議会活動

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1 「健康長寿・京都」実現に向けた成果連動型民間委託
  契約方式(PFS)の戦略的導入について
2 私学無償化の進展を踏まえた公立高校の魅力化について
3 外国人材との共生が拓く京都の未来について
4 持続可能な介護保険制度の実現に向けた広域連携の推進
  について
5 その他

議事録全文

◯西條利洋君

◯西條利洋君 国民民主党・日本維新の会京都府議会議員団の西條利洋でございます。このたびは会派を代表して質問の機会をいただいたこと、心より感謝申し上げるとともに、その責任を果たせるよう努めてまいります。
 また、京都府令和7年度9月補正予算に関しては、記録的な高温・渇水により府内各地で生じた影響に対し、渇水緊急対策事業費や農作物生産確保対策事業費を盛り込むなど、府内農業を守るための緊急対策を迅速に講じられています。
 さらに、依然として厳しい状況にある中小企業者の事業活動と賃上げを支援する「経営基盤強化推進事業費」、そして国の制度改正に伴う高校無償化への対応など、府民生活に直結する重要な課題に対応し本補正予算をまとめていただきましたことに感謝申し上げます。その具体的な施策、取組に関しては、本会議、各委員会にてしっかりと議論してまいります。
 通告しております4つの項目について質問させていただきますので、知事並びに関係理事者の皆様の積極的な御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず、京都府の持続的な発展に向け解決すべき重要課題の一つについてお伺いいたします。
 現在の京都府は、公共インフラの計画的な更新、人口構造の変化に対応した地域コミュニティーの活性化、そして世界的な観光地として府民生活との調和を図る取組など、複合的な課題に直面しております。知事を先頭に、府庁職員の皆様が一丸となってこれらの課題に取り組んでおられることに深く敬意を表します。そして、これら全ての根底に関わる重要課題が、府民の皆様の健康、とりわけ健康寿命の延伸であると考えます。
 御承知のとおり、京都府は男女ともに全国トップクラスの平均寿命を誇るすばらしい長寿の都道府県であります。この輝かしい成果の一方で、自立した生活を送れる期間を示す健康寿命との間にはまだ改善の余地が残されています。この平均寿命と健康寿命との差の期間は、令和4年で男性が9.4年、女性に至っては実に11.8年にも及び、男性は全国で33位、女性では全国で17位という状況にあります。
 これは、府民一人一人が生涯にわたって生き生きと暮らせる社会を実現する上で、大きな伸び代があることを示唆していますが、同時に、長期的な医療費や介護給付費にも影響を与えることから、府の持続可能な財政運営にとっても極めて重要な課題です。
 事実、社会保障関係費の増大などを主因として、令和10年度には約200億円もの収支不足が生じると見込まれております。この平均寿命と健康寿命との差を短くすることが、多くの課題解決のために必要な京都府の重要課題と考えております。
 幸いにも、この課題の主な要因は、生活習慣病やフレイル、認知症といった予防や早期介入が可能な分野であると指摘されています。京都市の医療費の35.6%は生活習慣病関連が占めており、また府内の認知症高齢者数は、2040年には現在の約1.2倍に当たる約12.1万人に達すると推計されています。これらの根本原因に正面から向き合い効果的な対策を講じることで、府民福祉の向上と財政の健全化という好循環を生み出すことができるのではないかと思います。
 こうした状況を乗り越え新たな未来を切り開くための有効な選択肢として、民間の資金と知恵を最大限に活用し、成果を重要視する新たな行政手法、PFS(Pay For Success、成果連動型民間委託契約方式)の活用も有効ではないかと考えられます。
 PFSとは、行政が民間事業者に業務を委託する際、単にサービスの実施に対して対価を支払うのではなく、その事業によってもたらされた社会的な成果、例えば要介護認定率の低下、医療費の削減額といった具体的な結果に応じて支払いを行う、成果を重視し、民間の創意工夫を最大限に生かす費用対効果にも優れた契約方式です。
 特にSIB(ソーシャル・インパクト・ボンド)と呼ばれる手法では、事業の初期投資を民間投資家が担い、成果が出た場合にのみ行政が支払いを行うため、行政は大きな財政リスクを背負うことなく革新的な取組に挑戦できるという大きな利点があります。これにより、従来は予算化が難しかった予防的な取組や、効果が不確実な新しい挑戦にも積極的に踏み出すことが可能となります。
 現在、全国の自治体で活用されており、先進事例を見ればその有効性が示されています。
 神戸市では、糖尿病性腎症の重症化予防事業にPFSを導入し、約6か月間の集中的な保健指導を実施しました。その結果、生活習慣病改善率95%という高い成果を達成し、一人当たり年間500万円以上かかる人工透析への移行を未然に防ぐことに貢献しました。
 八王子市では、大腸がん検診の受診率向上にPFSを活用。AIを用いて過去のデータから最も受診する可能性が高い層を抽出し、個別最適化された受診勧奨を行いました。その結果、受診率が目標を大幅に上回り、約1,700万円の医療費適正化効果を生み出しています。
 堺市では、フレイル予防を目的とした介護予防プロジェクトにPFSを導入し、約192名の要介護状態への進行を抑制、約1億1,800万円もの介護給付費適正化効果を上げています。
 これらの事例から、PFSは、京都府が府民の健康寿命を延ばすために取り組む必要のある生活習慣病対策や介護予防といった課題に対し有効な手法として検討する余地があると考えます。税金が成果に応じて投じられ、民間事業者はその専門性を最大限に発揮して成果の最大化を目指すPFSは、ほかの手法と比較検討は必要ではございますが、京都府の様々な施策にも導入することも可能と考えます。
 さらに申し上げるならば、京都府は、このPFSを導入する上ですばらしい資産とポテンシャルを有していると考えます。
 第1に、世界水準の学術の知です。京都府には京都府立医科大学をはじめとする国内屈指の研究機関が集積しており、京丹後長寿コホート研究に代表されるように健康長寿の要因を科学的に解明する最先端の研究が既に行われています。この科学的知見は、効果的なPFS事業を設計する上で不可欠なロジックモデルの構築や、事業成果を客観的に評価する第三者評価機関としての役割を担う上で、何物にもかえがたい羅針盤となります。
 第2に、活気あるイノベーションの力です。「HVC KYOTO」などを核として、京都府には、ヘルスケアやライフサイエンス分野のスタートアップを育む、全国でも有数のエコシステムが存在します。彼らが持つデジタルヘルスなどの革新的な技術は、PFS事業の担い手として大きな力を発揮するでしょう。府の社会課題が彼らの技術を社会実装するための具体的な市場となり、地域内での経済循環とイノベーションを同時に促進することが期待されます。
 第3に、地域に根ざしたコミュニティーの現場力です。府内各地では、多くのNPOや市民活動団体が、高齢者への配食サービスや見守り活動、地域の体操教室の運営などきめ細やかな活動を日々展開しておられます。PFSは、こうした草の根活動に安定的な資金とその価値を可視化する仕組みを提供し、その力を府の公式な健康戦略へと統合する強力なツールとなるのではないでしょうか。
 これらの府が誇るべき資産とPFSを結びつけることで、単に他府県の模倣に終わらない科学的知見と民間の革新性を最大限に活用した先進的な京都モデルを構築できるのではないでしょうか。社会課題の解決が新たな産業の創出と地域経済の成長につながるこの好循環こそ、我々が目指すべき未来の一つであると考えます。
 そこで、知事にお伺いいたします。
 知事がこれまで力強く推進してこられた健康寿命の取組をさらに発展させる上で、京都府が直面する健康寿命に関する重要課題解決のためには、PFSのような成果を重視する新たな官民連携手法の導入も効果的ではないかと考えますが、御所見をお聞かせください。
 また、PFSのような新たな手法の導入を検討する際には、府民が成果を早期に実感できるよう、例えば今後2年以内をめどに、京都府の健康課題である女性の健康寿命改善や糖尿病重症化予防などを対象とした旗艦的なPFSパイロットプロジェクトの立ち上げも併せて検討いただきたいと考えますが、御所見をお聞かせください。
 さらには、提案申し上げたPFSなどの手法が導入されれば、単なるコスト削減策にとどまるのではなく、京都府が誇る大学の研究力やスタートアップの技術力も生かし、社会課題の解決を新たなイノベーションと経済成長の好機へと転換する先進的な京都モデルの構築にもつながると考えられ、その実現に向けて関係部局による横断的な検討の場を設け、具体的な道筋を立てていくようなことも必要かと思いますが、併せて実現に向けて前向きな御所見をお聞かせください。
 まずは、ここまでの御答弁をお願いいたします

