議会活動

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1 京都の強みを生かした半導体産業の推進について
2 性暴力被害者ワンストップ相談支援センター「京都SARA」について
3 その他


議事録全文

◯北岡千はる君

◯北岡千はる君 国民民主党・日本維新の会京都府議会議員団の北岡千はるです。さきに通告しております数点につきまして、西脇知事並びに関係理事者に質問いたします。御答弁のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 初めに、京都の強みを生かした半導体産業の推進について質問いたします。
 去る11月7日、令和6年度第3回府市トップミーティングが開催され、京都半導体バレー構想(仮称)の骨格案が示され、3つの分野、すなわち1)地球環境問題の解決につながるパワー半導体分野、2)次世代通信技術等の多様な分野に活用される光半導体分野、3)エッジ型のAIチップ等のAI半導体分野と示されました。
 1番目のパワー半導体分野は、地球環境問題をはじめ、エネルギーロスを抑えるエネルギーの有効活用を行う省エネ社会、CO2排出量を削減する脱炭素社会の実現等の様々な社会活動を解決するキーデバイスと認識しています。また、京都はパワー半導体における鍵となる基板材料の研究は世界でもトップクラスに位置し、シリコンカーバイドパワー半導体は京都の企業によって事業化・実用化されており、さらなる次世代パワー半導体の基板材料の研究もされていて、京都の強みと言えると思います。
 このパワー半導体の市場、需要は、現時点ではおおむね5兆円程度ではありますが、経産省の2024年5月31日に報告されましたレポート「半導体・デジタル産業戦略」において、イギリスの調査会社・Omdia(オムディア)のレポートを引用し、2030年に向けて10兆円以上に成長する、あるいは国内の調査会社・富士経済のレポートにおいても2035年には7兆円を超えると報告されています。しかも、同レポートでは、現在のところ、パワー半導体の基板材料はシリコンが85%以上を占めますが、2035年にはシリコン基板の比率は55%程度になり、シリコンカーバイド等の次世代基板材料が45%を占めると報告されております。つまり、確実に次世代基板材料へのシフトが起こると承知をしております。
 パワー半導体は、電車、EVなど、高電圧大電流を扱う電力効率の高いスイッチとして期待されており、グリーン社会に不可欠な分野であると理解をしております。
 そこで知事にお尋ねします。
 今申し述べました京都の強み、省エネ社会、パワー半導体需要の成長といった背景や理由をもって、パワー半導体分野が今回お示しいただいておりますターゲット分野の一つに挙げられていると理解しておりますが、パワー半導体をターゲットに挙げておられますお考えをお教えください。
 一方、半導体デバイス全体の市場でありますが、世界貿易統計による世界半導体市場統計では、2023年で約80兆円、おおむね1年当たり十数%の成長が予想されていて、早ければ来年2025年に100兆円を超えると予測されています。また、経産省の「半導体・デジタル産業戦略」では、2030年には約150兆円と予測されております。この巨大な半導体デバイス市場の中身は、先ほど申し述べましたパワー半導体は現時点で5兆円、10年後でも10兆円程度であることから、この巨大な市場の中核はロジック、メモリ、アナログ分野をはじめとする半導体集積回路デバイスであって、半導体デバイス全体の80%を占めます。
 今話題のNVIDIA(エヌビディア)のAI向けGPU、画像処理用演算処理装置ですが、これもここに含まれ、コンピューターやスマートフォン、データセンターに欠かせないCPU、DRAM(ディーラム)、NAND(ナンド)型フラッシュメモリーも半導体集積回路デバイスです。さらに、ソニーさんが世界のトップを占めるCMOS(シーモス)イメージセンサー、これは半導体でつくったカメラの目のことであります。これも広い意味で、広義でこの半導体集積回路デバイス産業とすると、非常に巨大な産業であるということは言うまでもありません。
 この半導体集積回路デバイス産業の裾野には、日本が強いと言われております半導体製造装置の大きな産業が半導体デバイス産業を支えており、世界ナンバースリーの、日本を代表する東京エレクトロンや、京都には洗浄装置で世界ナンバーワンのシェアを誇る企業、後工程のパッケージ組立てのモールドパッケージ装置で世界ナンバーワンを誇る企業はここにおられます。また、この半導体製造装置を支える部品産業があり、京都では、マスフローコントローラーで世界ナンバーワンのシェアを誇る企業がおられます。さらに、京都には半導体集積回路デバイスの製造工程における成膜工程で必要な成膜プロセスに用いられる材料で強みのある企業がここにおられます。また、半導体集積回路デバイスを最終製品に実装する際、回路基板には幾つもの電子部品が必要であり、この電子部品を供給する企業が複数あり、この市場は大きく、そして裾野の広い産業として多くの京都企業が事業を展開されております。
 つまり、京都の多くの半導体関連企業は半導体集積回路デバイス産業領域で主たる事業を担っておられる実情から、半導体集積回路デバイス産業の成長が京都の半導体関連企業を支えることになると考えます。
 そこでお尋ねいたします。
 現在、府市トップミーティングにて議論を重ねておられます京都府の産業振興の観点からも、この半導体集積回路デバイス産業が果たす役割は大きく、半導体産業の推進に向けて基軸を置くことが必要かと考えますが、御所見をお聞かせください。
 さらに、企業誘致についてお尋ねいたします。
 京都には多くの優れた大学や研究機関があります。この京都の大学や研究機関において高度な教育・研究を積み重ねた若い世代の皆さんをはじめ、海外の優れたエンジニア、グローバル人材が「京都で働きたい」と思ってもらえるような環境整備をぜひ推し進めていただきたいと思います。そのためにも、京都の強みを生かす企業立地に加え、京都に足すべき、またあるべき企業誘致が必要であります。
 半導体製品の製造は、半導体工場の立地に適した場所に工場を持つ受託生産企業、ファウンドリー企業ですが、例えば台湾のTSMC、熊本県のJASM(ジャスム)や、近い将来立ち上がる、千歳市の経産省が推進するRapidus(ラピダス)へ委託するというグローバルでスケールの大きい連携を加味した上で、京都の中心部にはデザインセンター、開発センター、製品企画戦略などのシンクタンクを誘致する、こういったことが将来を担う人たちが京都で働ける場の創出並びに京都の経済・産業を牽引し、経済波及効果をもたらすのではないかと考えます。
 なお、その立地は、グローバルでスケールの大きい連携の観点から、国内外への交通アクセス等、利便性の高い場所が望ましいかと存じます。
 そこでお尋ねします。
 海外の半導体関連企業の誘致を視野に入れておられるのか。また、その場合、世界のビッグネーム企業であってほしいと望むものでありますが、知事のお考えをお聞かせください。
 ここまでの御答弁よろしくお願いします。

