議会活動

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1 少子化対策について
2 部活動の地域移行について
3 その他


議事録全文

◯酒井常雄君

◯酒井常雄君 国民民主党・日本維新の会京都府会議員団の酒井常雄でございます。私は、会派を代表して、通告した数点について知事並びに教育長に質問いたします。
 質問に入ります前に、今定例会に提案されている予算案につきまして、長引く物価高騰等に対応した対策が盛り込まれております。特に、事業者への対策として経営改善や省エネにつながる取組への支援が盛り込まれています。京都府ではこれまでにも事業者への支援を行ってきており、それは重要なことですが、事業者、特に中小企業・小規模事業者の皆様の求めている声をよく聞くことで困っている事業者に支援が届くよう、きめ細やかな対応をお願いいたします。また、これまでの支援についての効果検証もしっかり行った上で次の対策に生かすことも重要だと考えますので、委員会審議等を通じてしっかり議論をさせていただきたいと考えております。
 それでは、質問に入ります。
 まず、少子化対策について尋ねます。
 生物学の視点で見た少子化、海外での出生率上昇対策事例から効果が見られない対策、効果が見られた対策、それらを踏まえた京都府の今後の少子化対策について尋ねます。
 2020年の国勢調査によると、同年の日本の人口は1億2,615万人で、出生数は約80万人。国立社会保障・人口問題研究所の予測によると、2056年に1億人割れ、今から約50年後の2070年は8,700万人で、出生数は約50万人とされ、約100年後の2120年には5,000万人割れとされています。
 人間は、生物として種の保存意識を持ちます。ところが、生存資源が豊かな中で自発的に出産を抑制するような状況が見られます。この状況は、生物学的にはとても不思議な現象と言われています。一方、世界の人口を見ると、第二次世界大戦後の1950年は25億人、2000年には60億人、2022年には80億人、そして2060年には100億人超えと、世界の人口は日本とは違い増加を続け、2080年代には約104億人とピークに達し、2100年までその水準が維持されると予想されています。
 これまでの人口増の傾向とその要因についてですが、まず1800年頃までの緩やかな人口増加の傾向期には、出生数は多かったのですが、相当人数が生存できなかったために増加が緩やかになり、加えて、医療レベルは今より低く、高齢者の死者数が多数であったことが要因とされております。一方、1800年から2008年までの人口の急増期は、食料を貯蓄できるようになった、すなわちいつでも食料を確保できる状態になったこと、そして医療の進歩などが要因とされています。
 このような人口の急増は、人間の特徴であるようです。なぜ人間は急増したのか。キーワードは「共同繁殖」です。
 生物学からの指摘によると、まず人間は直立二足歩行により骨盤の傾斜角度が変化し、産道が狭くなり、出産しにくくなった。一方、脳は大きくなっていく。このように出産が難しくなった状況、すなわち少子化への進行を阻止できた要因は共同繁殖であるとされています。産道が狭くなり、脳が大きい、赤ちゃんが未熟な状態で生まれてくる、よって子育てに時間が必要となる。生物界で種や集団が残っていくためには数、すなわち人口増が必要であり、そのためには出産間隔を短くしていく必要があった。それを可能としたのが、父親、親族、血縁者による共同子育てであった。これを生物学的には「共同繁殖」と言うそうです。
 環境にもよりますが、2008年の論文では、人間の場合、年子など1歳違いの子どもがいるが、共同繁殖の文化のないチンパンジーの出産間隔は3年以上、オランウータンは7年から10年であると説明されています。この出産間隔の短さは、人類の進化の特徴であるようです。
 では、なぜこのように増加していた人口が減少に転じたのか。野生動物には文化的要因はなく、より早く個体数が増えた動物が生き残り競争に勝利するというダーウィンの自然選択説からも動物の自発的に子どもの数を減らす選択などは考えられず、個体数は環境収容力、すなわち有限である環境、資源(食料等)によって限界が決まります。しかし、人は、環境収容力に関係なく、別の文化的要因、経済的要因などで子どもを産むのを諦めています。
 これらから、人が数を減らす選択をしているのは、端的に「子どもを産み育てることが幸せにつながらないからではないか」ということが想像されます。だから子どもを産むのを諦める。自発的に数を減らすのも文化を持つ人間の特徴です。
 日本の人口は、明治時代以降に急増、2008年がピークで1億2,808万人、その後に急減し、2120年には5,000万人を割るとの予想があります。
 日本特有とされる人口減少の背景には、「出産適齢期の女性人口の減少が大きい」「江戸時代は10代で結婚して、30歳ぐらいまで子どもを産む状況であったが、2021年は女性の初婚年齢が29.5歳であり、子どもの数は当然減少する」「環境収容力は自然環境や居住空間に支配されるが、日本の居住環境は、土砂災害危険地域にも住宅が建っている状況から、ほぼいっぱいになっていると評価されている」、また「15年間賃金が上がっていない、実質賃金は30年間上がっていないのは日本のみであり、経済的不安が大きい」などが挙げられます。人間は文化的な環境に大きく影響を受けるので、経済的な不安、不十分な居住空間の中では出産の選択は増えず、まず子どもを産むことへの不安を解消する仕組みづくりが求められていると思います。
 当然ですが、子どもを産む・産まないにも選択の自由があり、子どもを産みたいと思う方々が不安なく産める・育てる環境づくりが大切です。
 次に、世界の少子化対策の成果を見てみます。
 英国オックスフォード人口問題研究所が2006年に「人口減少によって消滅する最初の国は韓国」と発表し、波紋を呼びました。消滅の時期を22世紀と予想していますが、韓国では、このところ、合計特殊出生率が急低下しており、この時期がかなり早まりそうな勢いです。合計特殊出生率は、2022年の統計で、韓国は0.78、日本は1.26。多くの先進国は、少子化対策を強化するための具体策や財源の検討を進めています。
 その少子化が日本以上に進んでいるのが韓国です。韓国政府は、20年近く前から少子化対策に取り組み、莫大な予算を投じてきました。しかし、極端な少子化は進む一方です。どうしてか。
 韓国における少子化の要因については、子育て世帯の経済的負担の問題だけではなく、未婚化や晩婚化の影響も受けています。しかしながら、今までの韓国政府の少子化対策は、出産奨励金や保育費の支援、児童手当の導入や教育インフラの構築など、主に子育て世帯に対する所得支援政策に偏っており、2020年12月に確定された第4次少子・高齢社会基本計画でも子育て世帯に対する所得支援策が大部分を占めていることが指摘されています。