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 西條議員の御質問にお答えいたします。
 健康長寿の実現に向けた新たな手法の導入についてでございます。
 府民の皆様が住み慣れた地域で生きがいや役割を持って生き生きと暮らせるよう、健康づくりや介護予防を推進し健康寿命の延伸につなげていくことは、大変重要であると考えております。
 成果連動型民間委託契約方式、いわゆるPFSは、成果指標を定めて民間へ委託し、成果に応じて報酬を支払う契約方式であり、民間の柔軟な発想やノウハウを活用できる点で注目されているものであると認識しております。
 議員御紹介のとおり、神戸市におきましてPFSを活用した腎機能の低下抑制を図る事業に取り組んだ事例や、八王子市におきましてがんの早期発見・早期治療につなげる事業に取り組んだ事例もあると承知をしております。
 これらの事業はそれぞれ総括レポートがまとめられており、神戸市の例につきましては、食事や運動など生活習慣に改善は見られたものの、腎機能の低下抑制が図られた者の割合は、目標の80%に対し32.9%と低く、重症化予防の成果としては課題が残ると報告されております。八王子市の例につきましては、大腸がん検診の受診率と検診後の精密検査受診率については向上したものの、本来の狙いである初期段階のがん患者の発見者数については、設定していた値を下回ったと報告されております。
 また、PFSを活用する団体は徐々に増えてはおりますが、全国に広がらない事情の一つとして、成果指標や成果に連動した支払金額の設定が難しく、運用する自治体職員の負担が大きいことが国においても指摘されているところでございます。
 京都府といたしましては、医療・健康分野での課題解決のためには、それぞれの課題ごとに効果的な事業実施方法を検討する必要があると考えており、手法にとらわれることなく、様々なデータを基に政策の目的と評価方法を定め、予算上も効率的かつ効果的な取組とすることが重要だと考えております。
 次に、パイロットプロジェクトの立ち上げについてでございます。
 PFSは、解決すべき課題の明確化と成果指標の設定、そのために必要なデータの分析などが必要であり、このプロセスを経ることで事業の目的や成果の把握方法が明確にされるメリットがあるとされております。
 京都府におきましては、様々なデータを基に政策の目的と評価方法を定める取組として、平成30年度に「健康長寿・データヘルス推進プロジェクト」を立ち上げ、様々な健康課題の解決に継続的に取り組んできたところでございます。
 中でも生活習慣に関する課題は、個人の年齢や体質などのほか、お住まいの地域の環境的な要因が及ぼす影響が少なくないため、健康づくり事業の実施に当たっては地域ごとのデータの事前の分析が欠かせないものと認識しております。
 具体的には、塩分・野菜などの摂取量、運動習慣、特定健診・がん検診の受診動向、透析患者の動向、男女別死亡要因の年次変化などのデータを府が市町村ごとに分析の上、提供しているところであり、市町村の健康増進計画の策定などに役立てられているところでございます。
 各市町村は、これらの分析結果に基づき、PDCAサイクルに沿った事業を展開しており、各市町村の取組の結果、府の健康寿命は、平成28年から令和4年度までの6年間で男性が約0.3年、女性が約1.8年延伸するなど、一定の成果を上げてきたところでございます。
 また、糖尿病の重症化予防につきましては、京都府版糖尿病性腎症重症化予防プログラムを作成し、市町村とともに医療機関未受診者や治療中断者への受診勧奨などに取り組んでおり、「健康長寿・データヘルス推進プロジェクト」で分析した結果、府内で新たに人工透析を始めた患者数の水準は、2010年から2022年にかけて低下傾向にあるところでございます。
 京都府といたしましては、市町村が事業の目的と評価方法を適切に定められるよう、今後とも「健康長寿・データヘルス推進プロジェクト」の分析に基づきまして、地域ごとの課題を明らかにしたデータを提供するなど、市町村の健康づくり事業を支援してまいりたいと考えております。
 次に、先進的な京都モデルの構築と推進体制についてでございます。
 京都府におきましては、府民の皆様の疾病予防、健康増進に関しまして部局を越えて連携し推進するため、きょうと健康長寿・未病改善センター事業により府立医科大学や産業医科大学と協定を結び、匿名化されたレセプトデータや検診データの分析体制を構築するほか、国家戦略特区を活用しiPS細胞技術の研究開発を加速する環境整備など、ヘルスケア産業の創出に取り組んでいるところでございます。
 また、データ利活用のための官民連携組織である「京都ビッグデータ活用プラットフォーム」におきまして、大学や企業とデータを共有し、自治体などに事業提案を行う仕組みを構築しており、歩いて獲得したポイントを買い物だけでなく学校への寄付に利用できる枠組みの新設や、下水中のウイルスを検査・監視し感染症の発生状況を把握するツールの研究など、連携成果も出てきているところでございます。
 さらに、府内大学がサポーターとなって、医療分野へ新規参入、設備導入を目指す京都府内企業の異業種連携チーム「京MED(きょうメド)」を立ち上げ、府内中小企業と医療事業者等のマッチング支援による医工連携も進めております。
 京都府といたしましては、府民の皆様の健康寿命の延伸を目指すため、引き続き各部局の連携の下で横断した取組を進めますとともに、大学や企業などの多様な主体と連携し、京都ならではの強みを生かしながら、誰もが住み慣れた地域で希望や生きがいを持ち安心して暮らせる社会の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