◯知事(西脇隆俊君)

◯知事(西脇隆俊君) 北岡議員の御質問にお答えいたします。
 半導体産業推進の重点分野についてでございます。
 パワー半導体は大きな電力の制御や交流・直流の変換に使われるものであり、国の「半導体・デジタル産業戦略」におきまして、再エネ等電力向けの分野でシリコンよりも省エネ性能に優れたシリコンカーバイドを用いた次世代パワー半導体の市場規模拡大が予想されております。
 シリコンカーバイドの素材研究につきましては、京都大学の松波名誉教授が1987年に世界で初めてシリコンカーバイドの結晶化に成功して以来、長きにわたり研究を進めてこられました。
 また、商業化に当たりましては、京都大学を中心に、多くの府内外の企業に加え、京都府、京都市も参画した産学官のコンソーシアムを形成いたしますことで国の競争的資金を獲得し、全参画機関が社会実装に向けて一丸となって取り組んでまいりました。
 パワー半導体は変電所のようなインフラから小型の充電器まで多様なものに使用されており、これら全てにシリコンカーバイドがパワー半導体として使用できる性能を発揮するためには、実際に様々な機器に組み込んで正常に動作するかどうかの検証を繰り返すことが重要でございます。このため、コンソーシアムにおきまして府内外の企業が連携して実装化を推進するグループを組成し、それぞれの企業が自社製品に試作品を組み込んで評価し、その結果を開発にフィードバックすることで、実装化までの課題を短時間で解決する京都独自の取組を進めてきたところでございます。その結果、災害時に非常用電源として利用できる電気自動車の大容量バッテリーの開発に結びつきましたほか、京都の企業が生産する電気自動車用のモーターへの実装、スタートアップ企業などによりますロボットの分野での活用が進んでおり、シリコンカーバイドパワー半導体における研究から実装までのエコシステムが構築されてまいりました。
 このように、シリコンカーバイドパワー半導体の開発において京都は大きな役割を果たしてまいりました。
 さらに、松波名誉教授の後に続く研究者の方々により、一層電力効率の高い酸化ガリウムや二酸化ゲルマニウムといった次世代の素材に関する研究が京都で進められているところでございます。
 今後、シリコンカーバイドで研究から実装までのエコシステムを構築した京都におきまして、次世代のパワー半導体材料につきましても産学官連携によるエコシステムを構築し、京都がパワー半導体の分野において世界トップとなることを目指すということが私の考えでございます。
 その他の御質問につきましては、関係理事者から答弁させていただきます。

