れないものを教えたり、新しい教材を取り入れたり、変化が求められるのが現状です。子どもの学びや成長を促すというのは口で言うのは簡単ですが、興味を持つことはそれぞれで、子ども一人一人に適した学びの機会を多く与える必要があると思っています。
生徒や保護者だけでなく、教員自体もSTEAM教育への理解が進んでいない状況だと思います。理解が進まない理由の一つが、日々の授業やその他の業務に時間を取られ、STEAM教育にまで手が回らない教員が多くいるということ。教員不足も教員一人当たりの業務量増加に拍車をかけています。
また、創造的な表現や論理的な思考を養う活動において、タブレットなどのICTツールを活用することで学びの手法を広げることが可能です。しかし、ICTツールが十分に足りない、教員がICTツールを活用できないなどの問題を抱える現場もあると聞いています。必要十分なICTツールを導入できたとしても、教員一人一人のICTツールに対するスキルとリテラシーを向上させなければ効果的に利用できません。STEAM教育を推進し、目的を果たすためには、教員によるICTの活用を促進するための工夫が求められます。
そこで、これからの課題を鑑みて、府教育委員会としてGIGAスクール構想とともにSTEAM教育を今後どのように進めていかれようとしているのか、所見をお伺いいたします。
最後に、私たち国民民主党・日本維新の会京都府議会議員団は、二元代表制の下で、これからも府民の皆様の声に真摯に耳を傾け、府民の皆様が安心して暮らせる共生社会の実現に向け、西脇知事と議論を重ねながら府政の推進に全力で取り組んでまいりますことをお誓い申し上げまして、代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯知事(西脇隆俊君)
◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
〔知事西脇隆俊君登壇〕
◯知事(西脇隆俊君) 家族農業に対する支援についてでございます。
中山間地域を多く抱える京都府では、家族労働を基本とする農業経営体が約96%を占めており、農業生産の面だけではなく、農村コミュニティーの維持や活性化などに大変重要な役割を果たしております。
こうした家族経営体の数は、高齢者のリタイアなどに伴い、この5年間で2割減少する一方で、法人化した組織経営体数は府内各地域で増加するなど、大規模営農を目指す農業者への農地の集積が進んでいるところでございます。
京都府では、農業者が目指す経営規模に応じた支援を行っており、規模拡大や法人化を希望する専業農家には農地のあっせんや専門家派遣による法人化を、小規模農家には高収益作物の導入や高付加価値化のための新品種導入や販路開拓を支援しております。また、兼業農家に対しましても、共同利用機械の整備や共同出荷・販売など、個々の実情に応じた経営支援や技術指導をソフト・ハード両面から行っているところでございます。
今後本格化する人口減少、少子高齢化の中では地域農業を支える家族経営体のさらなる経営強化が必要だと考えており、スマート農業や6次産業化など、生産から流通・加工に至る最新技術の開発・実用化を加速化し、生産性や付加価値の高い農業を実現すること、拡大する海外市場を視野に、健康機能性や環境に配慮した新商品を開発し、その販路を開拓することなど、京都食ビジネスプラットフォームを活用し、サポートしてまいりたいと考えております。
今後とも、家族農業の所得向上を図り、持続的な発展に努めてまいりたいと考えております。
次に、スマート農業の推進についてでございます。
京都府では、耕作面積の約6割を占める水稲栽培を効率化するため、農林水産技術センターが中心となり、スマート技術を活用して従来の作業時間を約30%短縮できる作業体系を確立し、そのために必要な直進アシストトラクターや防除用ドローンなど、これまでに100台以上の導入を支援してまいりました。また、高収益が期待できる京野菜などのブランド品目の生産性の効率化を図るため、府独自に開発した万願寺とうがらしの自動かん水制御装置や、お茶の収穫適期などを予測するスマホアプリなど、既に現場で活用されております。