◯教育長(前川明範君)

◯議長(荒巻隆三君) 前川教育長。
   〔教育長前川明範君登壇〕

◯教育長(前川明範君) 西條議員の御質問にお答えいたします。
 府立高校の今後の在り方についてでございます。
 府立高校の果たすべき役割は、公教育の場として教育の機会の保障と選択肢の多様性の確保を根本的な意義と捉え、幅広く多様な生徒を受け入れるとともに、全ての生徒が夢や希望を持ち、未来に向かって生き生きと学ぶことができる教育環境を実現することであると考えております。
 そのために、令和4年には「府立高校の在り方ビジョン」を、令和5年には「魅力ある府立高校づくり推進基本計画」を策定し、中長期的な視点から魅力ある府立高校づくりの基本的な方向性や目指す将来像を掲げたところであり、現在、その実現に向けて各校の特色や役割を明確にしつつ、教育内容の充実に向けた検討を進めております。
 具体的には、46校ある府立高校のスケールメリットを生かした学校間連携を充実させつつ、新しい時代に応じた学びや学習スタイルの推進、地域や企業、大学や研究機関等との連携強化、多様なニーズに応じた柔軟な教育システムの構築などを魅力化の観点として、学校・学科の在り方や教育課程の見直しを進めているところでございます。
 一方、いわゆる高校無償化によって、多くの生徒にとって私立高校への進学がより大きな選択肢となり、公立離れにつながる可能性があると危惧しているところであり、高校無償化後も中学生から選ばれる府立高校であるためには、より一層魅力化を進める必要があると考えているところでございます。
 府教育委員会といたしましては、「在り方ビジョン」及び「基本計画」に基づき、生徒にとって魅力と活力ある教育環境の実現に向けて、教育内容と施設・設備の両面から府立高校の魅力化に取り組んでまいります。
 次に、教員採用選考に係る第一次選考の共同実施についてでございます。
 府教育委員会では、人間性豊かな人材を採用するため、全ての校種・職種で複数回の個人面接を行うなど人物重視の選考を実施してまいりました。また、こうした方針を一層推進するため、筆記試験の問題作成に係る負担軽減を目的として、かねてより共通問題の作成を国に要望してきたところでございます。
 今回の共同実施につきましては、京都府を含む51の自治体で構成される協議会において、現在実施している試験運営はそのまま各自治体が行い、問題作成のみ共同で実施する共通問題配付方式での実施を前提として検討されております。
 また、作成された共通問題につきましても、各自治体で改変や独自問題の追加など柔軟な対応を可能とし、現在は、試験実施日や作成科目、問題確認の作業分担等を論点として協議を進めているところでございます。
 これらの点を総合的に踏まえ、京都府として求める教員像にふさわしい人材を採用するため、最終的な参加の可否について適切に判断してまいります。
 府教育委員会といたしましては、今後とも、本府の公教育を担う優れた教員の採用に努めてまいります。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 国の就学支援金の拡充によって生まれる財源の活用についてでございます。
 議員御指摘のとおり、自民党、公明党、日本維新の会の3党合意に基づき、高等学校等就学支援金につきまして収入要件を撤廃し、私立加算額を45.7万円と拡充した場合には、京都府が独自に実施している「あんしん修学支援制度」と重なる部分は令和6年度の実績ベースで約11億円分となります。
 一方、いわゆる高校無償化につきましては、文部科学省の令和8年度予算の概算要求でも額を示さない事項要求とされており、高校生等奨学給付金の拡充など就学支援金の拡充以外の3党合意に基づく内容がどのような形で具体化されるのか全体像が示されておらず、高校無償化全体の中で国と地方の負担の在り方や地方の財源がどのようになるかといったことにつきましても、明らかになっていないところでございます。
 その上で、仮に、高校無償化により京都府におきまして措置する必要のなくなった財源が生じた場合であっても、毎年度の予算編成は他の制度改正などによる財政需要の増減も含め様々な要素を考慮して行うものであり、歳入と歳出のバランスも踏まえながら適切に財政運営を行ってまいりたいと考えております。