◯商工労働観光部長(上林秀行君)

◯商工労働観光部長(上林秀行君) 半導体集積回路デバイス産業についてでございます。
 京都には、先端半導体や関連する電子部品、洗浄装置などを製造する世界的企業や、これらの企業を優れた技術で支える中小企業が数多く存在しており、その多くが半導体集積回路デバイス産業に関連しています。
 (仮称)京都半導体バレー構想は、この関連企業の集積を生かし、京都企業が戦略的に取り組んできたグローバルニッチ戦略により、パワー半導体、光半導体、AI半導体の分野に取り組むこととしております。これらの分野で世界のトップを目指すことにより、半導体集積回路デバイス産業分野も成長すると考えており、京都府の産業振興につなげてまいりたいと考えております。
 半導体関連企業の誘致についてでございます。
 半導体産業は、技術革新のスピードが速く、国際競争が激化しております。半導体製造で世界をリードする台湾においては、世界一のファンドリーであるTSMC社を頂点として、本社・工場が所在する新竹市に企業城下町的に関連企業が集まり、さらには人材を供給する理工系の大学が進出する形でエコシステムが形成されております。
 一方、京都には、議員御指摘のように、多様な半導体産業群が既に形成されているほか、優れた大学も多く立地しております。また、向日市のZET-valley(ゼットバレー)や、けいはんなのロボットセンターなど、実装のフィールドも存在しているところです。こうした強みを生かして、世界に伍する半導体拠点を形成するため、パワー半導体など3つの重点分野を定めてオープンイノベーションを推進し、スタートアップ等の参入促進を図りつつ、世界トップの生産から実装までのエコシステムを構築してまいります。
 このように構築したエコシステムへの世界トップ企業の誘致を目指してまいりたいと考えております。