 韓国国内の出産適齢期の夫婦が少子化の要因として指摘しているのは「教育費負担への不安」「住宅費の高騰」と並んで「親の経済力により子どもの人生を左右する社会への不安」などであることから、「出産で自己責任が増加することへの怖さ、子育てに希望が持てない、将来への絶望感、子どもの挫折を避けたい感情から出産を控えているのだ」との報告もあります。ここからも出産・子育てが幸せにつながっていないことが大きく影響していると想像できます。
 そこで、韓国での少子化の現状とその要因を見た上で、これまで取られてきた様々な少子化対策を振り返り、それらの対策がなぜ効果を上げることができなかったのかを考えます。
 まず少子化の現状ですが、韓国の合計特殊出生率は、1970年には4を超えていたのが、年々少子化が進み、2022年には0.78と、6年連続で過去最低を更新しました。日本を含む他の先進国と比べると、急速な少子化進展がうかがえます。OECD諸国の中で合計特殊出生率が1に満たないのは韓国だけです。
 1980年には人口の3割以上(34%)を占めていた14歳までの人口は年々減少し、2050年には1割を割り込む8.8%と推定されています。その一方で、1桁台だった65歳以上の高齢者は、2050年には4割(40.1%)を占めると予測されています。世界でも類を見ないスピードで少子化と高齢化が進んでいるのです。
 韓国の少子化の要因は、結婚する人が減ってきたことが最大の要因とも言われます。30代の未婚率は、1990年には男性・女性とも1桁台でしたが、2020年には男性は50.8%と半数を超え、女性も3割以上(33.6%)に上っています。加えて、2021年の統計で、平均初婚年齢は男性が33.4歳、日本は31.0歳、女性が31.1歳、日本は29.5歳と、いずれも30歳を超えていて、日本より晩婚化が進んでいます。背景には、結婚して子どもをもうけ、育てることへの不安が大きいことが強く指摘されています。
 韓国政府も手をこまねいていたわけではありません。今世紀に入って少子化対策に本格的に取り組みました。これは、労働力人口が減り、国際競争力が低下するという危機感からでした。2005年には低出産・高齢社会基本法を制定、歴代の政権が数々の対策を打ち出してきました。2006年からこれまでに韓国政府が少子化対策に費やした予算は実に280兆ウォン、日本円にしておよそ28兆円に上っています。それにもかかわらず、韓国の少子化は進む一方です。なぜか。
 子どもを預ける親は増えたのに、公立の保育の数が足りず、かえって子育て不安をあおってしまった失敗例もありました。しかし、それだけではないようです。
 2019年の韓国女性政策研究院による調査では、64%が「結婚に負担を感じる」、77.2%が「子どもがいると、就業やキャリアに制約を受ける」と答えています。この調査結果からは、予算をつければ少子化が止まるということではないことがうかがえます。仕事と生活が両立できる社会、将来に希望を持てる社会、社会全体で子育てに協力する仕組みづくりが何より求められているのではないでしょうか。少子化を食い止めることができなかった韓国の経験を他山の石として、実効性のある少子化対策が必要です。
 一方、世界では少子化回復傾向が見られる国があります。中でもヨーロッパは社会で子どもを育てる政策を先進的に取り組み、特にフランスの取組は少子化対策の手本とも言われ、出生率を高める政策で成果を上げています。2010年に合計特殊出生率が2.03に達したことから、少子化に苦しむ多くの先進国がフランスの政策に注目しました。
 では、フランスの政策はなぜ成功したのか。フランスも1993年から1994年にかけては社会保障が不十分だと指摘されました。この間は、移民家庭が子どもを増やした一方、移民以外のカップルの少子化に歯止めがかからなかった時期で、合計特殊出生率が1.65まで落ち込んでいます。ところが、1997年には週労働35時間制、1999年には同性婚カップルを含む事実婚も法律婚同様の社会保障を受けられるパートナーシップ協定の民事連帯協約が施行され、結果、2006年には合計特殊出生率は2.0に達しました。その後、2014年を境に下がっており、2020年は1.83となったのですが、それでもEUの中では最も高くなっています。
 出生率低下の理由は、15歳から49歳の女性の数がベビーブームのときに比べて減少に転じたこと、出生率を押し上げていた移民1世の女性の数が減少し、フランス生まれの移民2世・3世の女性が出産する子どもの数が減ったことが影響していると言われています。
 また、フランスは国力と人口減に敏感で、家族政策に多くの予算を投じ続けており、OECDの調査によると、子ども・子育て支援に対する2017年の公的支出は、フランスが国内総生産(GDP)比で3.6%に上ったのに対して、日本は1.79%と、OECDの平均である2.34%も下回っています。ただし、3.23%のイギリスや3.17%のドイツの出生率は高くないので、フランスの出生率の高さは予算の多さ以外の要因もあることが指摘されています。この予算と少子化の関係は、韓国での調査結果からの指摘と同じ指摘です。
 この指摘を受けて学ぶべきフランスの政策のポイントは、政策立案段階から実施後にかけて正確な現状把握と改善を継続的に徹底していることです。すなわち、効果を上げるために粘り強く少子化対策を試行錯誤していることです。1982年に家族全国会議、今の家族児童高齢者協議会が設置され、自治体議会の議長、労使団体、専門家などで構成されるメンバーが現状の正確な把握に努めており、問題点の洗い出し、施行された政策の進捗状況や成果の検証、課題の抽出を毎年行い、結果として一方的な政策策定による予算のばらまきは回避されているそうで、実質的に成果を上げるための試行錯誤が粘り強く、長期にわたって積み重ねられ、非常にきめの細やかな家族政策が実施されてきたことは大いに参考にすべきだと考えます。これは、何を改善するのかを判断するには現場をできるだけ近くで見て、全体像を把握する必要があることを示しています。
 対して日本の少子化対策ですが、第1次ベビーブーム期に当たる1947年、出生数は270万人、合計特殊出生率が4.54であったのが、2022年には77万747人、合計特殊出生率が1.26でした。政府は1.57ショックに見舞われた1990年から30年以上にわたって子育て世代の支援を中心とした少子化対策を進めてきましたが、成果は上がらず、既に手遅れ状態になっているとも言われます。今後は、従来の少子化対策にこだわらず、新たな視点での対策に挑戦する必要があります。
 例えば、人口の地方分散です。合計特殊出生率は東京都1.04に対して沖縄県1.70であり、少子化はかなりの程度で都市問題です。そこで、地方に人を誘導する方法が検討されています。文化庁の京都移転は、人口の地方分散の視点からも検証すべきだと考えます。ただ、全都道府県で合計特殊出生率が2を下回っている状況での地方分散は根本的な問題解決にはなりませんが、危機感を共有して、地方自治体がそれぞれの現場をできるだけ近くで見て全体を把握し、出生率上昇への取組を効率的かつ効果的に進めることが重要となります。