◯西條利洋君

◯議長(荒巻隆三君) 西條利洋議員。
   〔西條利洋君登壇〕

◯西條利洋君 教育長並びに知事、御答弁いただきまして誠にありがとうございます。
 教育長からは、府立高校の今後の在り方についてお考えをお聞かせいただきました。ありがとうございます。府民にさらに選ばれる府立高校として魅力向上に今後も努めていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
 また、知事におかれましては、府立高校の魅力向上においてはどうしても財源というものが必要になってきます。そういった点で、浮いた財源といいますか、まだ現段階では確定ではない状況ではございますが、改めて、行政改革推進債ですとか財政調整基金の積立てなど、バランスよく配分する必要はございますが、こちらは教育環境の充実にさらに振り向けていただきますようよろしくお願い申し上げます。
 次の質問に移ります。
 我が京都府は、人口減少という社会全体で向き合うべき大きな構造変化の中にあります。この変化は地域経済の担い手不足、社会保障制度の持続可能性、そして地域コミュニティの活力維持など、府政の各分野において重要な視点となっています。このような時代において、今後の京都の未来を考える上で、京都に住み働いていただいている外国人の皆様とともに、いかにして活力ある社会を築いていくかというテーマがますますその重要性を増していると考えます。
 これまで京都府におかれましても、多文化共生の理念の下、様々な施策を推進してこられました。しかしながら、これまでにも増して、外国人住民の皆様は私たちの社会を支える重要な一員となりつつあり、共に地域を共創するパートナーとしてその役割に期待が寄せられており、京都府の外国人政策が急激に変化する現実を的確に捉え、未来を見据えた戦略的なものへと発展することを期待いたします。
 そこで、京都府を取り巻く外国人材に関する環境の顕著な変化について、知事の御所見を伺いたく存じます。
 大きな変化の第1は、外国人労働者数の著しい増加とその国籍の多様化です。京都労働局の最新の報告によれば、令和6年10月末時点で府内の外国人労働者数は3万4,786人に達し、前年比で22%もの顕著な増加を記録しました。これは、社会インフラへの需要が大きく拡大していることを示す、見過ごすことのできない変化の現れであります。
 さらに注目すべきは、その内実の変化です。国籍別に見ますと、これまでの中心であったベトナム、中国に加え、ミャンマーからの労働者が前年比98.8%増、ネパールが65.2%増と東南アジア、南アジアからの人材流入が本格化しております。このことは、私たちの行政サービスにおいても、ミャンマー語やネパール語といった新たな言語への対応や、多様な文化的背景の配慮が一層重要になってきていることを示唆しています。
 この社会構造の変化の速度と規模に対し、府がこれまで整備してこられた日本語教育、住宅支援といった各種サービスの提供体制が急増する需要に十分対応できているか、改めて検証する必要があるのではないでしょうか。
 例えば日本語教育。府の支援はボランティア、日本語教室へのサポートが中心となっており、地域に根ざしたきめ細やかな活動につながっていると評価しております。その一方で、企業が最も必要としているのは、介護、宿泊、製造といった現場ですぐに役立つ、業界別の実践的な日本語教育であります。経済活動の現場で最も求められているニーズによりきめ細かく応えていく必要があるのではないでしょうか。
 大きな変化の第2は、府内経済、とりわけ中小企業の皆様がいかに外国人材に支えられてきているかという変化です。産業別に見ますと、卸売業、小売業、宿泊業、飲食サービス業といったサービス産業が全体の4割以上を占めており、国際文化観光都市京都の基盤産業が、今や外国人労働者の皆様の力なくしては維持が難しい状況にあることがうかがえます。
 そして、最も重要な点の一つは、その雇用の受け皿であります。外国人を雇用する事業所のうち、実に約6割が、従業員30人未満規模の事業所なのであります。これは、外国人材の受入れ、教育、労務管理、そして生活支援といった専門的な知識と手厚い体制が求められる多くの役割が、専門部署を持たないことの多い中小企業の皆様の現場での御尽力に支えられている構造を示しております。企業が外国人雇用で直面する最大の課題として、日本語でのコミュニケーションが挙げられていますが、この課題を京都府としてもしっかりと支えていく必要があると考えます。
 これらの変化の現状が示すのは、一過性の現象ではない、社会構造そのものが大きく変わってきているということです。この変化は、京都の経済に活力をもたらす大きな機会であり、適切な対応を進めることで、労働環境をめぐる課題や地域社会との調和といったリスクを未然に防ぎ、機会を最大限に生かしていくことで京都府経済を強くすることができると考えます。
 そこで、知事にお伺いします。
 外国人労働者の顕著な増加と多様化への対応についてはどのようにお考えでしょうか。また、外国人材活用の最大の課題とされる職場での日本語コミュニケーションについて、日本語教育プログラムを開発・提供するなど、外国人材を活用する中小企業の支援を充実するべきと考えますが、併せて御所見をお伺いします。
 次に、京都府の多文化共生施策の浸透とさらなる進化について質問いたします。
 本府が策定された「地域における日本語教育推進プラン(第2次)」は、外国人を地域社会の対等なパートナーと位置づける大変すばらしい理念を掲げておられます。その理念を府内全域で具現化していく上で、2つの重要な点があると考えます。
 第1は、支援体制のさらなる充実についてです。府の多文化共生施策は、その中核的事業の多くが外部団体である公益財団法人京都府国際センターへの補助事業として実施されています。京都府国際センターの皆様の専門性と日頃の御尽力には、心から敬意を表するものであります。