◯北岡千はる君

◯北岡千はる君 御答弁ありがとうございました。
 京都府におかれましては、長年にわたって、この半導体、また半導体産業について様々な研究や、そしてまた多くの関係機関との連携を深めてこられたと承知しておりまして、高く評価するものでございます。今後の展開に大いに期待をしておりますし、併せて、所管の常任委員会等も含め、また様々な提案やら議論を深めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次の質問に移らせていただきます。
 次に、性暴力被害者ワンストップ相談支援センター「京都SARA」について質問いたします。
 性暴力は、人間としての尊厳を脅かす、決して許すことのできない卑劣な行為であります。
 1993年に国連が採択した「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」において、女性に対する暴力を「肉体的、精神的、性的、心理的な損害や苦痛を生じさせる性別に基づくあらゆる暴力行為」と定義した上で、(1)家庭内の暴力(DVなど)、(2)人身売買、売買春、セクシュアルハラスメント、レイプ、痴漢、ストーカ一行為、ポルノ、女性に対する有害な伝統的慣習などの一般社会の中での暴力、(3)国家による暴力の3つに分類し、その暴力を根絶するための必要な措置が勧告されたほか、2009年には女性20万人に1か所のレイプクライシスセンターを設置する勧告もなされました。
 日本におきましても、性暴力は、見知らぬ第三者によるものばかりではなく、親しい知人や親子でも起きている実態があり、顕在化している件数は氷山の一角で、声を上げられずにいる多くの被害者が存在し、児童虐待やDV被害者の中にも性暴力は存在している状況から、2011年3月に策定されました第2次犯罪被害者等基本計画の中で、政府は、性犯罪被害者のためのワンストップ支援センターの設置を促進し、2012年3月には同センターの開設・運営の手引が出され、少なくとも各都道府県に1か所の設置が必要とされました。
 私は、2013年12月定例府議会において、性犯罪の実情や、性暴力被害に遭われた方々が恐怖と屈辱と混乱の中で「誰にも言えない、知られたくない、考えたくない」と一人で悩み続けておられる状況を見聞し、被害者に寄り添い、必要な治療やカウンセリング、被害届提出等の必要な手助けを1か所で受けられ、支えてもらえるワンストップ支援拠点の設置が急がれると提言いたしましたところ、2015年8月に京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター「京都SARA(サラ)」が開設されました。以来、性暴力被害者へのサポートに献身的に携わるなど、運営の関係者の皆様に心よりの敬意と感謝を申し上げます。
 そこで、開設10年を経た「京都SARA」の現状並びに機能の充実に向けた課題について数点お伺いします。
 まず、サポート体制についてであります。
 「京都SARA」は、行政、医療機関、警察、弁護士会、民間団体等が連携して、性暴力による被害を受けた方へ、医療的支援、相談・カウンセリングなど心理的支援、捜査関連支援、法的支援等、被害直後から中長期的にわたる総合的な支援を提供するために開設した窓口となっており、同センターを拠点として、いわゆるネットワーク型のサポート体制となっています。他県の事例では病院等の医療機関を拠点としたNPOや民間の運営が多いところであり、本府の体制については被害直後の迅速な対応を不安視する声もありましたが、大変協力的な医療機関との連携ができていると伺っており、また各団体との連携が密になることで被害者の心身の負担が軽減され、安心してサポートが受けられる利点も多いと承知しております。
 一方で、支援ネットワークの機能を発揮・充実するためには構成団体の皆様による情報共有や検討会議等が必要となりますが、関係団体との連携に関して、現状と課題、そして今後の取組についてお聞かせください。
 2点目は、相談対応の現況と相談支援員についてであります。
 「京都SARA」への相談アクセスとしては、まずは電話にて24時間365日相談ができ、また聴覚に障害のある方はメールでの相談も可能となっており、必要に応じて来所相談や様々な支援をされています。センターの開設以来、相談件数は増加していると仄聞しておりますが、電話相談やその後の対応件数の動向、また相談内容の状況についてお知らせください。
 「京都SARA」では、専門的な研修を受けた相談支援員が被害に遭われた方へ、電話や来所相談、医療機関の紹介や同行支援等の「からだのケア」、カウンセリングによる「こころのケア」、警察への相談や被害届の同行支援、そして弁護士への法律相談のための法的なサポート等々の寄り添い支援をされており、性暴力被害に遭われた方にとって最も身近で、心身ともに支える重要な存在であります。また、先日の新聞報道にもありましたが、障害のある支援員さんが活動を始められ、声を上げにくい障害者の性被害の現状の克服に寄与されており、大変心強く思うところであります。
 このように、支援員の皆様は多くの経験や知識、また深い愛情を持って献身的に各サポートに当たっていただいておりますが、一方、府内各所でサポートでき得る人員の不足や担い手の育成の課題があり、また勤務条件等の改善も必要であると存じます。
 そこで、様々な立場・環境にある相談者の方々がより身近で相談のしやすい相談センターとなりますよう、また性暴力被害者が府内全域で必要な寄り添い支援が受けられる体制の維持について京都府としてどのようにお考えか、御所見をお聞かせください。
 3点目に、「京都SARA」の今後の役割についてお伺いいたします。
 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律が、昨年、2023年7月13日に施行され、不同意性交等罪・不同意わいせつ罪に改正されました。その内容は、大きくは3点。(1)暴行等により同意しない意思を形成、表明もしくは全うすることが困難な状態にさせ、または相手がそのような状態にあることに乗じてわいせつな行為をすること、(2)行為がわいせつなものではないと誤信させたり、人違いをさせること、または相手がそのような誤信をしていることに乗じてわいせつな行為をすること。この(1)と(2)に当たらない場合でも、(3)相手が13歳未満の子どもである場合、または相手が13歳以上16歳未満の子どもで行為者が5歳以上年長である場合など、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立することとなっております。
 法務省は、この法改正について具体的な事例を挙げて各方面への周知を図り、内閣府男女共同参画局と厚生労働省医政局も医療機関に対して、性暴力の被害者に気づいたら「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に紹介するよう、チラシの作成・配布等の啓発を実施しております。
 そして、「京都SARA」では、これまでの紹介パンフレットに加え、「性暴力被害者サポートガイド」を作成され、相談者への説明等に活用されております。この冊子は、「性暴力って何?」「相談って何?」「プライベート・ゾーンを知っていますか?」から始まり、サポート内容はもちろんのこと、実際に起こった性暴力被害の具体的事例を含め、相談者にとって実に分かりやすく、親切・丁寧なものになっております。誰にも言えず、深く傷つき悩む性暴力被害者が相談をすることにつながる大変役に立つツールだと考えますので、ぜひ、現在の利用にとどまらず、性暴力被害者支援ネットワークの関係機関はもちろんのこと、被害者の救済に加え、広く性暴力や法の改正、また「京都SARA」について周知いただけるよう、活用いただきたいと願います。加えて、この冊子を活用すると同時に、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの観点からも、教育機関をはじめ、各方面への指導や啓発、相談事業として相談支援員を派遣する事業も実施いただきたいと願うものですが、御所見をお聞かせください。
 時間が参りましたので、これをもちまして私の質問を閉じさせていただきます。御清聴、誠にありがとうございました。(拍手)

◯健康福祉部長(井原正裕君)