 そこでお尋ねします。
 出生率を高めたフランスの政策立案の過程を見ると、人口減に苦しんできた過疎化が進む小規模の町や村では、移住してきた家族へのコミュニティーによる子育て支援の充実が不可欠な要素であるとの考え方が基盤にあります。本府でも出生率上昇へ向けて、今後は自治体や自治会単位でのコミュニティーの維持を少子化対策として取り組むべきだと考えますが、いかがお考えでしょうか。加えて、国も府も少子化対策の一環として地方分散とともにコミュニティーの育児施設やサービスへの支援を積極的に行うことも大切です。今後の取組方針についてお答えください。
 京都府では、「子育て環境の向上により出生率上昇をめざす京都の挑戦」として、2021年10月、地域子育て環境「見える化」ツールを作成しました。これは、京都府の合計特殊出生率が長期間にわたり全国的に低い水準で推移している、これに伴う人口減少と高齢化の急速な進行などの状況改善へ向けた新たな発想による新しい仕組みづくり、新しいアプローチの必要性からの取組です。
 ちなみに、京都府の合計特殊出生率は、2019年に1.25、全国44位、同年の全国平均は1.36。2022年1.18、全国40位、同年の全国平均は1.26で、2040年には合計特殊出生率を全国平均にまで引き上げるとした目標を設定し、支援に向けた計画を策定しています。
 お尋ねします。
 目標への到達度と評価、加えて全国平均を目標とすることの意味、今後の目標設定、全国平均を目標とすることを継続するのかなどに関する考え方についてお答えください。
 少子化対策は、まさに府内市町村が危機感を共有して、それぞれの現場をできるだけ近くで見て全体を把握し、取組を進めることが重要となります。自治体のあらゆる部門、地域のあらゆる主体は出生率上昇に何らかの関わりを持っている可能性があることから、地域子育て環境「見える化」ツールは、府も市町村も企業も、住民組織やNPOなども少子化問題を我が事として捉え、ロジックとデータを基に、従来の取組の延長ではない、地域特性に応じた新たな施策を創造し、取り組んでいくことを目的としたツールです。
 同ツールは、合計特殊出生率の地域差に夫婦の出生要因・結婚要因のデータを加えた出生構造から、市町村に出生率の差をもたらしているのは主に結婚要因(女性有配偶者率の地域間の差)であると結論づけています。また、隣接市町村の子育て環境が自らの市町村の合計特殊出生率に影響しているとも指摘しています。その上で、20の評価分野それぞれの設定ロジックと49の評価要素を示し、出生構造に対する評価分野の影響を約220万通りの組合せパターンを分析する中で評価分野と出生率の因果関係を検証しています。すなわち、評価分野の妥当性を頑強化したものになっています。さらに、市町村が出生率上昇を図る施策形成ツールとなる「京都子育て環境ダッシュボード」が作成されています。
 お尋ねします。
 本府は、この2021年10月作成のツールをバージョン1と位置づけて、今後、地域の実態をより的確に反映できるよう、指標の見直しなどを図るとしていますが、市町村のツールを活用した取組状況、モデルまたは教訓となる市町村や自治会等の取組、市町村施策の効果的な実施に向けた検討状況とツールの見直し工程や内容、バージョン2への取組など、ツールの活用による少子化対策の進行状況についてお聞かせください。
 子育て情報の発信に関して尋ねます。
 全国100自治体以上の子育て行政サービス情報ウェブサイトを運営している民間業者のモニター調査による「子育ての悩み」に関する回答では、「子育てについての悩みを、相談できる人はいますか」の設問に対して、1位「パートナー」、2位「親」、3位「友人」、そして4位は「相談できる人がいない」となっており、「相談できる人がいない」は13.8%でした。一方、専門家である保健師・助産師、カウンセラーへの相談は2%から7%と、非常に少ない結果でした。また、相談したい悩みについてのコメントには、「進学」「子どもの食事」「発達障害」「子どものメンタル不調」「どうやって子育てをしていくか」などで、相談手段では、1位「対面」、「オンライン」「チャット」「電話」の順であり、対面での相談を希望する人が最も多い一方、対面以外での手段、「オンライン」「チャット」「電話」と回答した方を合わせると「対面」以上に多いことから、多くは対面よりハードルの低い方法での相談を希望していることが分かります。オンラインなどの場で気軽に相談できる仕組みが求められているようです。
 さらに、行政サービス情報への意見には「親身になって相談できる窓口があればぜひ利用してみたい」「誰もがわかるように広報をもっとしてほしい」「私にとってもっと有意義な行政サービスがきっとあると思うが、私自身と結びつくタイミングが見いだせない」「コンビニなどに情報誌を置いてほしい」「行政用語を使わずに分かりやすい表記で簡単にアクセスできるようにしてほしい」「子育て世代は日々の暮らしが忙しくて情報収集に割く時間が取れません」などがあり、利用者の状況に沿って必要な情報をプッシュ型で発信することが求められているのではないでしょうか。
 そこで、子育てに関する情報発信について今後の方針をお聞かせください。
 まずここまでよろしくお願いいたします。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 酒井議員の御質問にお答えいたします。
 少子化対策としてのコミュニティー維持に対する認識及び現状の取組についてでございます。
 私自身の体験ですけれども、家庭や学校に加えまして地域に居場所があったことで大人をはじめとした異なる年代の人たちとの交流ができ、現在の人格の形成にも役に立ったものだと思っております。
 一般的に、地域コミュニティーは、個人では対応できない事案に対する相互扶助としての役割、地域の文化や伝統を維持・管理・継承していく役割、まちづくりや防災など、地域全体に関わる事案で地域住民の協力が不可欠な課題の調整を行う役割などを有すると言われております。
 この3つの役割を子育ての視点から考えてみますと、相互扶助の役割としては、親が子どもの面倒を見られないときに近所の人が代わりに見てあげるといったこと、地域の文化や伝統を維持・管理・継承していく役割としては、地蔵盆のように地域が一体となって子どもたちの健全な育成や安全を祈るような伝統行事を受け継いでいくといったこと、地域住民の協力が不可欠な課題の調整を行う役割としては、子どもの安全を守るために地域住民が協力して登下校時の見守り活動を行うといったこと、などの役割を地域コミュニティーが果たしていると考えられます。
 令和3年度の文部科学省の調査におきましても、現在子育て中の方の約7割が「地域の支えが重要」だと回答されており、引き続き地域コミュニティーは子育て環境日本一の実現に向けて非常に重要な役割を担うものと考えております。