 しかしながら、年間、数千人規模で増加する外国人住民への対応について、京都府国際センターを中心とした現在の体制だけで対応していることは、負担も大きく、府内全域への浸透性にも限界があるのではないかと推察いたします。
 そこでお伺いいたします。
 京都府国際センターだけではなく、府の各部局、例えば健康福祉部、教育委員会、商工労働観光部なども外国人住民を自らのサービスの対象者として主体的に捉え、それぞれの現場で多言語対応や多文化配慮の能力を高めていくという全庁的な取組へのさらなる進化も必要ではないでしょうか。真の多文化共生とは、庁内のあらゆる窓口が外国人住民にとって開かれたものであることであり、多文化共生は国際センターの仕事という意識の壁があってはならないと考えますが、御所見をお聞かせください。
 第2は、施策内容と現場ニーズのさらなる連携についてです。
 人手不足分野への支援において、分野ごとの支援の在り方について検討が必要です。介護分野においては、府は令和2年に「京都府外国人介護人材支援センター」を開設され、相談から研修、定着支援まで手厚い包括的な支援体制を構築されています。これは、全国に誇るべき先進的な取組であり、高く評価するものであります。
 しかし、その一方で、同じく深刻な人材・人手不足に直面し外国人雇用事業所全体の11.4%を占める、基幹産業である建設分野においては、府が主体となった恒常的な支援機関の存在が確認できません。全ての基幹産業が等しく活力を維持できるよう、分野ごとの特性に応じた支援の在り方を検討する必要があるのではないでしょうか。
 そこでお伺いします。
 人手不足が深刻な産業分野で、正規に働く外国人材がその能力を最大限に発揮できる環境を整えられることは、京都経済の持続的発展に不可欠です。介護分野で大きな成果を上げておられる外国人介護人材支援センターのような相談・研修・定着支援を一元的に担う、府独自の専門支援拠点を同じく人手不足が深刻な建設分野や農業分野にも設置し、両分野における外国人材の活用をさらに充実させていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
 この項目の最後に、京都が未来に向かって国内外の有為な人材にとって魅力ある地域であり続けるためのより戦略的な政策について提言いたし、質問いたします。
 第1に、適正な労務環境の確保です。
 言うまでもなく、不法就労は本人の人権侵害につながるだけでなく、公正な労働市場をゆがめる行為であり、厳正に対処していく必要があります。国のレベルでは警察庁、出入国在留管理庁、厚生労働省の3省庁が緊密に連携して対策を推進する方針が示されています。課題は、この方針が京都という現場レベルでいかに実効性を持って執行されているかです。
 京都府警、大阪出入国在留管理局京都出張所、そして京都労働局、この3者が京都府内においてどのような具体的な協力・連携体制を構築しているのか、府民の安心・安全のためにもこの連携体制の具体的な状況についてより透明性を持って示していただくことが重要であると考えます。
 第2に、京都の最大の強みである大学都市としての特性を生かした人材定着に向けた取組の強化です。
 京都府は、全国でも有数の学術都市であり、多くの優秀な留学生を世界中から引きつけています。京都府の様々な取組の成果と存じます。その一方で、誠に惜しいことに、府内大学を卒業した留学生の府内企業への就職の伸び率は、全国平均を下回っているというデータもございます。これは、我々が育成に関わった貴重な人材が卒業後に府外へ流出している傾向を示唆しています。この状況を改善し、一人でも多くの優秀な若者に京都を選んでもらうための新たな一手が求められています。
 留学生が卒業後もこの京都にとどまり、地域経済の新たな担い手となってもらうためには、単発の出会いの場であるジョブフェアの提供に加え、より力強く踏み込んだ施策が必要ではないでしょうか。
 そこでお伺いします。
 不法就労の防止と摘発は、府民の安全と公正な労働市場を守るための行政の重要な責務です。国の連携方針を踏まえ、京都府警察、大阪出入国在留管理局京都出張所、京都労働局の3者は府内においてどのような具体的な協力・連携体制を構築されているのでしょうか。また、不法就労の指導・摘発の実態についていかがでしょうか、お聞かせください。
 また、京都が未来にわたって選ばれる都市であり続けるための独自施策についてもお伺いいたします。貴重な人材の府外流出といった課題に対応し、優秀な留学生に卒業後も京都で活躍してもらうため、就労・奨学金返済一体型支援事業の留学生採用企業への導入促進や、府内の中小企業が留学生を正規雇用した場合の助成金制度の創設など、より強力なインセンティブとなる施策を導入することについての御所見をお聞かせください。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 外国人労働者の増加と多様化への対応としての中小企業支援についてでございます。
 外国人労働者の受入れは、人手不足対策だけでなく、多文化共生社会の実現や地域の活性化の観点からも重要である一方、就労と生活の両面で様々な課題が生じていると認識しております。
 近年、外国人労働者が急増しており、令和6年の府内外国人労働者は対前年22.0%増の3万4,786人であり、全国の増加率である12.4%よりも高い数字となっております。また、在留資格別では、専門的・技術的分野の在留資格が35.4%と一番多く、次いで留学による資格外活動が21.6%、技能実習が19.4%となっております。
 外国人労働者の増加に伴い、言語や文化の違いによるコミュニケーション不足や地域での関係構築など様々な課題が顕在化していることから、外国人が安心して働き暮らせる環境づくりを進める必要がございます。