◯健康福祉部長(井原正裕君) 京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター「京都SARA」についてでございます。
 性暴力の被害を受けられた方につきましては、強い精神的ダメージを負うことから、心身の健康の回復を図る支援が必要となりますが、警察、医療機関や市町村などの窓口で被害内容を説明するよう求められ、二次被害を受けるおそれもあることから、相談することをためらわれる方も多いと考えております。
 京都府におきましては、このような状況を踏まえ、被害の潜在化防止を図るため、ワンストップで被害者に寄り添った支援を受けられる拠点として、平成27年8月、「京都SARA」を開設したところです。
 「京都SARA」では、警察、医療機関、弁護士会、市町村などと連携し、被害直後から医療的支援、相談・カウンセリングなどの心理的支援、捜査関連支援、法的支援など、総合的な支援に取り組んでいるところです。
 これらの総合的な支援を実現するためには、関係機関と連携した支援のネットワークを構築し、その機能を充実させることが重要です。例えば、被害者が警察に相談、被害届の提出を希望された場合、府警本部から管轄の警察署へ連絡していただいた上で、「京都SARA」の相談支援員が同行し、専門的な研修を受けた女性警察官などに対応していただいているところです。また、医療機関には、性被害を受けられた方の受診の際に、心理的な負担軽減のため、本人の代わりに「京都SARA」の相談支援員の説明により対応していただいているほか、京都弁護士会には無料法律相談や告訴状作成に協力いただいているところです。
 こうした連携に加え、「京都SARA」におきましては、関係機関相互のネットワークの構築を目的に、「京都性暴力被害者ワンストップ相談支援センター連携・検証会議」を設置しているところです。この会議は個別の相談事例を踏まえた今後の支援の在り方について協議・検証などを行っており、コロナ禍で医療機関からの参加が難しかったことも影響し、令和2年度以降は開催できていない状況ですが、相互のネットワークは非常に重要となりますので、今年度内の開催に向けて準備を進めることとしております。
 次に、「京都SARA」における相談状況と人員体制についてでございます。
 電話相談につきましては、ここ数年増加傾向で、令和5年度では1,620件の相談があったところであり、開設当初と比較すると約1.3倍になっております。また、来所による相談は146件であり、寄り添い支援として関係機関へ同行したケースは93件となりますが、相談内容といたしましては約半数が強制的な性交渉やわいせつ行為であり、ここ数年ではデートDVの相談が増えてきているところです。
 性暴力の被害を受けられた方への支援については、「京都SARA」に寄せられる相談内容や相談者が置かれている状況が多様であることを踏まえ、様々な相談に対応できる体制の整備が必要と認識しております。このため京都府では、看護師、助産師、公認心理師など121名の方に相談支援員として登録していただいており、当事者に寄り添った丁寧な対応が可能となるよう、専門的な知識やスキルを習得する「ステップアップ講座」にも取り組んでいるところです。
 今後とも、被害を受けられた方に府内全域で寄り添った支援が可能となるよう、体制整備に努めてまいりたいと考えております。
 次に、「京都SARA」の各方面への周知・相談支援についてでございます。
 京都府としては、性暴力の被害を受けた方は周りに相談しづらく、被害が潜在化しやすいといった状況があることから、「京都SARA」に来られる方への相談支援だけでなく、相談支援員が教育機関をはじめとする各方面へ出向いた相談支援や周知・啓発を行うことが重要であると考えております。そのため、性暴力の定義や府内のサポート体制、相談窓口を分かりやすく記載した「性暴力被害者サポートガイド」の冊子を作成し、相談支援での活用とともに、教育機関などと連携した周知・啓発に活用しているところでございます。
 この冊子は、自身の行為が性暴力に該当し得るとの認識が薄いまま加害者となり得ることから、性暴力加害の未然防止にも活用できるものと考えておりますので、今後とも関係機関と連携した周知・啓発に取り組んでまいります。
 また、相談支援員の派遣につきましては、開設当初から「京都SARA」の相談支援員が教育機関や市町村などに出向き、周知・啓発や被害者へのアウトリーチ型の相談支援にも取り組んでいるところでございます。
 このほか、京都府としては、プレコンセプションケア推進事業において、幼児期から社会人に至るまで切れ目のないプレコンセプションケアを推進しているところでございます。今年度は、高校生を対象に、性や妊娠に関する科学的な知識を普及するための教育プログラムを作成する中で、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ、いわゆるSRHRの観点から、性被害、性暴力に関する内容や「京都SARA」の紹介も盛り込む予定としております。
 今後とも、性暴力のない社会づくりに向け、一人でも多くの方が「京都SARA」での支援につながり、必要なサポートを受けられるよう、各方面への周知・啓発などの取組を進めてまいります。