 他方で、少子・高齢化、人口減少、都市化の進展による地縁的なつながりの希薄化、核家族化の進展などによりまして、地域住民だけでは各地域におけるコミュニティーの維持は困難な状況にございます。このため、行政や企業、大学などの新たな主体が地域コミュニティーづくりに参画することが求められることから、京都府といたしましては、医療・介護・福祉の連携による地域包括ケアの強化、大学生と地域活動団体とのマッチング支援による新たな地域活動の担い手の創出・拡大、移住施策の抜本的な見直しによる新たな人材の呼び込みなどの取組を行っております。そして、地域コミュニティーが子どもや子育て世代を見守り支えることが重要でありますことから、子どもの孤食解消のために無償または低価格で食事を提供する子ども食堂、独り親家庭の子どもの生活習慣の確立や学習習慣の定着を図るために子どもと保護者が気軽に安心して集うことのできる「こどもの居場所」、商店街等において子育て世代向けに優先休憩スペースの提供やトイレの貸出し等を行うことにより子育て世代の外出を応援する「きょうと子育て応援施設」などの取組を進めているところでございます。加えまして、地域コミュニティーが子どもや子育て世代を見守り支えるための素地として子育てにやさしい風土が重要なことから、オール京都の子育て環境日本一サミットにおいてWEラブ赤ちゃんプロジェクトの賛同宣言を行い、「泣いてもかましまへん!」の言葉の下、企業、団体と連携し、普及啓発事業を展開しているところでございます。
 また、コミュニティーによる子育て支援に関する今後の展開につきましては、昨年12月に改定しました総合計画において「社会全体が子育ての主体として負担や苦労、喜びを分かち合う」という将来の到達点に向けまして子育て環境日本一の取組を進化させることとしたところでございます。とりわけ京都には、長い歴史の中で紡ぎ、脈々と育まれてきた地域の絆、人と人との絆といった強みがあることから、この強みを最大限生かした取組を進めていく必要がございます。例えば与謝野町では、小学校の統廃合が進み、夏休みや放課後の子どもの遊び場が少なくなった地域で、地元自治会等が公民館等を活用して、夏休みや放課後の子どもに対し、学校の宿題や英会話を教える活動を行っております。京都府といたしましては、このような地域の特色を生かした子育てにやさしいまちづくりの取組が行われている市町村に対しまして、令和2年度から「子育てにやさしいまちづくり事業交付金」を創設し、支援をしているところでございます。
 今後、このような施策についてもさらに検討を進め、府議会での御議論を賜りながら、今年の秋頃までに戦略を改定したいと考えております。
 少子化対策としての地方分散についてでございますが、地方分散については、先般、閣議決定をされました骨太の方針2023において「東京一極集中の是正に向け、地方創生の取組と連携し、地方と東京の相互利益となる分散型国づくりを進める」と位置づけられており、国を挙げて取り組まれているところでございます。
 また、少子化と地方分散との関係について、出生率の高い地方から出生率の低い東京圏へ若年層が進学や就学等のために移動することで地方における出生数が減少するとともに、東京圏に移動した若年層の持つ子どもの数も減るため、結果的に日本全体の出生数が減ると指摘される有識者の方もおられます。こうしたことから、東京一極集中の是正は、巨大災害リスクやパンデミックに対する脆弱性への対応だけではなく、少子化対策にも一定の効果があるものと考えられます。
 京都府といたしましては、京都府の魅力を高め、学生や子育て世代をはじめ、多くの方に「卒業後も京都府で就職したい」「京都府で子育てしたい」と思っていただけるよう、総合計画に掲げました8つのビジョンなどを着実に実行してまいりたいと考えております。
 次に、合計特殊出生率の目標設定についてでございます。
 京都府では、令和元年9月に策定した「子育て環境日本一推進戦略」におきまして、合計特殊出生率を2040年に全国平均並みにすることを掲げております。
 以前策定いたしました「明日の京都」中期計画では、年間の出生数を2万2,000人まで増加させるという目標を掲げておりました。出生数という指標は出産適齢期の女性人口の増減にも大きく左右されるものであり、当面は減少し続けることが確実と言われる中で、出生数のみを数値目標として掲げることは難しい面があると考えております。少子化が進展している中で子育て環境日本一の実現に向けた取組を粘り強く着実に進めていくためには、新たな目標が必要と考え、合計特殊出生率を2040年に全国平均並みにするよう、取組を進めているところでございます。
 また、合計特殊出生率の目標の到達度とその評価についてでございます。
 子育て環境日本一推進戦略を策定いたしました令和元年の京都府の合計特殊出生率は1.25で、全国44位でございました。そして、令和4年の京都府の合計特殊出生率は1.18で、全国40位となっております。合計特殊出生率は国全体の数値及び京都府の数値ともに減少を続けている一方で、相対的な順位で見ますと、京都はわずかながら上昇を続けておりますが、子育て環境日本一の取組をさらに進化させていく必要があるというふうに考えております。
 合計特殊出生率の目標につきましては、昨年の12月に改定した総合計画においても合計特殊出生率を2040年に全国平均並みにすることを掲げております。本年秋頃までに改定することを予定しております子育て環境日本一推進戦略におきましても、同様の目標を維持したいと考えております。
 次に、地域子育て環境「見える化」ツールについてでございます。
 地域子育て環境「見える化」ツールは、地域の子育て環境と市町村の合計特殊出生率との関係に着目し、どのように子育て環境の向上に取り組めば出生率の上昇に効果があるのかをロジックとデータに基づきお示しし、地域の特性を生かした市町村の施策形成に役立てるようにした京都府オリジナルのツールでございます。
 令和3年度は「見える化」ツールの効果的な活用のために全ての市町村との意見交換や研修会を実施したほか、令和4年度は地域の実情を把握している広域振興局において専門家による研修会を開催するなど、市町村が「見える化」ツールを活用できるよう、支援してきたところでございます。また、市町村において地域の子育て環境の強みや課題を把握・分析した上で具体的な施策につなげていただけるよう、令和4年度から子育てにやさしいまちづくりモデル事業交付金の採択条件に「見える化」ツールの活用を組み込んだところでございます。
 市町村におきましては、「見える化」ツールを活用し、地域の子育て環境を分析した上で、歴史や伝統を学びながら子育て世代同士が交流する場の創出や、スポーツを通じた多世代交流の促進など、地域の特性を生かした子育てにやさしいまちづくりに取り組んでおられます。例えば宇治市では、「見える化」ツールを活用することで、人々のつながりや子どもの頃に心豊かなふれあい体験が得られる機会が他の市町村と比較して少ないといった課題が明らかになりました。そうした課題を踏まえ、地域の子育て支援団体やスポーツ関係団体、自治会などと連携した子育て応援プラットフォームを立ち上げ、市内3公園を拠点としたまちづくりを進めることとされたことから、京都府としても「子育てにやさしいまちづくりモデル事業交付金」により支援をしているところでございます。