 京都府におきましては、外国人起業家に対しまして、令和5年7月に「京都インターナショナルスタートアップセンター」を開設し、英語対応可能なスタッフにより事業所や銀行口座の開設、住居確保など、ビジネス・生活両面での伴走支援に取り組んでまいりました。
 さらに、中小企業に対しましては、昨年5月に京都企業人材確保センターを立ち上げ、外国人雇用に関する法制度や職場環境整備などについての相談対応や確保・定着に向けたセミナーなどを実施し、外国人材の増加に対応するべく支援を強化してまいりました。
 また、昨年12月、支援企業に対しまして外国人材の受入れについて課題を調査しましたところ、「日本語によるコミュニケーションの難しさが課題である」との回答が28.4%で最多となりました。そのため、今年度から新たに、就労者向けのオンライン日本語教室を開設し、日本語の習得や企業の文化、職場の習慣などコミュニケーション能力の向上につながるよう支援しております。
 また、府内民間企業におきましても独自の対応が進んでおり、入国前から現地で日本語教育を行うとともに、入国後も技術指導に加え、交通安全や環境、地域共生に関する研修を実施するなど生活面も含めて支援し、人材の確保や企業の成長につなげておられる事例もございます。
 今後、こうした中小企業の優良事例の横展開を図るとともに、家族も含めた日本語学習や住居の確保など、中小企業向けの支援を充実させてまいりたいと考えております。
 次に、京都府の多文化共生施策の浸透とさらなる進化についてでございます。
 外国人住民の生活支援は、医療、福祉、教育など多岐にわたるため、京都府におきましては、部局横断組織である「京都府外国人材受入れ・共生推進本部」の下、多言語生活相談窓口の設置、日本語教育の推進等に取り組んでいるところでございます。
 しかしながら、特定技能の拡充や育成就労の導入、高度人材の受入れ、留学生の定着などにより、外国人住民が大幅に増えることが見込まれ、その受入環境の整備は全国的に大きな課題となっております。多文化共生社会は、自治体の努力だけで実現できるものではなく、国、地方、事業者等が適切な役割分担に応じて外国人の受入環境の整備を進めていく必要があると考えております。
 そのため、本年7月に全国知事会におきまして、「外国人の受入れと多文化共生社会実現に向けた提言」を取りまとめ、国に対しまして、多文化共生に関する基本法策定や司令塔となる組織の設置、外国人の生活支援のための具体的措置などを要望いたしました。
 京都府といたしましては、国の動向を踏まえまして、京都府国際センター、市町村、企業等と連携し外国人材の受入れ、共生のための対策を強化してまいりたいと考えております。
 次に、建設・農業分野における外国人材の活用についてでございます。
 深刻化する人手不足への対応のため、平成31年4月、国により建設、農業を含む16分野で就労可能な新たな外国人労働者の在留資格が設けられ、令和9年度からは人材の育成・確保を目的とした育成就労が始まるなど、増加する外国人労働者の受入環境の整備が重要であると考えております。
 現在の建設分野における受入支援といたしましては、国において設立された一般社団法人建設技能人材機構におきまして、研修等のスキルアップ支援、働きやすい職場づくりの支援など特定技能外国人の適正かつ円滑な受入環境の整備が進められております。
 さらに、令和6年6月に成立した「第三次・担い手3法」におきまして、外国人等を含む多様な人材の確保について明記されるとともに、在留資格を有する外国人建設技術者の採用や定着に関するハンドブックも作成されております。
 農業分野では、外国人材を確保し定着を図るため、国の支援を受けて、一般社団法人全国農業会議所による農業現場の理解促進や就労意欲の喚起を図るための海外での説明会の開催や、民間企業による多言語対応の電話やメールを活用した相談窓口の設置などの取組が進められております。
 このように建設分野と農業分野におきましては、国におきまして外国人材の受入れ・定着に対する環境整備が進められておりますが、京都府といたしましても、各業界全体の担い手確保を支援する立場から、企業等の外国人材の活用状況や受入支援体制の課題等を把握し、国や業界団体とも連携して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
 次に、留学生の府内定着についてでございます。
 留学生の府内定着は、専門性が高く多様な価値観を持つ人材の京都での活躍につながり、採用した企業にとっても異文化理解が深まり、国際的なビジネス展開に有利となることから重要な課題だと考えております。
 京都府におきましては、留学生の就職を支援するため、京都ジョブパーク内に「京の留学生支援センター」を設置し、ハローワークと共同して、カウンセリングや「留学生ジョブ博」の開催に取り組んでおります。
 両センターにおきましては、専任のカウンセラーが留学生のニーズや適正に応じた企業の紹介、就職後の継続した相談対応などきめ細かに伴走支援した結果、昨年度は283名が内定を得て、うち64名は府内企業に就職し、自己の専門性を生かして活躍いただいております。
 留学生の府内定着に向けましては、留学生が持つ専門性を生かせる府内企業の登録を増やすことが重要であり、企業の求人開拓を行っている京都企業人材確保センターを中心に、採用前後の相談対応や採用企業とのネットワークづくりなどの支援に取り組んでまいりたいと考えております。
 留学生にも就労・奨学金返済一体型支援事業を利用いただけることも周知をし、導入企業のさらなる拡大を図るなど、留学生が活用できる様々な施策を紹介し、留学生と府内企業とのマッチングを図ってまいりたいと考えております。