今後は、生産の効率化に加え、熟練者の技術を新規就農者が早期に習得し活用できるよう、AIやICT、センシング技術などを得意とする民間企業や大学などと連携して開発することが必要だと考えております。このため京都府では、産学公の研究者ネットワーク「京都フードテック研究連絡会議」を昨年8月に設立したところであり、万願寺とうがらしの自動収穫を実現するためのプロジェクトが企業・大学との共同で進められるなど、既に複数の共同研究が進んでいるところでございます。さらに、こうしたプロジェクトで生まれた研究成果を現場に実装する役割を農林水産技術センターが担い、早期普及を図ることで京都府農業の効率化・高度化を加速してまいりたいと考えております。
次に、集落営農についてでございます。
京都府では、集落営農の組織化に積極的に取り組んできており、令和5年の調査では、全集落のうち、集落営農組織がある集落の割合は全国平均の20%を上回る33%となっております。
一方、中山間地域が多い京都府では、大半の集落営農組織は経営規模が小さく、集落単位では収益の確保が困難なことから、令和3年度に集落連携100ha農場づくり事業を創設し、規模拡大や低コスト化による生産性向上と、農道・水路などの農地管理の外部委託により、収益性の高い農業の実践に取り組んでいるところでございます。
現在、府内5地区におきまして、集落内外での合意形成の下、事業を展開しており、農地集積による規模拡大については順調に進んでいるところですが、規模拡大に見合った収益力の確保までには至っておりません。高収益化を実現するためには、京野菜などの高収益作物への転換と高品質・安定生産技術の確立、加工品の製造・販売など、6次産業化による商品の高付加価値化などを進める必要がございます。このため、農業法人や農外企業と連携し、経営やマーケティング力のある人材を確保し、集落営農の経営部門への参画を促しますとともに、京都食ビジネスプラットフォームを活用した新商品開発を支援してまいりたいと考えております。
今後とも、持続可能な広域連携体制の構築を通じ、家族農業や農村地域を支える集落営農を守ってまいりたいと考えております。
◯教育長(前川明範君)
◯議長(石田宗久君) 前川教育長。
〔教育長前川明範君登壇〕
◯教育長(前川明範君) 北川議員の御質問にお答えします。
家庭教育支援についてでございます。
家庭教育は全ての教育の出発点であり、家庭での学びを通じて基本的な生活習慣や学習習慣を身につけるだけでなく、自他を大切にすることや人を思いやる気持ち、自己肯定感、自己有用感などが育まれることから、家庭の果たす役割は大きいと考えております。しかしながら、核家族化、独り親家庭や共働き家庭の増加、地縁的つながりの希薄化など、子育て家庭を取り巻く環境が大きく変化する中で子育てに悩みや不安を抱えた保護者の孤立化や孤独化は深刻になってきており、こうした保護者を支える仕組みづくりが求められています。
このため府教育委員会におきましては、これまでから府総合教育センターにおいて、子どもの学校生活のことや家庭内での気がかりな行動、保護者としての関わり方などの相談に応えられるよう、臨床心理士等の資格を持った相談員による来所・巡回・電話などによる教育相談を実施しております。また、令和元年度から豊富な経験を持つ元教員を家庭教育アドバイザーとして府内5市町(組合)教育委員会に配置し、子育て世代包括支援センターとの連携を進め、家庭教育に悩みや不安を抱える家庭を訪問するなど、幼児期から就学後にわたる地域の力を活用した家庭教育支援モデルの確立に向けて支援を行ってまいりました。
こうした取組により、「保護者が精神的に安定し、子育てに前向きになった」や「子どもの登校渋りが改善した」など、一定の成果と受け止められる評価をいただいているところでございます。
一方で、マイナス1歳から成人するまでの子を持つ保護者の子育てから教育につながる悩みに対する切れ目のない支援や、子育てに不安を抱えながらも自ら電話や来所に踏み出せない保護者への支援、不登校等の未然防止につながる家庭の教育力向上については、さらに取組を充実させていく必要がございます。そのため、昨年12月に改定された京都府子育て環境日本一推進戦略において全ての子育て家庭の「子育ち」「親育ち」を支援することを掲げており、これまで取り組んできた「子育ち」に加え、「親育ち」の観点も含めた取組を進めてまいりたいと考えております。