 今後とも、こうした好事例の横展開を図るなど、ツール未活用の市町村への積極的な働きかけを実施いたしますとともに、専門家の派遣や意見交換などによる市町村への伴走支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、子育て情報の発信についてでございます。
 私自身、子育て当事者や独り親の方と意見交換をする中で「目の前の生活に必死で、情報を取りに行ったり、相談する発想が起こりにくい」といった声や「日本は恥の文化があり、困っていても相談に行きにくい」といった声を伺っております。子育て環境日本一を実現するには、必要な方に必要な情報を届けますとともに、子育て情報発信のオンライン化やプッシュ型での発信を行うことが非常に重要だと考えております。
 京都府におきましては、子育て応援パスポートアプリ「まもっぷ」により、授乳室やおむつ替えスペース等の設置情報、子育てを応援する府内の約4,000軒の協賛店のお得なサービス情報、子育てに役立つ地域のイベント情報など、子連れでの外出が楽しくなる情報を発信しております。加えまして、産学公の連携によるプラットフォームを構築し、子育て世代が有する子育てに関するニーズと民間が有するサービスなどのシーズをマッチングさせ、子育てが楽しくなるような環境づくりを進めているところでございます。
 子育て世代に対してきめ細かく情報が行き届き、その負担を軽減するような取組についてさらに検討を進め、本年秋頃までに改定を予定しております「子育て環境日本一推進戦略」に盛り込んでまいりたいと考えております。

◯酒井常雄君

◯議長(石田宗久君) 酒井常雄議員。
   〔酒井常雄君登壇〕

◯酒井常雄君 御答弁ありがとうございます。
 地域の役割、そこに新たな主体が参加すること。そして、やはり素地として風土も求められる。とりわけ地域の絆、人と人との絆について御説明いただき、その支援策についても御答弁をいただきました。
 全体として思うのは、危機感の共有なんだと思うんですね。人口の構造が、経済成長期の1970年には20歳代をピークにして三角形、ピラミッドになってたと。それが50年後、その20歳の人が70歳になったときの2020年には、今度はそのままのピークで減ってきて逆三角形になっている。その50年後はどうなるかというと、全体的にボリュームが少ない、いわゆるつぼ型、細いつぼ型になっている。
 ここで注目するのは、進化生物学の中で、その逆三角形ですね。動物の個体数が逆三角形になっているとき、これを「絶滅個体群」というふうに評価するらしいです。人間は文化を持っていて、それと同じではないということを信じますけれども、我々はやはりこの危機感を共有した上で、施策形成や効果実現へ向けて、みんなで取り組まなければならないと考えます。オール・フォー・オールの意識と仕組みづくりをぜひともお願いして、次の質問に移ります。
 次は、日本のスポーツ文化の大改革とも評される部活動の地域移行について尋ねます。
 日本のスポーツは、学校体育、そして部活動をベースに発展してきた歴史があり、今回の部活動の地域移行は、教員の働き方改革の視点だけでなく、日本のスポーツ文化の大改革であると捉えた対応が必要だと思います。
 地域移行に向けて日本スポーツ協会が示した「部活動の抱える課題」には、「少子化で部活動への所属生徒数が減少。よって、チーム競技は存続の危機となる」「ところが部の数は減らない、指導者が不足する」「専門的知識を持った指導者の不足」「多様なスポーツニーズに応える環境の欠如」など、運動クラブそのものが抱える課題に加え、「教員の長時間勤務の顕在化」が示されており、そこで考えられたのが令和2年9月にスポーツ庁から発表された「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革」です。
 この改革方針には、主要項目として、1「活動は必ずしも教師が担う必要のない業務であることを踏まえ、部活動改革の一歩として、休日に教科指導を行わないことと同様に、休日に教師が部活動の指導に携わる必要がない環境を構築する」、2「部活動の指導を希望する教師は、引き続き休日に指導を行うことができる仕組みを構築する」、3「生徒の活動機会を確保するため、休日における地域スポーツ・文化活動を実施できる環境を整備する」を掲げ、令和5年から休日の部活動を段階的に地域移行することとしました。
 このとき、スポーツ協会は、部活動顧問が感じている問題・課題として「自分自身の専門的指導力の不足(39.5%)」「校務が忙しくて思うように指導ができない(25.6%)」「自分の研究や自由な時間の妨げになっている(14.9%)」を示し、専門的知識を持った指導者による指導を受けることができる環境を整備する必要性を指摘しています。
 部活動の地域移行は、公立中学校の教員が指導を担っている部活動を地域団体や民間事業者に委ねる改革です。
 OECDの調査で、日本の中学教員は仕事時間が特に長く、部活などの教育課程外活動の占める割合が大きく、中教審は、2019年、教員の働き方改革を進めるために部活動の在り方を見直すべきだと答申しています。
 その後、スポーツ庁と文化庁それぞれの有識者会議は、2022年6月と8月、休日の部活動の地域移行を2025年度末までに達成するように提言したのですが、同年12月16日には文科大臣が、「部活の地域移行は2023年度からスタートする」として、2023年度から2025年度までを改革推進期間と位置づけ、可能な限り早期の移行を目指している、すなわち「期限を設けない」と説明し、有識者会議が提言したスケジュールを変更しました。2025年度までに地域移行を実現する提言が示された際には各方面から費用負担や担い手などの問題が指摘され、全国市長会からも国への緊急意見が提出され、パブリックコメントにも「3年間での移行達成は難しい」との意見が寄せられていたそうです。
 スケジュール変更に際して文科大臣は、「少子化の中で、子どもたちが継続してスポーツや文化に親しむ機会を確保するため、部活動の地域移行に関する取組をしっかり進める」と強調し、改革推進期間に基づき進めていく意向を示すとともに、地域移行の完了時期については「2025年度末に終了というのは考えていない」「1,700以上の自治体があるので、自治体と学校、教員、またPTA、地域の人々、そして文科省がしっかりと連携して一つ一つの課題を克服していきたい」と説明し、改革推進期間終了後も地域の事情に応じて指導や助言などといった対応を行っていくこととしました。