◯警察本部長(吉越清人君)

◯議長(荒巻隆三君) 吉越警察本部長。
   〔警察本部長吉越清人君登壇〕

◯警察本部長(吉越清人君) 西條議員の御質問にお答えいたします。
 不法就労の防止と摘発についてでございます。
 外国人の不法就労については、不法在留者の多くが偽造または変造の在留カードを用いて、在留資格を偽るなどして不法に就労しているほか、資格外活動許可の範囲を逸脱して働かせる雇用者も存在するなど、その手口が悪質化、巧妙化しており、これを放置すれば治安や労働市場に悪影響を及ぼしかねないとの認識の下、関係機関と連携し、各種の取組を推進しているところです。
 具体的には、大阪出入国在留管理局とは、資格外活動をはじめとした不法就労に関する合同摘発を実施しているほか、京都労働局主催の外国人雇用管理セミナーにおいて、外国人労働者を雇用する際の注意点などについて講演を行うなど、不法就労事案の摘発や防止に向けた取組を推進しております。
 不法就労事案の摘発につきましては、令和6年中に8件7人、令和7年中は7月末現在で9件11人を出入国管理及び難民認定法違反で検挙しております。
 引き続き、関係機関と緊密に連携して、外国人の不法就労対策に取り組み、府民の安全・安心の確保に努めてまいります。

◯西條利洋君

◯議長(荒巻隆三君) 西條利洋議員。
   〔西條利洋君登壇〕

◯西條利洋君 御答弁いただきまして、ありがとうございました。
 多文化共生ですとか外国人材の受入れ、中小企業の支援など、今も力強く進められていること、改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。今後も、京都府は人材不足・人手不足が予想もされますし、外国人材が増えていく傾向も強くなると予想されます。より一層、引き続きこちらのほうに御支援いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 また、不法就労の摘発に関しましても、国と密に連携も取りながら、引き続きそちらのほうも進めていただきますようよろしくお願いいたします。御答弁、ありがとうございます。
 質問の最後に、全ての府民が安心して年齢を重ねられる社会の根幹である介護保険制度の持続可能性の確保という点で極めて重要な課題についてお伺いします。
 高齢化が全国を上回るペースで進む京都府において、介護はもはや個々の家庭の問題ではなく、地域社会全体で支え合うべき共通の課題です。制度を将来にわたり安定的で質の高い仕組みとして守り抜くため、その一つの鍵として広域連携という視点をこれまで以上に強めるべきではないかという観点から質問させていただきます。
 御承知のとおり、介護保険制度は住民に最も身近な市町村が保険者として責任を担う仕組みであり、地域の実情に即したサービスを提供するという基本理念は堅持されるべきです。しかし、制度発足から四半世紀が経過し、特に小規模な自治体ほど制度運営における構造的な課題に直面しています。
 1つは財政の不安定化リスクです。高齢者人口が比較的小さい市町村では、重度の要介護認定者や給付費が高いサービスの利用者が少数増えるだけでも財政収支が大きく変動し、保険料の急激な上昇につながるリスクを抱えています。これは、住民負担の公平性の観点からも大きな課題です。
 2つ目は、専門人材の確保・育成の困難さです。専門知識が求められる要介護認定の調査員やケアプラン作成の中核を担う介護支援専門員(ケアマネジャー)の確保・育成が市町村単位では非常に難しくなっており、適正な認定事務や質の高いケアマネジメントの維持に支障を来す懸念が指摘されています。
 こうした課題に対し、府が手厚い伴走型支援をしてくださっていることは理解いたしております。しかし、これらの課題は、市町村の努力や府からの支援だけでなく根本的な解決が困難な段階に至るほど少子高齢化が進んでいると考えます。市町村の主体性を尊重しつつ、圏域や府全体で支え合う広域連携も視野に入れた施策も必要になってくるのではないでしょうか。
 例えば、既に京都府で実績のある後期高齢者広域連合のような施策です。御承知のとおり、後期高齢者医療制度は、都道府県単位の広域連合が運営主体となっており、京都府においても市町村が参加する広域連合が設置され、財政運営や事務処理を一体的に担っておられます。もちろん、法制度上の位置づけが介護保険とは異なりますので、単純に同じ形を導入するのは現実的ではありません。
 しかしながら、このような制度が少子・高齢社会の保険制度を支える重要な役割の一翼を担っています。高齢者を対象とした社会保険制度を府全体で連携して安定的に運営するというこの広域連合の経験とノウハウは、介護保険事業にも応用できるのではないかと考えられます。
 後期高齢者医療の広域連合は、制度開始から十数年を経て財政調整や情報システムの共同化、人材の配置といった面で確かな実績を積んでまいりました。京都府内の自治体は、既に広域連合という枠組みに慣れ親しんでおり、意思決定のプロセスも共有されています。これは、介護保険事業の広域連携を進めるに当たり、非常に大きなアドバンテージとなり得るのではないでしょうか。
 介護保険における広域連携は、財政安定化や事務効率化にとどまらず府民サービスの向上にも直結します。
 例えば、先進事例である福岡県介護保険広域連合では、県内33市町村が加入し、介護認定審査会を共同で設置することで審査の公平性、効率性を高めています。また、専門職員の共同研修による資質の向上や介護サービスに関する情報の共同公表、苦情処理体制の共同化など、スケールメリットを生かした多角的な取組を展開し、圏域全体のサービス水準の向上と保険者機能の強化につなげています。
 これらの先進事例も参考にしつつ、京都府においてもまずは実現可能性の高い分野からステップを踏んで進めることについて、御所見を伺います。
 第1のステップとして、事務処理やシステムの共同化です。特に専門性と公平性が求められる要介護認定事務や日々の給付管理システムの統一は、市町村間の合意形成も図りやすく、早期に着手できる分野ではないでしょうか。
 第2のステップとして、人材の確保・育成における連携強化です。例えば府内を幾つかのブロックに分け、ケアマネジャーや認定調査員の採用・研修を共同で実施する広域研修体制を構築することで、人材の質の標準化と安定的な確保につながるのではないでしょうか。
 そして、最後のステップとして、財政運営における連携です。まずは保険料の急激な変動を緩和するための新たな基金を府と市町村が共同で設置・運営するなど、緩やかな形から連携を進めていき、最終的には一体的な運用が府民負担の軽減につながるのではないかと考えます。
 こうしたステップを経て、将来的には「介護保険事業の広域的なプラットフォーム」を構築し、市町村の自主性を尊重しながらも、財政、人材、情報基盤といった制度の根幹を府が支える、このような制度を実現し、全ての府民が質の高い介護サービスを公平な負担の下で受けられる持続可能な社会の構築につながる可能性があるのではないでしょうか。
 そこでお伺いします。
 後期高齢者医療広域連合で培われた貴重な経験とノウハウを生かし、介護保険事業においても、市町村の自主性を尊重しつつ京都府が調整役となり、広域的な連携を戦略的に推進していくことについてどのようにお考えでしょうか、御所見をお聞かせください。