具体的には、府教育委員会として、保護者の不安や悩みに寄り添い、解決に導くための「子育て-教育コンシェルジュ」を令和6年度から新たに設置し、気軽な相談から解決が困難なケースまでのあらゆる子育て・教育に関する相談に対応できるよう、相談機能を充実することとしており、その経費を今定例会に提案している予算案に盛り込んだところでございます。また、令和5年度に創設した「子どもの教育のための総合交付金」により、福祉と連携して行う保護者の学びの場の提供や家庭への働きかけも含めた不登校支援、アウトリーチ型の家庭教育支援など、各市町村が独自に実施する様々な取組を支援してまいりたいと考えております。
府教育委員会といたしましては、全ての保護者が安心して子どもの教育や子育てに向き合えるよう相談体制を構築するとともに、市町(組合)教育委員会や福祉部局とも連携しながら家庭の教育力向上に取り組んでまいります。
次に、STEAM教育に対応した教育の在り方についてでございます。
グローバル化が進み、AIなどの先端技術が急速に進展した現代社会において、主体的に課題を見いだし、多様な人々とつながりながら、その解決に挑み、新しい価値を生み出していくことが強く求められております。
そうした中、令和3年の中教審答申においてSTEAM教育の重要性が示されました。各教科の学びを実社会の課題解決に生かす高度な内容であることから、高等学校において重点的に取り組むべきものとされており、その土台として小中学校段階においても教科等横断的な学習の充実に努めることが重要とされております。
こうした状況を踏まえ、各小中学校では課題解決型の学習の取組を進めているところでございます。例えば、小学校では地元の文化財を題材としたまちづくり等の課題に、中学校では府内の企業や研究所から出される答えのない問いに取り組んでおります。また、これらの学習の成果を中学生が発表し合い、交流する機会として「きょうと明日へのチャレンジコンテスト」を毎年開催しているところですが、生徒の着想や発表に対する審査員からの評価も年々高まっており、実社会に即した教科等横断的な学習の推進につながっていると考えております。
府立高校においては、より主体性を重視した探究活動に取り組んでおり、興味や関心に応じて物理工学や数理解析といった大学レベルのテーマを設定し、学年を超えたグループで研究を行い、論文作成やポスター発表に取り組んでいる学校もございます。また、STEAM教育を進めていく上でICTは有効なツールであることから、プログラミングを学ぶ学校独自の科目を設定し、個人の理解度に合わせながらプログラム作成にチャレンジする学校もあります。このような活動を通して生徒の学びへの意欲が高まり、主体性も育まれるなど、STEAM教育の充実につながっているところでございます。
一方で、議員御紹介のとおり、STEAM教育の充実には教員の資質向上が重要であり、特にICT活用など、新たなスキルが求められるこれからの時代には教員自身の学びへの意欲を高めることが重要です。このため、教員同士がオンラインや対面でICT活用について交流・議論する取組を始めており、今年度からは、個人の到達度や関心に応じてICT活用のスキルやリテラシー等を高めるため、全ての教員が参加する研修を実施しております。併せて、大学や経済産業省と連携して教員対象のSTEAM教育セミナーを開催し、デジタル時代に対応した授業デザインへの理解も深めているところでございます。
今後は、こうした研修に加え、京都府デジタル学習支援センターが中心となり、ICT活用の実践的なオンライン研修を実施するとともに、ICTを活用した効果的な授業実践例の動画配信にも取り組んでまいります。また、総合教育センターにおいても、教科等横断的な視点を養い、知的好奇心を引き出す授業づくりの研修講座等を充実させ、教員のSTEAM教育への理解を深める取組を進めてまいります。
府教育委員会といたしましては、今後も、STEAM教育を充実することにより、全ての子どもたちが学びへの意欲を高め、新たな社会の創り手として将来活躍できるような教育を進めてまいりたいと考えております。