 スポーツ庁と文化庁が策定したガイドラインでは部活動の地域移行について「地域の実情に応じ、当面は併存」としており、スポーツ庁地域スポーツ課は「ガイドラインのパブリックコメントにおいて、条件整備が難しいなど、いろいろな意見をいただいている」と明かした上で、「大きな改革なので、一定の期間は必要だろうというのは検討段階からあった。『可能な限り早期』は文字どおりだが、引き続き様子を見ながら支援していきたい」としています。
 昨年末に発表された文科省の2023年度予算に対して、京都府内の自治体担当者の驚きは大きかったと聞きます。当初、国は、公立中学校の休日の部活動を地域団体や民間事業者に委ねる地域移行の改革について、本年4月の新年度から本格的に進める方針だったのですが、その元年から軌道修正されたからです。概算要求では約118億円に上った地域移行の関連予算が、軌道修正により、約28億円にとどまりました。2022年度の第2次補正予算で前倒しした約19億円と合わせても半額にも達しない額です。課題として上げられていた指導者の確保などに関わる予算が大幅に縮小された形です。
 この転換を受け、京都府は2023年度の予算編成の見直しが必要となり、府内の自治体や中学校に地域と学校をつなぐ地域移行支援コーディネーターを置く予定だったのですが、国の補助金がなくなったことで予定変更になっています。この状況から、今年2月下旬の京都府地域部活動推進検討委員会では、府教育委員会保健体育課の地域移行推進計画の策定を2022年度末から2023年度に延期しました。
 スポーツ庁は「地域によって状況が異なり、一斉に進めるのは難しい。各地の実情に合わせて可能なところから進めてもらう。地域移行の旗を下ろしたわけではない」と説明しています。
 そもそも部活動は嘉納治五郎師範が奨励しており、80年近い歴史を持つもので、地域移行は1970年代から何度も議論されてきたのですが、受皿や生徒の安全が問題となって実現せず、今回は、これまでとは異なり、生徒の減少や教員の働き方改革の必要性などの社会変化に対応した動きだと理解しています。
 当然ですが、地域移行は、教員の働き方改革だけでなく、将来の子どもたちの豊かなスポーツライフに結びつけなければなりません。
 これまで少子化に伴う運動部活動廃止の可能性についてはよく指摘されており、15歳以下の人口は50年後に半分に、今の部活動の歴史と同じ80年後には4割にまで激減すると予想されています。この点からも、教員が減る中で、現在の形で部活動を続けるのは困難な状況です。ただ、地域移行は「部活動は学校で行われている」という固定的な考え方を打破するほどの意識改革が求められる大きな改革で、国民の同意が重要であり、そもそも3年間での変革には無理があったのではないかと思います。
 そこで2点お尋ねします。
 1つ目。今回の議論は教員の働き方が大きく注目されていますが、それだけではなく、冒頭に述べたように、日本のスポーツ文化を大きく変えるものでもあり、政策提言型として取り組んだ京都府議会の文化・スポーツ振興対策特別委員会でも議論してきた「スポーツは文化である」ことを再度確認して、スポーツ文化を育んできた部活動の地域移行は文化政策としても取り組めるのではないかと考えます。学校内、教員の働き方改革の視点だけでなく、文化庁の移転先である京都府が文化継承・発展の視点でも捉えるべきだと考えますが、知事の御所見をお聞かせください。
 2つ目。京都府では、本年度は一部の学校による地域移行モデル事業だけが実施されると聞いていますが、政府の方針転換による府や市町村への影響とモデル事業で見えてきた課題についてもお聞かせください。
 次は、指導者の確保についてです。
 希望する教員は引き続き指導できるとされているのですが、73.9%の教員が「希望しない」と答えているアンケートがあります。これを地域で賄えるのかなどの課題は多いと思います。外部指導者としては、民間企業による実施だけでなく、大学生指導者や退職教員も有効かと考えます。地域でのスポーツ指導を希望する方や現在運動部を指導している方々への認定制度もあるようで、学校教育や生徒理解に基づく指導法の知識・技術と、その実践力の修得者を確保するための人材バンクのような仕組みも必要かと思います。
 お尋ねいたします。
 基本的に学校の部活動は指導者不在を理由になくならないのですが、移行した地域スポーツクラブは企業の従業員である指導者がいなくなることでクラブ活動がなくなることも想定されます。指導者不足の対策の一つとして、例えば指導を希望する教員の居住地での休日指導を推奨することも検討すべだと考えますが、いかがでしょうか。加えて、教員の兼業・兼職の課題もクリアすべきです。また、複数指導者の指導には様々な効果が期待できます。複数人での指導者の効果も活用すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 次は、費用負担、指導者への報酬などです。
 これも重要な問題です。どこが負担するのか。国か自治体か保護者か。保護者負担だと、子どもの部活参加への影響も想定されます。ある試算で、部活動を民間企業に委ねた場合、生徒1人当たり月に1万円かそれ以上かかるだろうとされていますが、民間のアンケートでは家庭での負担可能額は大体数千円ともあり、実際にかかる金額とはかなりギャップがあるようです。家庭での費用負担は少子化への影響も想定されます。
 お尋ねします。
 少子化の原因の一つには教育費の負担が指摘されており、部活動費用の保護者負担はその点も含めて考えなければならないと思いますが、いかがでしょうか。費用負担は、当然、教育の無償化とは逆方向の事業となります。
 ちなみに、京都府では、休日に教員が部活動を指導する手当として3時間程度で2,700円と定めており、平日の部活動指導には手当がありません。
 次は、部活動の地域移行と障害者スポーツについてです。
 2016年のデータですが、特別支援学校の中学部の部活動設置率は、視覚障害者が70.9%、聴覚障害者が87%、知的障害が25.1%、肢体不自由は18.9%です。特別支援学校を含めた部活動の地域移行には、インクルーシブ教育の推進にも期待があります。地域全体の順応性、適応力、他者との違いを認めることへつなげたいとの思いです。ボッチャなど、障害の有無に関係なく皆ができるスポーツの振興や、eスポーツの持つ体幹機能の強化やチームスポーツによる協調性育成などの効果で障害者の可能性を広げることへの期待です。
 お尋ねします。
 障害者の部活動、地域スポーツへの参加環境についてはいかがお考えでしょうか。障害に知識がある指導者の育成が一つのポイントだと考えます。
 次は、スポーツ施設の課題です。
 スポーツのほとんどは特殊な環境、すなわち施設が必要です。地域での担い手や指導者とともに、施設についても同時に考えなければなりません。ソフトとハードが一体でないと、地域移行は継続しないと思います。部活動は学校施設の利用が当たり前でしたが、営利を目的とした民間企業の学校施設利用の継続性には疑問の声があります。学校の施設をどうやって学校と地域が共に利用できるのかを議論すべきです。