◯知事(西脇隆俊君)

◯議長(荒巻隆三君) 西脇知事。
   〔知事西脇隆俊君登壇〕

◯知事(西脇隆俊君) 持続可能な介護保険制度の実現に向けた広域連携の推進についてでございます。
 京都府では、2040年に高齢者人口がピークを迎えると予測されており、特に85歳以上の高齢者の急増に伴い介護ニーズが増大する見込みでありますが、地域によって高齢化のスピードが異なることから、地域の実情を踏まえた介護サービスの提供体制の構築が重要でございます。
 介護保険制度につきましては、高齢者を社会全体で支えようとの理念の下、平成12年に創設され、地域住民に最も身近な基礎自治体である市町村が保険者となり、給付や財政管理などの制度の運営を担っているところでございます。
 また、都道府県は、介護保険事業の運営が健全かつ円滑に行われるよう、保険者である市町村に対し必要な助言や援助を行うこととされており、京都府におきましても、介護給付費の適正化に向けた助言や指導、見込みを上回る介護給付費が生じた場合などに備えるための財政安定化基金の設置、広域型特別養護老人ホームなどの介護保険施設等の指定・指導などを行い、制度の運営を支えているところでございます。
 さらに、介護保険制度の創設後、府内の市町村から、円滑な介護保険制度の運営に向けて、介護保険事務の効率化や要介護等認定に関する事務処理の共同化、介護支援専門員などの人材確保・育成などについて、京都府の支援を求める要望を受けたところでございます。
 このため、京都府におきましては市町村の意見をお聞きしながら、国が進める被保険者の介護認定の情報やケアプランなどを電子的に共有・閲覧できる介護情報基盤の整備に対して技術的助言を行いますとともに、複数町村にまたがる広域的な支援として、府内7町村の要介護等認定審査を行う「京都府介護認定審査会」を設置し、当該市町村における要介護等認定事務の負担軽減を図っているところでございます。
 また、人材の確保・育成につきましては、介護支援専門員の資格管理や資質向上のための研修や、認定調査員や介護認定の審査・判定に関わる専門職への研修を計画的に実施するなどにより、市町村を支援しているところでございます。
 介護や支援を必要とする高齢者の一層の増加が見込まれる中、小規模な町村をはじめとしてさらなる事務の効率化が必要となることが予想されることから、こうした課題に対応するため複数市町村による広域連合を設立し、事務の共同化を行っている事例があることは承知をしております。
 京都府といたしましては、保険者である市町村の意見を丁寧にお聞きしながら、広域的な取組も含めた支援を行ってきたところであり、今後とも府内全ての市町村におきまして安定的な介護保険制度の運営がなされるよう、市町村の取組を支援してまいりたいと考えております。

◯西條利洋君

◯議長(荒巻隆三君) 西條利洋議員。
   〔西條利洋君登壇〕

◯西條利洋君 御答弁、ありがとうございました。
 現状、府の広域化としましては、事務処理の共同化ですとか、人材確保・育成における支援要望を受けた対応もしていただいていること、感謝申し上げます。ありがとうございます。
 知事からも御答弁がございましたとおり、2040年をピークに高齢化を迎えます。その点で、小規模な市町村が介護保険事業を担っていくのはやはり限界を迎えると私は考えています。今進めているこの連携も視野に、今後より一層強化を進めることを要望申し上げまして、私の代表質問とさせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)