 日本のスポーツ施設の約6割は学校にあるのですが、学校施設でスポーツをしている人は7.3%と聞きます。学校スポーツ施設の利用率が極めて低いのが現状です。学校の施設をうまく利用してスポーツができれば、もっと地域スポーツが盛んになるのではないでしょうか。今回の地域移行議論には、どこの施設を使うのかの議論が抜けているように思います。指導者だけでなく、施設の議論も進めるべきです。
 また、今後は、人口構造の変化の中で、高齢者の健康維持に向けた学校施設利用が進むことが予想されます。これは地域スポーツの役割として期待されることですが、その場合も含めて施設利用の議論をすべきだと考えます。
 お尋ねします。
 地域移行後の活動運営主体は学校ではなくなるのが原則のようですが、7.3%の利用でしかない学校スポーツ施設の活用方法が問われる時期が来ると思います。しっかり学校施設を利用すべきだと考えます。お考えをお示しください。利用ニーズがあるものの、管理・運営環境が整わないケースへの対応も考えなければならないと思います。この点についても尋ねます。
 次は、子どもたちのニーズへの対応です。ブレークダンス部がどれだけの学校にあるのか、スケートボード部がどれだけの学校にあるのか、学校にない部活は地域移行の際にどう扱うのか。
 女子中学生の6割弱が「ブレークダンスをやりたい」と回答しているデータがあります。すなわち、現状では子どもたちのスポーツに関するニーズに応え切れていない状況が見受けられており、スポーツ基本法に明記されているスポーツを行う権利をどう守るのかの課題もあります。この点については検討をお願いします。
 地域での受皿についてです。受皿には地域間格差、都市部と地方部の差があり、これが受益格差となります。
 受皿の一つである総合型地域スポーツクラブにも課題があります。2022年統計で全国に総合型地域スポーツクラブは約3,600あり、約80%の市町村に設置されているようですが、内訳を見ると、自己財源50%以下のクラブが3分の1(33.3%)であり、法人格は約28%、自治体から指定管理者となっているクラブは約6%、スポーツ指導資格のない指導者は約54%であり、受皿の体制強化、指導者の育成が必須です。
 その他、地域や教員などからの地域移行に関する御意見を一部紹介します。「様々な課題を地域や民間に丸投げしているように見える」「学校の運動部活動と地域スポーツが一体となることで教育の合意形成の場をつくることを期待する」「地域の教育力の向上を目的にしてもらいたい」「部活動は学校教育の一部であることが重要」「予算措置を明確にして進めてもらいたい」「地域移行がスポーツ環境の不平等を招くことのないようにしてもらいたい」「学校に居場所を見つけられない子ども(授業は嫌だが、部活へ行きたい)への対応が大切」「民間事業者の新規参入問題、撤退による子どもたちへの影響」と、このように地域移行には期待とともに課題も多く、今年からのスタートはとても難しかったのだと思います。スケジュールを見直してよかったのではないしょうか。改革推進期間の有効活用を期待いたします。
 以上、ここまでよろしくお願いいたします。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(石田宗久君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) スポーツの部活動の地域移行についてでございます。
 スポーツ基本法において、スポーツは「国民が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営む上で不可欠のもの」でありますとともに、「スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは全ての人々の権利である」と規定されるなど、スポーツは自発的な運動の楽しみを基調とする人類共通の文化とされております。
 また、子どもたちにとってのスポーツは、人間形成に多大な影響を与え、心身の健全な発達に不可欠なものであり、とりわけスポーツに興味や関心のある生徒が自主的・自発的に参加する学校の部活動はスポーツに親しむ最も身近な機会であり、スポーツの楽しさや喜びを与えるとともに生活に豊かさをもたらすものでございます。
 しかしながら、少子化が進展する中、学校や地域によっては部活動の存続が難しい状況にあることから、府教育委員会だけではなく、様々な主体と連携をしながら京都府全体で子どもたちのスポーツ環境を支える新たな仕組みの構築に向けた取組を進めることとしております。具体的には、子どもたちが自主的・自発的にスポーツに取り組むことができるよう、スポーツクラブの設置を含めたジュニアスポーツアカデミー構想の検討や、地域で部活動を担う人材や受皿確保等の課題を整理する実証事業の実施など、府教育委員会や市町村、スポーツ団体などと連携しながら取り組んでいるところでございます。
 これらの取組を通じまして、将来にわたりスポーツが身近にあることで豊かな生活を実感できるよう、子どもたちが地域でやりたいスポーツに親しめる環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。

◯教育長(前川明範君)

◯議長(石田宗久君) 前川教育長。
   〔教育長前川明範君登壇〕

◯教育長(前川明範君) 酒井議員の御質問にお答えいたします。
 部活動の地域移行でございますが、少子化が進む中、これからのスポーツ・文化芸術振興を図る上で大変大きな改革であると考えており、学校のみならず、地域や家庭の理解を得ながら進めることが重要であると考えております。
 国の部活動改革方針の変更による影響についてでございますが、国において「地域の状況を踏まえつつ、地域移行を進める」とされたことから、市町村におきましては、地域の実情を踏まえ、検討組織が設立されるなど、計画的な地域移行に向けた取組が丁寧に進められるようになったところでございます。また、府におきましても、地域移行の方向性や対応等を示す推進計画について、地域の状況を十分に把握し、様々な課題に対応するため、その策定時期を見直したところでございます。
 次に、これまでのモデル地域での課題についてでございますが、「生徒にとっては魅力ある活動が実施され、教員の負担感の軽減にもつながっている」という検証結果を得ることができた一方で、議員御指摘のように、持続的に指導者をどう確保していくのか、送迎や参加経費などの保護者負担をどうするのか、安定的な活動場所をどう確保するのかといった課題が改めて明らかになったところでございます。また、例えばアーバンスポーツやパラスポーツなど、新たな生徒のニーズに応じたスポーツ環境をどう広げていくのかといった課題も見えてきたところでございます。
 今後は、実践研究に取り組む中でこうした課題の解決に向けて検討を進めるとともに、各地域で移行を進めていくためのプロセスや参考となる活動事例などを示し、子どもたちのスポーツ活動の継続が難しくなってきている地域、学校、部活動から円滑に地域移行できるように進めてまいります。
 次に、指導者不足への対応についてでございます。
 まず、地域クラブでの指導を希望する教員の兼業・兼職についてでございますが、モデル地域においても教員が指導者と関わっているところであり、勤務先のある地域だけでなく、居住地においてもその地域の一員として地域クラブで指導することは指導者確保の一つの方策として有効であると考えております。その専門性を生かしたいという思いがある一方で、教員に過度の負担がかかり過ぎないよう、健康面にも配慮し、兼業・兼職を認めてまいりたいと考えております。
 また、複数人での指導につきましては、子どもたちにとって違う視点での指導が受けられるといったメリットや、指導者の負担も軽減できるといった双方のメリットがあると考えております。
 府教育委員会といたしましては、市町村における指導者の実態を把握するとともに、府スポーツ協会や競技団体と連携し、既存の人材バンクの調査を行うなど、部活動の地域移行後も各地域において、部活動指導員や退職教員、公認スポーツ指導者のほか、競技経験のある大学生などの様々な指導者を確保できる仕組みを研究してまいります。
 次に、費用の保護者負担についてでございます。
 地域クラブの活動費用といたしましては、指導者報酬、保険料、会場使用料、消耗品代、会場への移動にかかる費用、運営団体の事務にかかる費用等が想定されますが、保護者には「部活動は、学校で、教員の指導の下、参加費等の負担なく行われるものだ」という意識もあり、負担費用の問題は地域移行を進める上で大変大きな問題であると認識しております。
 国のガイドラインでは、地域クラブの運営について「生徒や保護者、地域住民等の理解を得つつ、可能な限り低廉な会費を設定することとし、地域全体の協力を得られる体制の整備や送迎面での配慮を行うなどの支援が求められる」と示されております。
 府教育委員会といたしましては、誰もがスポーツ活動に参加でき、また過度な負担とならないような仕組みづくりが必要と考えております。そのため、幅広く公的な支援を国に要望いたしますとともに、学校施設の利用促進や受皿となる地域スポーツ団体との関わり方のほか、産学官連携や企業連携等、先進的な取組事例についても研究してまいります。
 次に、障害者の部活動、地域スポーツへの参加環境についてでございますが、議員御指摘のように、障害のある方も部活動や地域スポーツに参加しやすい環境を整えることが重要であると考えております。
 現在、特別支援学校の部活動には一般的な種目のほかにボッチャ等のパラスポーツなどがあり、卒業後に生涯学習、生涯スポーツへつなげることを目指した取組も意識されているところでございます。しかし、児童生徒の負担やスクールバスの運行時間などの制約があり、おおむね月数回程度、平日に限定された時間帯での活動が行われております。一方で、部活動以外でも、地元の大会に出場するなど、地域の活動に参加し、中には優秀な成績を収めている児童生徒もいる状況にございます。そうしたことから、特別支援学校におきましては、学校部活動だけでなく、できる限り身近で児童生徒が活動できる場を確保していくことが望ましいと考えております。
 地域のスポーツ活動に特別支援学校の児童生徒が参加し、活動していくためには、まず地域において障害に関する専門的知識を持ち、指導できる人材の確保が必要であります。現在、知事部局において初級パラスポーツ指導員の養成研修が開催されるとともに、府教育委員会においてもスポーツ推進委員に対しまして京都府障がい者スポーツ指導員の資格取得への支援などの取組を行っております。
 引き続き、こうした取組を進めるとともに、様々な関係機関と連携を密にし、障害のある方のスポーツ参加や指導者の育成など、環境づくりに努めてまいります。
 次に、学校のスポーツ施設の活用についてでございます。
 国の「学校体育施設の有効利用に関する手引き」においては、学校体育施設を地域住民の最も身近なスポーツの場として一層有効に活用していくことが示されております。
 府内の小中学校では、グラウンド等が少年スポーツ等の活動の場として活用されているところも多く、また、施設開放のための国の補助事業が創設されるなど、地域移行を進める上での支援も広がってきております。
 府教育委員会といたしましては、学校体育施設の活用は、活動場所としてのみならず、地域クラブの運営経費の軽減にも有効であると考えており、活用事例を周知するなど、施設の管理体制が整っていない地域においても学校施設の開放がさらに進むよう、取り組んでまいります。また、府立学校においては、体育施設の開放事業を実施するとともに、府立学校の施設や指導者などのスポーツ資源を活用した開放型地域スポーツクラブを10クラブ設置し、地域の子どもたちのスポーツ活動を支援してきております。今後は、学校施設の有効活用や府立学校における新たな開放型クラブの開設に向けて取組を進めてまいります。
 部活動の地域移行は、部活動が支えてきたこれまでのスポーツ文化を継承するとともに、地域での多様な体験や様々な世代との豊かな交流を通じた学びの環境をつくり出すという大きな改革でございます。府教育委員会といたしましては、部活動地域移行を京都府全体の取組に位置づけ、関係部局や市町村、スポーツ団体等と連携・協力しながら、子どもたちの様々なニーズにも対応できる地域スポーツの環境づくりを進めてまいりたいと考えております。

◯酒井常雄君

◯議長(石田宗久君) 酒井常雄議員。
   〔酒井常雄君登壇〕

◯酒井常雄君 御答弁いただきまして、ありがとうございます。
 私も指摘させていただいたんですが、これだけ多くの課題がある取組だということが改めて御答弁をいただいて思いました。
 費用負担の件についても御説明いただいたし、指導者の確保については教員の居住地指導や兼業・兼職についても御答弁をいただきました。また、施設についてもそれぞれ事例研究をこれから進めていただくということで、一つだけの目的ではなく、要するに教員の働き方の目的だけではないスポーツ改革をしていただきたいと思いますし、この部活動がそもそも学習指導要領で学校教育の活動として位置づけられていると。これを地域移行にしたときにそのままでいいのかどうかということもこれからの課題になってくると思いますし、文科省のほうでは、地域移行を休日だけから平日への拡大であるとか、中学校から高等学校への拡大についても今の検討事項だと伺っております。これからまだまだ様々な課題が出てこようかと思いますので丁寧に御対応いただきたいと思いますし、特に、最初に申しました、スポーツが文化であるということを捉えて、京都府の地域移行ビジョンのようなものをお示しいただいて不安なく移行できるように実行してもらうことをお願いして、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)